皆さんの高校や大学にラグビー部はありましたか?メジャースポーツであるにもかかわらず、意外とルールも知られていないスポーツ、ラグビー。今回は知ってみるとドハマりする、アツいラグビー漫画をランキング形式でご紹介いたします。
『アップセット15』は2009年から2011年にかけて「週刊少年サンデー超」で掲載された、全5巻の作品です。
強豪曽根高校を倒して全国大会に出場する、という夢を立てて東ノ宮高校ラグビー部に入部した十津川誠ら8人、通称「無敵のノーペイン」。しかし、誠は一時的にニュージーランドに行くことになります。
誠がいない間に曽根高校と対戦したところ、結果は0‐315という惨敗の結果に終わりました。これによりチームメイトの心は離れ離れになれ、ラグビー部員は2人まで減ってしまったのです。この状況を目にした、半年ぶりの日本に帰ってきた誠は……。
- 著者
- 奥 英樹
- 出版日
- 2010-05-18
巨大な敵に向かっていくとき、大抵の人は「どうせ勝てない」「夢見ていたらみじめになるだけ」と思いがちです。好きだったスポーツも、負けてばかりでいつの間にか嫌になってしまう人もいるでしょう。
しかし、誠は当初から「強いチームを倒して一番になったら…すごく気持ちいいと思うんだ…!!」という気持ちで、楽しんでプレーしていたのです。
勝ちたい理由や勝利に向けてのアツイ思いが、本作にはたくさん詰まっています。スポーツをやっていた人なら、必ず当時の志を思い出すことでしょう。
また、かつて大勝した相手に負けられない曽根高校のラグビー部員たちや、過去に「負けても仕方がない」と考えていた人々の心境が、鮮明に描かれています。表情や台詞から、気持ちの動揺や興奮具合が、熱気とともに目の前に浮かぶ描写力です。
アップセットとは、番狂わせという意味です。彼らは県大会で曽根高校を倒し、全国大会「花園」に出場という、番狂わせを起こせるのでしょうか。誠を中心に巻き起こす、頂点をひたすら目指すラグビーバトルから目が離せません。
『ALL OUT!!』は2013年から「月刊モーニングtwo」で連載中の、既刊11巻(2017年3月時点)の作品です。
入学早々、背は低いが気が強い祇園健次と、背は高いが気が弱い石清水澄明は、不良に絡まれたことをきっかけに知り合いになります。石清水に付き添う形で訪れたラグビー部で、祇園は心を奪われます。「ボールを持ってる奴が主役なんだ」という言葉に感動し、祇園はラグビー部に入部を決めたのでした。
- 著者
- 雨瀬 シオリ
- 出版日
- 2013-04-23
読んでいて最初から印象的だったのは、身長が低いというコンプレックスを抱える祇園の言動でした。見学の時に「あんなでかい奴からボールブン取れたら気持ちいいだろうなァ」とつぶやく祇園の、ラグビーに見惚れた横顔が胸にグッときます。
誰しもがコンプレックスを抱えますが、問題はそのコンプレックスをどう捉えるか、どのように強みに変えていくかなのです。祇園は背の低さを利用し、練習2日目にして部長の赤山に対するタックルを成功させます。
また、最初の練習試合にメンバー入りした石清水は、ラグビー経験者であるにもかかわらず、過去のトラウマのせいでうまくプレーできずにいます。
ボールを持った敵が脇をすり抜けていっても、コート上で石清水がボーっとしてしまうことに痺れを切らし、ベンチ側から祇園はこう叫びます、「そいつが持ってんのは俺たちのボールだぞ!!」と。
15人がひとつにならなければ勝てないスポーツ、ラグビーでは、勝利のために体をぶつけあいながらボールを紡いでいくのです。未経験者でありながらそういった大切なことを理解した祇園の言葉は、果たして石清水の心に届くのでしょうか。気になった方は本作を手に取って確認してみてくださいね。
本作の主人公である祇園がラグビー未経験者なので、作中で簡単なラグビー説明が入ります。ラグビーのことを知らない人でも祇園と同じ立場に立って読み進められる作品です。
『15 明刹工業高校ラグビー部』は2010年から2011年にかけて「ガンガンONLINE」で連載された、全3巻の作品です。
宇治川アキラは父親がラグビー選手であったこともあり、ずっとラグビーに憧れてきた少年です。アキラが生活していたのは、子供が自分しかいない老人ばかりの島。アキラは一人でラグビーボールを蹴る日々を送っていました。中学を卒業後、明刹工業高校のラグビー部に入部します。
友達といえばラグビーボール、という少年時代を送ってきたアキラは、ラグビー部にて生まれて初めて、2年生の海老名唯という人間の友達を得ます。初めての同世代の仲間たち、初めてのチームで闘う本当のラグビー……。感動を胸に、島で鍛え上げたキック力と類稀なるラグビーセンスを武器に、他校との試合に挑むのでした。
- 著者
- 成瀬 芳貴
- 出版日
- 2010-10-22
第1巻の表紙はアキラと唯なのですが、ラグビーのむさくるしいイメージとはかけ離れたイラストですよね。女性読者からは「可愛い」という意見が出てきそうな、今風の絵柄となっています。ルールがわからないからとラグビー漫画を敬遠してきた女性にもおすすめです。
こうやって書くと、女性読者に媚びを売っている漫画と勘違いされそうですが、読んでみるとしっかりラグビーをしているのです。ラグビーを知っている人でも納得がいくストーリー構成で、作者のラグビーに対する情熱が伺えます。
アキラはキックで50mまでならコントロールできる技術を持っています。能力がある主人公は魅力的ですが、とんとん拍子に勝利を獲得していく漫画ではありません。明刹工業高校は体格に恵まれているラグビー部員が少なく、試合で勝つのは難しいチームなのです。
たとえ負けるとしても闘う。情けない負け方ではなく、自分の魂を見せた勝負をする。チーム皆のために自分ができることは何か……圧倒的点差で敗北したとしても、そこから立ち上がっていく熱さに胸を打たれる作品です。
『ゲイン』は1997年から1998年にかけて「週刊少年サンデー」で連載された、全7巻の作品です。
入学から1週間、気性の荒さから様々な部活から門前払いを食らい、部活難民と化していた夏井球生は、なんとかサッカー部に潜り込むも、ラグビー部に邪魔をされてまたもや部員をクビになります。練習姿のダサいラグビー部には入らないと誓っていた夏井は、邪魔されたことに腹を立てて復讐しようと考えるのです。
しかし、ラグビー部員の武地は、なんと夏井をラグビー部に勧誘します。入部をかけての勝負、夏井は勝利するのですが、あれほどまで入部したくないと思っていた気持ちはいつの間にか薄れていました。結局、夏井はラグビー部に入部することになったのです。
- 著者
- なかいま 強
- 出版日
立派な体つき、問題ばかりおこす夏井だからこそ、身体でぶつかり合うラグビーが向いているのかもしれません。感情を、勝利への気持ちをそのままパワーに変えるのです。漢らしいプレーは見ていて爽快です。
例えば、ラグビーにおけるタックルは、守備側がボールを持った敵選手を阻むために行うもの。ところが、夏井はボールを持って走っているときにタックルしてきた相手に、タックルをし返すのです。
守備側を倒してしまえば前にスペースが空く、奇策のようで当然のことに目を向けたこのプレーは、良く言うとまっすぐな考え方、悪く言うと単細胞な脳みそを持つ夏井だからこそやってのけられたプレーなのでしょう。
ラグビー漫画にぴったりな、たくましく、がむしゃらな精神を持つ夏井。彼が主人公であることで、勢いを保ったままテンポよく物語は進みます。アツいラグビー戦を見ることができる作品です。
『HELLO!!』は2013年から2014年にかけて「週刊少年マガジン」で連載された、全2巻の作品です。
主人公は双子の二人。学校1の秀才で、なんでも1位になりたがる負けず嫌いな兄、明学(あずま)と、今が楽しければそれでいいと考える、遊んでばかりのおバカな弟、愛作(あいさく)。まったくと言っていいほど似ておらず、顔を合わせれば喧嘩ばかりの双子です。高校は違うところに通うだろうと、一流高校のトップ学部に進学が決まった明学は、なんと校門で愛作と遭遇します。愛作は同じ高校の、もっとも偏差値が低い学部に進学が決まっていたのです。
高校も一緒になってしまいうんざりする二人ですが、ひょんなことからともにラグビー部に入部することになります。背が低い明学や頭の回転が悪い愛作はラグビー部で闘えるのでしょうか……?
- 著者
- 宮田 大輔
- 出版日
- 2014-01-17
容姿も性格も異なる双子という設定で、読んでみると二人とも大変魅力的なキャラなんです。
秀才というとスポーツはできなさそうなイメージですが、明学は、人に負けるのがいやで休んでいた体力測定も、中学3年生では陸上部顔負けのスピードを誇る運動神経なのです。ただの負けず嫌いなわけですが、そんな面も愛おしく、素敵です。
愛作は、ラグビーの役割において、フォワードという8人で組んで押し合うポジションを与えられます。点を取りに行くバックスのほうがかっこいいではないかと憤るのですが、先輩からフォワードは弱いバックスを守ってやる役割だと説明され納得。おバカさゆえの諭され具合も、読んでいて可笑しいです。
最初の試合から、二人は初心者にも関わらずメンバー入りします。その試合の結果とは?ラグビーについて詳しくなくても、絵のうまさやキャラクター性で楽しく読める作品です。
以上、おすすめラグビー漫画ランキングベスト5でした。これらを読めば、ラグビーのルールや魅力を知ることができるでしょう。ラグビーが好きな方は、ラグビー愛をもってして描かれた漫画たちにハマること間違いありません。ぜひ読んでみてくださいね。