『私はそうは思わない』
『100万回生きたねこ』の著者、佐野洋子さんが書いたエッセイ本です。私は本を選ぶ時のほとんどをその題名に任せるのですが、この一言に惹かれ思わず手に取りました。
‘’私を救ったものは、「私はそうは思わない」という素直でないものだった様な気がする。’’(本文より)
素直でないからその場で上手くやれないこともあれば、素直でないものに救われる部分もあるのだよなぁとつくづく思います。この言葉をひとつ潜ませて、世の中を生き抜いていくのはいかがでしょう?
一つひとつの話題がとても濃密で、感激しっぱなしの一冊です。覚悟して読んでみてほしい!
『家出のススメ』
家出のすすめ、悪徳のすすめ、反俗のすすめ、自立のすすめ、の4章から成るエッセイ本です。
“肖像画に
まちがって髭をかいてしまったので仕方なく
髭をはやすことにした”
という、本文にある戯詩の始まりの一文。このあべこべな状況に疑問を持ち、自らの知恵によって打開していくことが、この本の中での“ 家出 ”であり“ 自立 ”なのだと感じました。
次々に人間の矛盾を暴露していく作者の言葉がとても頼もしい一冊。
(でも本当は頼もしいなんて他人事みたいにしていないで、自己も含めた矛盾を、寛容な心で見過ごしてなどしまわないようにしなくては……と、思うのですが)
『男の作法』
顔、休日、靴、うどん、羽織、食卓、電話、酒(以上、目次より)などなど。
あまりに身近で普段掘り下げることを忘れてしまうようなテーマってありますよね。この本はそんな物事の本質を説きながら、池波正太郎さん流の“ やり方 ”を教えてくれています。
時代とともに人の生き方というのは変わっていく部分もあるけれど、この本に書かれている流儀からは、なんだか普遍で不変な思いやりと格好良さを感じました。
「粋」という言葉の定義がよくわからないでいたのですが、この本を読んでそれがスッキリ晴れたような気がします。