バレエ漫画おすすめ6選!未経験でもハマる華麗な世界

更新:2021.12.18

一般的には馴染みの薄いバレエの世界。そんな高貴なイメージのあるバレエですが、数々の人気漫画がありました。バレエの世界をリアルに描き出したものから、誰もがハマってしまうスポ根要素の強い作品まで幅広く紹介します。

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バレエ漫画の名作といえば『アラベスク』

主人公のノンナ・ペトロワは168センチという身長と、才能を評価される姉との比較の中で苦しみながら、キエフのバレエ学校で練習する日々を送っていました。身体的なコンプレックスを抱えながらバレエを続けるノンナですが、「ソビエトの金の星」と称されるユーリ・ミロノフにより才能を見出され、レニングラード・バレエ学校へ編入することに。

ノンナは編入後から始まるミロノフの猛特訓に戸惑いを感じながらも、必死に練習を重ねます。さらに、戸惑いを拭いきれないノンナをミロノフは「アラベスク」の主役であるモルジアナ役という大役に任命。ノンナにとっては信じられない現実が連続しますが、そんな経験を経て成長する姿をたくましく描いた作品です。

著者
山岸 凉子
出版日
2010-03-23

『アラベスク』は1971年に連載がスタートした、日本にバレエを広めた作品として高い評価を得るバレエ漫画です。主人公がトップスターに上り詰めるまでの成長を描くというスポーツ漫画では王道の展開でありながら、バレエの世界をリアルに描き出すことで、日本にバレエを広めた作品でもあります。

一般的には馴染みのないバレエの世界を、ノンナというひとりの女性の葛藤を表現することで分かりやすく表現しているため、バレエの世界観を知るにはうってつけの一冊です。

男子がバレエに魅了される!『ダンス・ダンス・ダンスール 』

中学2年生の主人公村尾潤平の前に、バレエオタクの転校生五代都が現れたことをきっかけに始まる青春をかけた物語。潤平は6歳の頃に姉の発表会で目にしたゲストダンサーに感化され、父の反対を押し切ってまでもバレエを始めます。しかし、父の急死をきっかけに家族を守る男になるため、伸ばしていた髪を切り、バレエも辞め、ジークンドーを習い始めるのです。

そして、時が経過し、友人の前でジークンドーの足技を披露していた折に、母がバレエ教室を営む都に「一緒にバレエやろうよ!」と声をかけられ、再び潤平のバレエへの情熱が呼び覚まされます。バレエに対する熱意と年頃の潤平と都との関係から目を離せなくなる一冊です。

著者
ジョージ朝倉
出版日
2016-02-12

本作は『溺れるナイフ』などで知られるジョージ朝倉が描いた、少女漫画の要素が強いバレエ漫画です。中学生の年代を題材として扱っているため、その感受性の豊かさには清々しさすら感じられ、スポーツの要素もバランス良く備えているため、女性だけでなく男性にもおすすめ。

幼少期からバレエに対する情熱を胸にしたまま、男として生きるべきと言い聞かせてきた潤平のエネルギーは、好きなものとはなにかという問いを読者に提示しているようでもあります。ジョージ朝倉の画力と登場人物の生命力の相互作用で、漫画でありながら躍動感すらも感じられる作品です。

『ダンス・ダンス・ダンスール』の作品に関しては<『ダンス・ダンス・ダンスール』が熱すぎる。12巻までの見所をネタバレ紹介>で詳しく紹介しています。

手に取りやすいバレエ漫画『Do Da Dancin’!』

とある商店街にある魚屋の魚正の娘である主人公・桜庭鯛子は、4歳からクラシックバレエを始め、バレエ教室の先生をする20歳。幼少期はバレエダンサーに憧れ、バレエに明け暮れていたものの、母の死をきっかけに情熱を失ってしまいます。しかし、そんな鯛子の前に世界的なバレエダンサーの三上朗が現れたことで、お互いの人生が少しずつ変動していきます。

バレエダンサーとして活躍する三上は鯛子の姿を見るなり「踊る気があるのか」と、教える立場であろうとプロとしての気構えをもつ必要性を説くのです。そして、ジュニア時代に鯛子のことをライバル視していてた、有名なプリマである倉田真理の存在もあり、鯛子は次第に幼少時代のバレエへの情熱を取り戻していきます。

著者
槇村 さとる
出版日
2008-06-18

読者に対して、バレエを馴染みやすく、身近なものにしているという点が本作が多くのファンに愛される理由です。魚屋を営む家に生まれ、幼少期にバレエという情熱を燃やせるものに出会い、先生という立場でバレエに関わるというごく普通の環境に置かれ続けてきた鯛子。そんな前提があるために、三上や倉田との出会いをきっかけに変わり始める鯛子の人生がよりインパクトのあるものになっています。

また、着実に成長し、バレエの舞台も次第に大きくなりますが、「私は普通に幸せに育って、甘やかされてきた」と反省する場面など、鯛子の本質はなにも変わっていないことを表現するシーンがたびたび登場します。主人公の心情や境遇を一緒に味わっている。そんな感覚を抱かせる作品です。

バレエを通して成長する姿を描く『昴』

物語は主人公の宮本すばるの弟・和馬が入院する病院で幕を開けます。幼馴染の呉羽真奈は和馬にプレゼントを渡すために病室を訪れますが、そこには猫の真似をするすばるの姿が。それは、悪性の脳腫瘍を患い、笑うことも忘れてしまった弟を笑わせようとするすばるの健気な姿でした。すばるは弟のために放課後は病院を訪れるのですが、検診のために和馬がベッドにいない日もあり、どこか虚しさを覚えます。

そんな折、真奈の母親がバレエ教室を営んでいることを思い出し、見学に行くことに。そこで、先生から「バレエに向いている」と勧められたことでバレエに関心を抱きます。しかし、そんなすばるに両親からの反対という壁が立ち塞がり、その後には弟の死も。そんな境遇でもバレエダンサーとして活躍することを決意したすばるの成長を描いた作品です。

著者
曽田 正人
出版日

バレエという華やかな舞台を題材にしていながら、脳腫瘍を患う弟がいる、母の精神が崩壊しているなど、すばるを取り巻く環境に劣悪さに驚かされる作品です。バレエの世界では一流のダンサーとして才能を開花させるのですが、育った環境には抗えないと示唆するようにすばるの私生活は破天荒そのもの。飲酒や喫煙、オートバイの無免許運転などでストレスを発散するすばるの姿も描かれています。

しかし、いつも胸には弟の姿があり、すばるを次第に強い大人へと成長させていきます。一般的なスポーツ漫画に描かれる主人公像とは違った主人公を描き出すことで、すばるの成長がより輝き、親心のような感覚を味わうことができる作品です。

プロの厳しさを身近に感じるバレエ漫画『舞姫 ―テレプシコーラ』

バレエ教室を営む母のもとで教育を受ける篠原六花とひとつ上の姉・千花の2人の姉妹が主人公の物語。おっとりした優しい性格の六花は、正確な技術をもつ姉と比較されながらも、バレエに対する情熱を持ち続ける女の子です。そんな2人は、母が営むバレエ教室をバックアップする祖父母や理解のある父の後押しもあり、なんの障害もなく成長していきます。

しかし、中学・高校と成長するにつれて、プロの厳しさが2人に襲いかかるように。六花は生まれつきの股関節の問題で足を180°開くことが難しいと診断され、千花は公演中のアクシデントで左膝内側靭帯断裂の大怪我から身体的なハンデを背負うことになります。プロを嘱望され、結果を残し始めていた2人が一流になるまでのプロの世界の厳しさを描いた物語です。

著者
山岸 凉子
出版日

本作の最大のポイントは完璧と言って良いバレエ環境と、姉妹を主人公として描き出している点。2人の姉妹は、幼い頃にはお互いに若干意識することはありながらも、希望に満ち溢れたバレエ人生を歩みます。しかし、六花は中学生に進学したタイミングで180°開脚することが難しいという身体的なハンデに向き合わされ、プロへの夢が潰えかけます。

そんな六花に反して、千花は持ち前のテクニックと負けず嫌いな性格で、埼玉バレエコンクールで1位なしの2位になるなど、将来を嘱望されるように。プロを諦めかけた妹とプロを嘱望される姉。将来も決まったかに見えた矢先、千花は公演中の大怪我をきっかけにバレエを断念してしまい……。

このような、一見なんの伏線もなさそうな設定でありながら、プロの世界の厳しさを疑似体験できる漫画が『舞姫 ―テレプシコーラ』です。

粘り強さが売り!スポ根バレエ漫画『絢爛たるグランドセーヌ』

主人公の少女・有谷奏は隣町に住む橘梨沙が出演したコンクールに感銘を受け、バレエ教室に通い始めます。通い始めは数々の失敗から自信を失うという経験もしますが、持ち前の観察眼と人懐こい性格を武器に着実に成長。跳躍力を活かした表現で小学校5年生で出場したコンクールで3位に輝きます。そんな最中、奏にバレエを始めるきっかけを作った梨沙は、進学をかけた大勝負の舞台で散々な結果を出し、バレエをやめることに。

しかし、そんな状況でも純粋な奏はどうしても同じ舞台に立ちたいと懇願し、反対する梨沙を説得。共演の夢も現実のものとします。そして、奏はさらなる目標を掲げ、国内でのコンクール、国際大会と数々の経験をし、世界の大舞台へと躍進していきます。

著者
Cuvie
出版日
2014-02-20

小さなコンクールから世界的な舞台まで瞬く間に成長していく奏は、圧倒的な身体能力と周りからしっかりと学べる柔軟な思考を持ち合わせています。身体能力はさておき、周りを参考にするという観点では、大人でも気付かされることが多いはず。

さらに、同じバレエ教室に通う伊藤翔子や小学生ながら全国的な知名度を誇る栗栖さくらなど、個性的なキャラクターからも魅力的。翔子もさくらも家が資産家であったりバレエ教室を営んでいたりと、奏にはない豊かさをもっていますが、どこか幼稚で、うまくいかないことへの対処ができないという欠点も。

そんな2人に対して、純粋で努力家、うまくいかないことがあっても周りを参考にできる奏はバレエの結果もさることながら、人間的なプラスの影響すらも波及させていきます。まさにバレエ界のスポ根漫画と言える、純粋なキャラクターたちが課題を克服し、成長していく姿を清々しく描いた作品です。

あまり知られていないバレエの世界ですが、少しでも興味のある方は漫画を読んでみるのがおすすめです。一口にバレエ漫画と言っても、プロを目指す厳しさを描き出したものや、キャラクターの人間性をメインに描いたものなどさまざまな個性があります。ぜひ、イラスト力やストーリー性など重視するポイントに合わせて、お気に入りの一冊を見つけてみて下さい。

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