『俺の空』『サラリーマン金太郎』、そのほかにも不良やアウトローな主人公が活躍する漫画を数多く執筆してきた漫画家の本宮ひろ志。自身の経験を活かして描かれた作品の数々から5作品をピックアップしました。どの漫画も熱く男気に溢れています!
1947年、千葉県出身の本宮ひろ志。『俺の空』、『サラリーマン金太郎』、『男一匹ガキ大将』などの代表作で知られる漫画家です。妻も漫画家で、もりたじゅん名義でりぼんなどの少女漫画を連載しており、引退後も本宮作品に登場する女性キャラの下書きを担当しています。
若いころは不良グループの一員として喧嘩ばかりの生活を送っていた本宮ひろ志。中学卒業後、酒乱であった父から離れるため航空自衛隊に入隊しますが、他人に命令されることが嫌だった彼は17歳で除隊。その当時に流行していた貸本劇画に興味を持ち、漫画家を目指すようになったそうです。
1968年に本宮ひろ志は、創刊されたばかりだったジャンプに読み切り作品を掲載し、同年、代表作となる『男一匹ガキ大将』で連載デビューを果たします。不良時代の経験を活かして描かれたこの作品は大ヒット、番長漫画ブームを火付け役となりました。
妻のもりたじゅんとは集英社の企画で知り合い結婚し、1976年、少女漫画の絵柄を取り入れて描いた『俺の空』でヒットをとばします。その後1994年より連載を開始した『サラリーマン金太郎』は、『男一匹ガキ大将』、『俺の空』と並んで本宮ひろ志の代表作となりました。
自らの不良時代を反映するようなアウトローな男を主人公にすることが多く、そういった作品で人気の漫画家です。
本宮ひろ志の代表作の一つ。妻を亡くし、息子と漁師をしていた主人公金太郎は、事故で漂流していたヤマト建設の会長を助け、それがきっかけで見習い社員としてサラリーマンとなります。その頃のヤマト建設は横暴な社長により会長や専務が退陣を迫られる状況でしたが、金太郎の型にはまらない大胆な行動に影響された社員たちが会長を救うべく立ち上ることに。そうして金太郎の波乱万丈なサラリーマン人生が始まります。
- 著者
- 本宮 ひろ志
- 出版日
- 1994-12-08
暴走族、漁師を経てサラリーマンになった金太郎。険しい道のりですが、彼は自らの強い意志をまげることなく様々な困難を乗り越えてゆきます。その男らしくかっこいい姿から勇気や元気をもらえる漫画です。
元暴走族のヘッドという設定も、本宮ひろ志の不良時代の経験が大いに活かされていることがわかります。不良だった金太郎が真っ当にサラリーマンとして働き、人と出会い、トラブルを乗り越え、成長していく姿は見所です。金太郎の男らしさ、そして成長していく過程から、きっと元気がもらえます。
『サラリーマン金太郎』については<『サラリーマン金太郎』5分でわかるあらすじ!元暴走族ヘッドがサラリーマンに?【結末までネタバレあり】>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
週刊プレイボーイに連載されていた本宮ひろ志の『俺の空』。日本トップの財閥、安田グループの総帥を父に持つ安田一平は、旅に出て1年以内にグループの首脳も認める人生の伴侶、パートナーを見つけるという一族の掟のため旅に出ます。そして旅を経て一平が大物となってゆく物語です。
- 著者
- 本宮 ひろ志
- 出版日
主人公の安田一平は財閥の御曹司でありながら、嫌味なところもなく、誰からも好かれる好青年。さらには、高校の全課程も2年で修めてしまい、1年間の放浪生活後に勉強もなしに東大法学部に受かってしまうほどの素晴らしい学力も持ち合せています。そんなできすぎた主人公、一平が真面目にパートナーを探す旅で、ひたすら女性を抱きまくります。ちょっとシュールな展開にも思えますが、ストーリーとしてはまとまりもあって、読みやすく楽しめる本宮ひろ志の漫画です。
一平のライバルの武尊善行というワイルドなキャラクターにも注目。主人公と人気を二分するほど個性の光る人物です。サングラスに髭を蓄えた見た目ももちろんのこと、一平の抱いた女性はだいたい抱くという見事なワイルドっぷりに酔いしれてみてください。
果たして一平は波乱万丈な旅の末に、安田グループの首脳たちが認めるほどの伴侶を見つけられるでしょうか。ぜひぜひ、ご自身の目でご覧になってください。
主人公の京介は硬派な高校生。ある喧嘩をきっかけに、少年院に送られてしまいます。その時、父親は組の幹部に裏切られ射殺され、母も心労により倒れてしまい、京介が出所してみるとすでに他界。母が自分の名を叫びながら亡くなっていったことを知った京介は、母の生きた証となるようなでかい男になると決意。そうして極道の世界で生きていくことになるのです。
- 著者
- 本宮 ひろ志
- 出版日
主人公の京介は、硬派で男気溢れる魅力的な青年です。度胸も根性もある、強い男になってどんどん成長していきます。若かった京介が徐々に極道の世界でのし上がっていく物語の展開に引き込まれてしまうことでしょう。
極道という恐ろしい世界を舞台に、主人公の京介の波乱万丈な青春時代、そして極道としての人生を描いた『男樹』。1990年にはアニメも制作された人気ぶりでした。シリーズとして、次の世代や孫の代を主役に描いた作品もできていますので、まずは京介の物語から、順に楽しんで読み進めることをおすすめします。本宮ひろ志の硬派なヤクザ漫画、楽しんでみてください。
本作の主人公は、仁王に育てられた人間の仁王丸。彼が巨大な鳥、魁を目覚めさせ、その背に乗って旅に出ます。目指すは遥か天上の世界の中心、須弥山。彼の出現によって天界のバランスに大きく変化が!
仏教の世界を舞台に神々が戦う痛快ストーリーです。
- 著者
- 本宮 ひろ志
- 出版日
今回の主人公である仁王丸も、『俺の空』の主人公に似てとにかく女性を抱きまくります。しかもこの『雲にのる』では、相手は女性の神々!破天荒な主人公です。宗教というと簡単にはいじりにくい、そしてまさか戦うなんて発想はそうそう出てくるものではありません。豪快で大胆、本宮ひろ志らしさを感じられる漫画と言えるでしょう。
人間とはいえ特殊な力を持っている仁王丸が徐々に強くなり、戦いを繰り広げるというストーリーの主軸ももちろん魅力的。特に男性は好きな方も多いのではないでしょうか。宗教を舞台にしたバトル、そして仁王丸の女性たちとの関係、エンターテイメント性の高いストーリーが全6巻というコンパクトさで楽しめるおすすめの漫画です。
定年退職後、貯金全てを持って家族が出て行ってしまった……。ハローワークで職を探す、とあるサラリーマン岡田憲三。貯金も持って家族に出ていかれ、パソコンが苦手なうえかなりの年齢のためなかなか仕事が見つからない絶望的状況に、彼が下した決断とは?
岡田憲三の壮絶な人生の物語です。
- 著者
- 本宮 ひろ志
- 出版日
- 2007-07-19
60歳で定年退職した岡田憲三の妻は、彼が33年間、家族のために働き続けて必死に貯めた貯金を全て持って子供たちと出て行ってしまいます。生きるための再就職も難しい、まさに絶望的状況。岡田憲三のように職が見つからない、またはリストラに怯える日々、と言った不景気な現代社会の問題をベースに読むと、一層恐怖をかきたてられます。そして身を粉にして働き続けた人生が、こんな結末を迎えるのは悲しすぎますね。
1作目にご紹介した本宮ひろ志の代表作『サラリーマン金太郎』がサラリーマンのサクセスストーリーといった雰囲気なのに対し、こちらはその正反対に位置すると言っても良い作品。不景気な現代社会において、あまりに厳しく残酷な状況にある男の人生を描いた壮絶なストーリー。想像を超えるまさかの展開に、驚嘆すること必至です。
この絶望的状況に、岡田憲三はどういった選択をくだすのか、ぜひご自身の目でご覧になってみてください。
いかがでしたか?豪快で、大胆で、本宮ひろ志らしさが発揮された作品はどれもおすすめですよ!楽しんでくださいね。