LGBTとは?基本から実態、世界の事情まで知るおすすめ本を紹介!

更新:2017.3.31

性的少数者の総称として使用されることも多い、LGBT。理解が進む中で偏見もまだ拭い切れていないようです。今回はLGBTの基本的な知識から、世界の事情を学べる本をご紹介していきます。

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LGBTとは?

LGBTとは、女性同性愛者のレズビアン(Lesbian)、男性同性愛者のゲイ(Gay)、両性愛者のバイセクシャル(Bisexual)、生物学的な性別と心の性別に差があるトランスジェンダー(Transgender)のそれぞれの頭文字で、性的マイノリティ(性的少数者)の総称として使用されることも多い言葉です。

2015年の電通ダイバーシティラボの調査によれば、日本におけるLGBTの割合は7.6%とされています。
 

盛り上がるLGBTイベントと世界の動き

LGBTイベントとしては、東京レインボープライドのパレードや、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭などが有名です。

また2015年には東京渋谷区と世田谷区で、同性パートナーシップ制度(同性のカップルが結婚相当の関係として認められる制度)が始まりました。ちなみに海外では、オランダ、アメリカ、カナダ、ブラジルなど多くの国で同性婚が認められています。

今、世界的にLGBT運動は盛り上がっていると言えるでしょう。

LGBTに対する無知と差別

しかし2015年に行われた調査では、日本における約7割のLGBT当事者が職場や学校で「ホモ」「オカマ」といった差別表現を聞いたことが指摘されています。さらにLGBTフレンドリーな職場や学校であると感じた人は、3割程度しかいないという結果も明らかにされたのです。

また小学校時代から高校時代までにいじめを受けた性的マイノリティは約6割にものぼり、教師がそのいじめ解決に対して役立ったとした回答者は、約1割であったといいます。

公職に就く人たちからも、差別的で無知や誤解が含まれる発言が聞かれます。たとえば2015年、兵庫県宝塚市議会の場では「(支援条例が制定され)宝塚に同性愛者が集まり、HIV(エイズウイルス)感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出る」、「学校での児童生徒への啓発活動が同性愛を誘発する可能性を否定できない」などという言葉が議員によって発せられました(共に「EMA日本」より引用)。

まだ、LGBTに対して大きなしこりが残っていると言えるでしょう。

実はあの会社もLGBTフレンドリー企業

2016年にはPRIDE指標という、企業でのLGBT関連の取り組みを評価する指標が、任意団体work with Prideによって策定されました。評価は、ゴールド、シルバー、ブロンズの3段階。2016年のゴールドには、ANAやJALといった航空会社や、NTTドコモなど53社が選ばれています。

もちろんこれらの企業以外にも、衣料品小売店であるGAPや、自然派バス用品などを扱うLushといった企業が、LGBTフレンドリーな企業としてよく知られています。

LGBTについて知る入門書

著者
["薬師 実芳", "古堂 達也", "小川 奈津己", "笹原 千奈未"]
出版日
2014-09-30

4つのセクシャリティ(性のあり方)を表すLGBT。そもそもセクシャリティの「3つの要素」を知っていますか。

セクシャリティは、生物学的な「体の性」、自らの性別をどのように認識するかという「こころの性」、恋愛や性愛の対象となる「好きになる性」という3つの要素から成り立っているといいます。このような基本的な知識を知っておくだけで、相手がどのような人となりなのか理解することに役立つでしょう。

さらにこの本は、知識だけではなく、LGBT当事者である学生の声まで知れる魅力があります。学生はもちろんのこと、「相談しやすい先生の6カ条」などの項目もありますので、教育関係者の方にはぜひ手に取ってもらいたい1冊です。

また、LGBTが学生時代に向き合うであろうカミングアウトや友人関係などについても、当事者の生の声からそれぞれの対応策に迫っていきます。これからLGBTについて知りたい方は、「LGBT入門書」として、まず読んでみてはいかがでしょうか。

国際同性婚した著者が「自分らしさ」を説く本

著者
牧村 朝子
出版日
2013-11-26

LGBT当事者の声に迫っていきましょう。『百合のリアル』の著者は、パリで国際同性婚をした牧村朝子です。牧村はタレントとしても活躍中。最早LGBTに関する知識を得ていることは、現代の教養になりつつあるといいます。

漫画を挟みつつ会話文で進んでいく本書は、実体験やセクシャリティに関する基礎的な知識や、歴史も豊富なため、読みやすさと読み応えを兼ね備えた1冊です。また性的マイノリティという枠を超え、自分との向き合い方についても深く考えられることでしょう。

1人の人間をカテゴリーが貼り付けられた器に押し込めるのではなく、色々なタグ(札)を主体的に貼ったり剥がしたりすることが大切であるということ。これは対人関係を築いていったり、自らと向き合ったりする際に、誰にとっても重要なアドバイスとなるはずです。

「レズビアンという名前を引き受けても、引き受けなくても、あなたは人を愛せるのよ」(本書より引用)

LGBTの実態としての姿や知識を学べることはもちろんのこと、読者一人ひとりへの優しい眼差しを感じることで、知識の枠をこえた「リアル」を分かることができる、おすすめの本です。

グローバルにLGBTについて考える一冊

著者
フレデリック・マルテル
出版日
2016-11-12

冒頭で、世界では同性婚が認められている国も多いことをお伝えしました。一方で同性愛に対して死罪を課す国、同性愛が違法とされる国もまた存在することも事実です(2017年3月現在)。

著者は、自身も同性愛者というフランス人のフレデリック・マルテル。ニューヨークから新宿2丁目までおよそ50ヶ国、人数にしては700人以上を8年間かけて取材し、LGBTの現状(主には同性愛者の現状)を伝えていきます。原題は『Global Gay』[※1]。著者はプロローグで以下のことを述べています。

「同性愛というプリズムを通して、時代の精神とその変容が見えてくるだろう。(中略)携帯電話、衛星放送、インターネット、SNSの決定的に重要な役割も浮き彫りになるだろる。ゲイ問題は人々の心性の変化を明らかにし、各国の民主主義の成熟度や現代性を測るよき基準となる」(本書より引用)

実際に中国では、10年前には存在しなかったというゲイ・コミュニティが新たに生まれたといいます。中国のゲイサイト「飛賛(フェイザン)」の代表者である男性は、中国政府によるネット規制によってゲイが排除されることを心配しつつも、「中国のゲイは中国製のサイトやSNSやアプリをすでに受け入れ、使いこなしてもいますよ。彼らの行動を止めることなど不可能です。ええ、中国ではゲイの生活が表に出てくることは一切ありません。でも、ネットを覗けば、そこら中にゲイのコミュニテイがあるのがわかるでしょう」と述べています(本書より引用)


日本だけではなく、今どのようなことが世界で起きているのかということを知りたい人には特におすすめしたい1冊です。

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[※1]本書巻末にある「用語解説」で明らかにされているが、ゲイ(Gay)という表現は、現在では男女を問わず「同性愛者」を意味することも多く、本書でもそのような意味(男女の同性愛者)として「ゲイ(Gay)」という表現が使用されている。

LGBTに対して理解が進んでいく一方で、差別や偏見、人権侵害といった問題は解決しきれていません。個人ができることにも様々あるとは思いますが、何をすべきか迷った方はLGBTについて本を読んでみることから始めてみませんか。

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