旅に出る前に読みたい!一人旅初心者におすすめの本4選

更新:2021.12.17

一人旅の面白さはどこにあるのでしょうか?「寂しい」「つまらない」というイメージが付き物の一人旅。今回はそんな一人旅のイメージを変え、面白さを教えてくれる4冊の本を集めました。

ブックカルテ リンク

旅への一歩を後押ししてくれる本

「自分の知らない世界がどこまでも続いているワクワク感と、その世界を自由に冒険できるというドキドキ感。ずっとこんな気持ちを追い続けていきたい」(『世界をひとりで歩いてみた——女30にして旅に目覚める』より引用)

この本の冒頭には真鍋かをりの笑顔の写真と共にこんな言葉が綴られています。

著者
眞鍋 かをり
出版日
2013-12-04

プライベートで訪れた国は計14カ国。そんな一人旅の中で学んだ成功談や失敗談、ドキドキしたことやハラハラしたことなど旅の全てを余すことなく記録したのがこの『世界をひとりで歩いてみた——女30にして旅に目覚める』です。フランスのパン屋さんでたどたどしいフランス語が通じた時の喜び。ギリシャのホテルで水のシャワーを浴びた時の心の叫び。実際に自分で経験したことを自分で語っているので、その躍動感と生き生きとした描写がどんどん読み手を引き込んでいきます。

さらに、所々に旅のアドバイスが散りばめられているのですが、なぜそれが重要なのかがきちんと眞鍋かをりの経験に基づいて書かれています。例えば「海外旅行にはスリッパを持って行くべし」というアドバイスは、自身がスリッパを忘れお風呂から出てから汚い床を裸足で歩かなければならなかった経験に基づいたもの。「旅の目的は2つ決めるべし」というアドバイスは、目的を多く設定してしまい予定をこなすために忙しなくなってしまった経験に基づいたもの。

旅の高揚感が押し寄せるように伝わってくる滑らかな文章の中に、等身大のアドバイスがたくさんつまっているのです。また一方で、テレビを通して見る知的なイメージを纏う眞鍋かをりの違った一面を見ることも出来ます。旅をする誰もが、その人だけのとっておきの経験を出来るのだと、旅先での小さな出来事がその人の人生を大きく変える可能性を秘めているのだと、そんな風にそっと背中を押してくれる一冊だと思います。

おとな女子に贈る一人旅のバイブル

『Soliste おとな女子ヨーロッパひとり旅』の作者は寺田和代。社会福祉士としても働くフリーライターです。海外一人旅に目覚めたのは作者が35歳のとき。20年かけて28カ国を訪れた豊富な旅の経験に基づいた一人旅のノウハウがぎっしりつまった一冊になっています。

著者
寺田 和代
出版日
2015-06-19

一人旅には誰かと一緒に旅行をすればしなくてもいい苦労もたくさんあります。食事の時少し席を立つ時だって信頼出来る誰かが一緒にいてくれれば「荷物大丈夫かな」「誰かに席を取られていたらどうしよう」と心配する必要もありません。言葉が通じない時の孤独感、気後れしてしまう感じ、不安で寂しい気持ち、一人旅をしなければこんな思いをしなくて済むのです。それでもなぜ一人旅は一定の人々の心を掴んで離さないのか。そんな一人旅の不思議な魅力を伝えてくれるのが本書なのです。

一人旅といえば若者がリュックひとつで最低限のお金を持ってサバイバルのように世界を回っていくイメージが強いですが寺田和代の一人旅はそれとは違います。1週間の予算は20万円。特別豪華という訳ではありませんが予算は余裕をもって組みます。靴は普段使いだけでなくコンサートやお食事用のヒールも持っていき、お洒落をして現地の人に自ら先に挨拶をします。あれもこれも、と詰め込むのでなく「今回出来なければまたいつか来た時にやろう」と余裕の心を持ち、計画を遂行することよりもその場を楽しむことに集中するのです。

巻末には一人旅用の英会話集もついています。ガイドブックの英会話集は一人で行くことを想定していない場合も多いですが、この英会話集は「トイレに行きたいので、この場所を取っておいてもらえませんか?」など一人旅をする人にとっては旅行中手放せないような貴重な英会話集になるでしょう。役立つ英会話集だけでなく、飛行機内で出来るスキンケアについてや飛行機のチケットや宿泊場所を安く予約する方法など役立つ情報が満載です。

作者のおとなの余裕が感じられるような穏やかで知的な語り口。旅の失敗談も盛り込まれているなどチャーミングな一面も見せてくれます。この本を読めば、これから一人旅をしようとしている人に「きっと大丈夫ですよ」と優しく語りかけるような安心感を得ることが出来るでしょう。お洒落をしてお金も時間も心も余裕をもって。そんな新しい「ひとり旅」の価値観を与えてくれるような一冊です。
 

準備をする時から旅は既に始まっている

『大人の旅じたく』は整理収納アドバイザーでありエッセイストである柳沢小実によって書かれました。作者は海外旅行歴28年、一人旅歴15年歴の旅のベテランです。自身の旅の経験や整理収納アドバイザーの知識を生かして旅にまつわる様々なアドバイスをこの一冊に込めています。

著者
柳沢 小実
出版日
2016-04-19

メインバッグの選び方、パッキングの仕方など旅支度の段階でのアドバイスだけでなく、旅先で持ち歩く硬貨や持ち歩く地図のコピーの仕方まで、幅広い旅のヒントが大人の雰囲気香るシンプルな文章で綴られています。ぜひ真似したいのかアロマオイルをホテルに持ち込んで思い切りリラックスする、というアドバイス。自分のお気に入りの香りは旅先では中々手に入りにくいものですが、自宅から持ち込めば旅先でも自宅と同じようにリラックスすることができます。

文章を読んでいると旅への期待がふつふつと湧いてきます。作者の準備万全な旅支度は、旅先でどんなハプニングが起きても大丈夫、という安心感を与えてくれます。さらに旅先での女性ならではの小さな極上のヒントの数々に、いつもとは違う旅が出来るかも知れない、という高揚感が溢れ出してくるのです。本書に収められているセンスの良い写真の数々も旅への気持ちを優しく後押ししてくれることでしょう。

見ているだけで楽しい、旅に持参したくなるような良書です。旅支度をしているようなワクワク感に加え、巻末には作者の旅のエッセイも楽しむことが出来ます。旅に出るたびに取り出して何度も読み返してみるのもおすすめです。その都度違った楽しさを与えてくれる魔法のような一冊になること間違いなしでしょう。
 

こんなひとり旅がしてみたい?!

旅マンガには2つの種類があります。ひとつはいかにその旅が素晴らしかったかを伝えてくれるもの。読者は当たり前のように自分も旅に出たくなります。もうひとつは、いかにその旅が困難続きのドタバタ旅であったかを伝えてくれるもの。不思議なことに、そんな旅マンガを読むと読者はまるで怖いもの見たさのような気持ちになって、やっぱり旅に出たくなってしまうのです。

著者
ノムラ=ポレポレ
出版日
2013-07-10

『まんがドタバタ女ひとり旅——世界の端から恥まで』は題名の通り後者の旅マンガ。イラストレーターでありエッセイストである作者、ノムラ=ポレポレがひとり旅歴約10年の思い出を漫画で描いた作品です。取り上げられている国はオーストリア・ポーランド・チェコ・イギリス・ポルトガル・ドイツのヨーロッパ6カ国とインド・タイ・ベトナムのアジア3カ国。絵がとても可愛らしいので、それぞれの国の様子を台詞だけでなく絵でも楽しむことが出来ます。

作品中では数々のトラブルがこれでもかというほど描かれています。インドではセクハラをされたり、タイでは詐欺師に騙されて川に落とされそうになったり。そこまでされてどうしてひとり旅を止めないのか、と多くの読者の疑問を誘います。しかしそこで終わらないのがこの本の凄いところ。それらのトラブルをどう乗り越えたのかがしっかり描かれているだけでなく、それを上回る「人々の優しさ」がちゃんと伝えられているのです。地図を広げると、すぐに声をかけてくれる現地の人や一緒に食事をして仲良くなってくれたベトナムの若者など、旅の魅力を存分に伝えてくれます。

トラブルに立ち向かって行くノムラ=ポレポレのバイタリティに驚きつつも、クスクス笑いながら気軽に読める一冊です。写真も多くコラムも載っているので、旅をする際のヒントにもなりそうです。一度読んだら何度も病みつきになって読み返してしまうこと間違いなしでしょう。
 

今回は一人旅初心者が読むだけでヒントを得られる4冊の本を紹介しました。ぜひ旅に出る前に手に取ってみてくださいね。

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