トルストイは、家族について「幸福な家庭はすべてよく似ているが、不幸な家庭は皆それぞれに違う」といった格言を残しています。「家族」は、多くの人が帰属・体験する集団のひとつではありますが、一方でこれほど異なるひとびとを同じ語で定義していることもあまりないのではないかと思います。そういうわけで今回は、家族という奇妙な集団について、少し考えを深めてみましょう。
主人公である専門商社社員・荒岩一味と、そのパートナーである新聞記者の虹子、息子・まこと、娘・みゆきを中心に描く、福岡を舞台としたファミリードラマです。1985年から現在まで30年以上もの間愛されているこの漫画は、「アニメ・漫画好き」でなくともみなさんご存知の長寿漫画の一つではないでしょうか。
- 著者
- うえやま とち
- 出版日
- 1986-01-14
25歳のみくりは、大学院を修了して職なし。36歳のシステムエンジニア・平匡の家で「家事代行サービス」を続けるうちに、平匡から事実婚を持ちかけられ、「契約結婚」生活を始めることになる、という一風変わったラブコメディ。お金を稼ぐために家政婦を続けたいみくりと、同居人がいて癒しのある生活をしたい平匡、もちろん各種控除を利用してお得に生きたいのはふたりとも同じ――という、「制度」としての結婚を利用しながら生きる仮面夫婦を中心に話が進行します。
- 著者
- 海野 つなみ
- 出版日
- 2013-06-13
最近は『おんなのいえ』『先生の白い嘘』『地獄のガールフレンド』など、社会的な視点から「女」を論じる作風で注目を集めている鳥飼茜氏の青年誌デビュー作です。京都を舞台に、主人公であり、家事上手な26歳の会社員・一保と、超美人だがガサツな姉・奈保子と理保子を中心に、三者三様の仕事・恋愛・「家庭」模様が描かれます。
- 著者
- 鳥飼 茜
- 出版日
- 2011-04-22
近年最もホットなトピックの一つが、LGBTの権利に関することがらではないでしょうか。アメリカ合衆国が同性婚を認め、事実上合法化し、渋谷区が同性パートナーシップを承認した2015年は、セクシュアル・マイノリティの人々が形成する「家族」を考える上で特別な年になったと考えられるでしょう。
- 著者
- 田亀 源五郎
- 出版日
- 2015-05-25
家族の機能や構成員の役割など、家族はその時代に合わせて変化を遂げますが、子どもに関する考え方やあり方もまた、大きく変化し続けています。たとえば非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子ども)の出性に占める割合は、世界的にもここ30年で劇的に増加しています。
- 著者
- 渡辺 ペコ
- 出版日
- 2010-01-22
今回はここでおしまいです。家族を扱った漫画は数多く、他にも沢山紹介したい漫画がありました。いずれまた家族の何かに絞りながら「第二弾」もできればと思っています……。さて、次回のテーマは「ジェンダー」。またまた良作ぞろいなので、ぜひ読んでくださいね!
マンガ社会学
立命館大学産業社会学部准教授富永京子先生による連載。社会学のさまざまなテーマからマンガを見てみると、どのような読み方ができるのか。知っているマンガも、新しいもののように見えてきます。インタビューも。