見ているだけでホカホカあったまりそうな、冬に食べたい料理の本

更新:2021.12.12

こんにちは。私が紹介する料理本シリーズも3回目のテーマとなりましたが、最近みなさんは本屋の料理書コーナーに行きましたか? 料理書は、旬の味や行事に合わせたレシピ本などが一面に並び、より季節感を感じやすいジャンルの一つです。 冬のこの時期、多くの本屋さんの棚で見かけるのは「鍋」や「オーブン料理」といった、表紙を見ているだけでホカホカあったまりそうなレシピブックの数々。今回はそんな寒い日におすすめの5冊です。グツグツ、コトコトと煮えている様子、こんがりと焼けた色合いにきっとお腹が鳴りますよ。

フォトグラファー。東京都出身。 本まとめ記事には「今日、サンドイッチを食べずに(作らずに)はいられなくなる6冊」にて初登場。ちなみにマイ・ベスト・サンドイッチはパリで食べたファラフェルサンド(ピタパンにひよこ豆のスパイシーコロッケと野菜をはさんでヨーグルトソースをかけたユダヤ風サンドイッチ)。 幼少期から本屋で過ごす時間とパンが好き。大学はフランス文学専攻。卒業後は、パルコブックセンター本部(現リブロ)に所属し、店舗企画、フリーペーパーの編集などを務める。 その後アシスタントを経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に、料理や雑貨、インテリアなどの撮影を手がける他、雑誌『カメラ日和』主催の学校にて写真の講師も担当する。 著書に、上海を旅し食のシーンから街の空気を切り撮り、綴った『上海口福案内』(六耀社)がある。また『写真をかわいくとっておく』『ママ&パパのためのスクラップホリックの本』(エディシオン・ドゥ・パリ)など写真を使った作品提供も行っている。
泡の子

すべておまかせしちゃいましょ。

子供の頃、祖母の家にはガスオーブンがあって、よくフルーツたっぷりのパウンドケーキを焼いてくれた思い出があります。そのせいかキッチンにガスオーブン、というのにずっと憧れつつ、結局電子レンジと一体化したオーブンしかない我が家ですが、オーブン料理はよく作ります。

オーブンというとなにやら大変そう、と思うかもしれませんが、ほんとはとっても簡単。本日オススメしたい1冊目のタイトルもずばり直球でこう言っています。

個人的にも大好きで愛用している料理家サルボ恭子さんの1冊は、肉や魚、野菜を切って並べて焼くだけのレシピから始まります。シンプルながら、素材の組み合わせと味付けでバリエーションが広がるし、一見手がかかっていそうなメインディッシュも、下ごしらえで味をしっかりしみこませたら、あとはオーブンにおまかせするだけ。フレンチベースのレシピや本格的なラザニアもあれば、ちょっとしたおつまみになりそうな野菜のおかず、お好み焼きまでのっているので、ひと冬たっぷりと楽しめると思います。

冬の台所でコトコトと。

春も夏ももちろんおいしいけれど、コトコトと煮込んで作るスープがことさら似合うのはやっぱり冬のような気がします。

『スープとパン』は料理家冷水希三子さんのレシピ集。秋から始まり、冬、春、夏とそれぞれの季節にあったスープとパンが紹介されています。さらに一つの季節の中で、朝・昼・夜とシーン別に分かれていて、例えば冬の朝なら蓮根と百合根のポタージュにレモンオイルパン、ランチなら鱈と菜の花のスープが出てきて、夜には鶏肉と長ねぎのみぞれスープといった具合。
具材の旨味がぐっと凝縮したスープとパンさえあれば気持ちよく過ごせる、そんな気分になる1冊です。
 

頼りになる鍋ストウブ。

鍋料理やオーブン料理の本と並んで、人気の本がストウブを使ったレシピブックです。ストウブとは、職人が一つずつ作るフランス生まれの鋳鉄の鍋。どっしりと重みがあり様々な調理方法が可能、美しいデザインなので、グツグツと煮込んだ料理をそのまま出せば食卓が一気に華やぎます。
数あるストウブ本の中でオススメするのは『銀座マルディグラのストウブ・レシピ』です。

銀座のお店で腕を振るう和知徹シェフといえば、「肉のスペシャリスト」!
お店にも数々の人気メニューがありますが、ぜいたくにもこの本には、シェフ秘伝、ストウブを使って家でもおいしく食べられる肉料理が紹介されています。

豪快な牛赤身のステーキもあれば、牛肉の赤ワイン煮込みなどじっくり仕上げる料理まで、一度はチャレンジしてみたいと思わせる料理ばかり。(ちなみに途中に出てくる「トスカーナ・フライド・ポテト」は、お店でも忘れられないおいしさでしたが、この本を見てもう数回作りました!)

そして毎年ライフワークとして、テーマを決めて旅に出かけるシェフならではのワールドワイドなレシピに出合えるのもこの本の楽しいところ。国もハンガリーやチェコにトルコ、アジアからアメリカ、南米まで多岐にわたっています。
ストウブは料理する時に心強い、一生ものの鍋といえるかもしれません。

我が家の冬に必須の鍋本。

4冊目は、冬になるとかならず何度もめくっては作り、そしてやはりおいしくてまたくり返し作るという鍋料理本のご紹介です。その名も『何度でもつくりたい絶品鍋101レシピ』 。

シェフや料理研究家の傑作レシピを集めた1冊には、王道鍋と題し、「すき焼き」だけでも5種類、「しゃぶしゃぶ」6種類、「湯豆腐」も7種類とバリエーションが豊富で、いつも同じ味になりがちな鍋のセレクトに大活躍な1冊。

その他、エスニックな鍋、おでん、漬物de鍋、冬野菜や魚の鍋などなど。鍋に漬け物?と思われるかもしれませんが、例えば「ザーサイ、レタス、トマトの鍋」はもう何度作ったかわからないほど個人的には気に入っているレシピ。ザーサイやトマトの他に、豚肉や干しエビから出汁が出て、レタスはまるごと1玉ペロリといけてしまうほど。辛いタレで食べる肉団子鍋や、四川風塩豚鍋は、キムチ鍋から新たに広がったちょっと辛めの鍋レシピでした。

たくさんレシピがあるので、自分のお気に入りの鍋レシピにであえるかもしれません。
 

フランスまでオーブン料理を習いに。

最後におすすめする『料理を習いにフランスへ』はまるごと1冊、料理家平野由希子さんがフランスへカスレ料理を習いに行った話をまとめた本です。
カスレとはフランス南西部の伝統的な料理で、土鍋にいんげん豆や肉を入れて煮込み、さらにオーブンで焼き上げるもの。肉といっても豚や鴨肉にソーセージなど数種類はいっていて、どっしりと食べごたえ十分です。

寝ても覚めてもカスレな1冊は、ホームステイ先のママに習う家庭のカスレ談にはじまり、パーティーでカスレを食べ、レストランで本格的なカスレを習い、合間にまた別のお店でカスレを食べ……といった具合!
蚤の市でカスレを作るための鍋を探したり、カスレ以外のおいしい土地の食材コラムがあったりと、紀行ものとしてもたっぷり楽しめます。もちろん最後に、しっかりとカスレのレシピものっていますよ。

キッチンでお鍋から湯気がほわっとあがっている風景は和みますよね。まだまだ湯気をあげた蒸篭の中の肉まんとか、冬のあったか料理はありますが、またそんなレシピの本はいつかどこかでご紹介したいと思います。

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