人生の指標を探せ!格好良い大人の本

人生の指標を探せ!格好良い大人の本

更新:2021.12.12

私たちはいつかは外に出て行かなくちゃなりません。引きこもってばかりもいられないのです。 だけれど社会で生きていくにしても、納得出来ないと思うことをそのままに飲み込んじゃうのは、なんて体に悪いのだろう。腑に落ちた上でする行動は血となり肉となる。表面的な処世法には陥らず、この世を生き抜いていく知恵になると思うのです。 自分にとって格好良い大人を見つけるというのは、生きていくなかで一つ、有効な目じるしになるのだと思っています。今回は私的格好良い大人の本を中心に、本棚の中から5冊ご紹介致します!

ブックカルテ リンク

『私はそうは思わない』

著者
佐野 洋子
出版日
『100万回生きたねこ』の著者、佐野洋子さんが書いたエッセイ本です。私は本を選ぶ時のほとんどをその題名に任せるのですが、この一言に惹かれ思わず手に取りました。

‘’私を救ったものは、「私はそうは思わない」という素直でないものだった様な気がする。’’(本文より)

素直でないからその場で上手くやれないこともあれば、素直でないものに救われる部分もあるのだよなぁとつくづく思います。この言葉をひとつ潜ませて、世の中を生き抜いていくのはいかがでしょう?

一つひとつの話題がとても濃密で、感激しっぱなしの一冊です。覚悟して読んでみてほしい!

『家出のススメ』

著者
寺山 修司
出版日
家出のすすめ、悪徳のすすめ、反俗のすすめ、自立のすすめ、の4章から成るエッセイ本です。

“肖像画に
まちがって髭をかいてしまったので仕方なく
髭をはやすことにした”

という、本文にある戯詩の始まりの一文。このあべこべな状況に疑問を持ち、自らの知恵によって打開していくことが、この本の中での“ 家出 ”であり“ 自立 ”なのだと感じました。

次々に人間の矛盾を暴露していく作者の言葉がとても頼もしい一冊。
(でも本当は頼もしいなんて他人事みたいにしていないで、自己も含めた矛盾を、寛容な心で見過ごしてなどしまわないようにしなくては……と、思うのですが)

『男の作法』

著者
池波 正太郎
出版日
1984-11-27
顔、休日、靴、うどん、羽織、食卓、電話、酒(以上、目次より)などなど。

あまりに身近で普段掘り下げることを忘れてしまうようなテーマってありますよね。この本はそんな物事の本質を説きながら、池波正太郎さん流の“ やり方 ”を教えてくれています。

時代とともに人の生き方というのは変わっていく部分もあるけれど、この本に書かれている流儀からは、なんだか普遍で不変な思いやりと格好良さを感じました。

「粋」という言葉の定義がよくわからないでいたのですが、この本を読んでそれがスッキリ晴れたような気がします。

『人生、成り行き』

著者
立川 談志
出版日
2010-11-29
落語家であった談誌師匠の『小説新潮』でのインタビュー連載が一冊にまとめられたもの。ここでは、第二回〈理不尽な世界〉の前座修業の回に注目。

“イヤだなあ、もう辞めちまおうかなあと思ったことはありますけどね。しかしそれは瞬間的なセンチメンタリズムで、本当に心底辞めてやろうと思ったことはなかった”(本文より)

格好良いなと感じる人物のセリフっていうのは、同じ言葉でもスッと入って来たりするもので、談誌師匠の“ 現実は事実だ ”って言葉に背筋が伸びます。

理不尽さに憤る経験はどんな世界でもあるものだと思うのですが、現実と正面から向き合っていくことを諦めてはならないなぁ、と思わされるような一冊です。

『それから』

著者
夏目 漱石
出版日
2011-07-08
『三四郎』『それから』『門』から成る夏目漱石、前期三部作の中の一冊。

実生活に根を持たない思索家、代助は働かない。処世上の経験程愚なものはないと思っている。飯のために働く、世の中に合わせた労力を堕落だと言う。ところで本人の飯はというと父からの援助で成り立っている……。

最後、代助が職業を探しにいくところで小説が終わります。物語を読み進めていくと、代助の姿に自分自身、人間の正体を見ることになります。職業を探しに電車に乗ってゆく最後に、皆いつかは外に出て行かなくちゃいけないんだよなぁと、改めて気づかされました。

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