おすすめ絶望漫画ランキングベスト5!

更新:2017.4.10 作成:2017.4.10

絶望漫画とは、暗く悲惨で救いようのない状況を描いた作品を指し、中には気分が悪くなるほど凄惨な内容もあります。しかし、そこに映し出されているのは、現実的な世界なのです。ここでは、絶望漫画と評されている作品を、ランキングでご紹介いたします。

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5位 閉鎖的な田舎の村で起こる悲劇!子どものイジメがエスカレートしたその先とは

「いじめ」という言葉は不思議なもの。暴力や金銭が絡み、大人であれば警察に連行されてもおかしくない案件でも、「いじめ」と付けば、家庭や学校で解決すべき問題になってしまいます。「いじめ」とそれ以上の線引きとはいったい何なのか。

『ミスミソウ』は、いじめが発展し壮絶な復讐劇に発展してしまう物語。なぜ誰も踏みとどまれなかったのか。未成熟な子どもたちの暴走に人間の愚かさと集団心理の恐ろしさを感じるでしょう。

 

著者
押切 蓮介
出版日
2013-03-12


父親の仕事の都合で、雪深い田舎の大津馬村に引っ越してきた野咲春花。廃校寸前の大津馬中学校に通いますが、そこでいじめを受ける事になります。春花は、妹や両親、味方になってくれた相場晄の存在を心の支えに、卒業までの2カ月間を何とか耐えようとしていました。

しかし、春花がいじめられていると知った両親のすすめにより、彼女が不登校となった次の日に事件が起きます。いじめを企てていたクラスメイトが、春花の家を襲撃。家は火事になり、妹の祥子は危篤状態、両親は死亡。家を焼き、両親を殺したのが、春花をいじめていたメンバーだと知った彼女は、家族の復讐のため立ち上がります。

本作は単純ないじめの物語ではなく、いじめている側の小黒妙子や佐山流美にいじめの加害者となった理由があるところが特徴。彼女たちの行動は許されませんが、被害者である春花以外の心の動きもわかってしまうがゆえに、読者のやるせなさと無力感が募ります。

タイトルは雪割草の名でも知られる植物、三角草からとられたもの。2月から5月にかけて三角形の小さな花を咲かせる植物の花ことばは、はにかみ屋、悲痛、忍耐。春を告げる花が作中の春花の姿と重なり、胸に迫ります。

『ミスミソウ』については<『ミスミソウ』の見所を最終回までネタバレ紹介!傑作ホラー漫画の鬱展開…>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

4位 リアルすぎて痛くてしんどい・今は亡きギャグ漫画家の自伝的作品

生きづらさ、という言葉がたびたび話題になります。現代は空気を読むことが必須。自分の言動が他者にどう思われるか気にしすぎて疲れてしまう、という例も珍しくはありません。自分の意見を飲み込み続け、息すら満足に吐き出せないような空気を感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

1992年5月、1人の漫画家がマンションから投身自殺を図り、死亡しました。山田花子は中学3年生の時にデビューし、裏町かもめ、山田ゆうこといった名義で作品を発表してきた漫画家です。観察眼が鋭く、現実をありのままに紙面に描き出した漫画家は、生まれる時代が早すぎた、とその才能を惜しまれました。

 

著者
山田 花子
出版日


『定本 神の悪フザケ』は、山田花子が自身のいじめられた経験をもとに描かれた作品です。おかっぱ頭の眼鏡をかけた女子高生の大槻たまみは、他人にはっきりと意見を言うことができず気弱なため、周囲から軽んじられている存在。そんなたまみの日常が淡々と描かれるのですが、モノローグやエピソードの鋭さが抜群です。大多数に嫌われはしなくとも、善良とはいえない同級生たちのちょっとした言葉の残酷さが浮かび上がってきます。

本作は、その鋭い観察眼から生まれた人間論が見どころのひとつ。人の隠したい本質を突いた言葉は、読者の心も鋭くえぐります。共感するか否かはあなた次第。しかし、消えない何かが心に残るのは間違いないでしょう。

自身の性格にコンプレックスがある人や、人間関係に躓いた経験、いじめ関連で嫌な思い出のある方は手に取る前に要注意。落ち込み気味の時に読むと、さらに落ち込んでしまう可能性があります。生きづらさに寄り添うわけでもなく、淡々と現実を見せてくる作品です。

3位 絶対的な身分制度の中で生きる壊れた人々の物語

現代日本には身分はありませんが、ほんの少し前までは武士、農民、貴族等々と身分を問われた時代もありました。国外を見ても、身分差は表立ってはなくなりましたが、人の心にある差を埋めることは難しく、大きな隔たりを感じることもあります。

『よるくも』は、絶対的な身分制度のある世界が舞台。裕福なものが住む「街」、貧しいものが住む「畑」、そのさらに下には深く暗い「森」があります。「畑」にある高岡飯店で働くキヨコは、常連客の中田の頼みにより、殺し屋・よるくもの食事の面倒を見ることに。

 

著者
漆原 ミチ
出版日
2011-01-28


よるくもは「森」で生まれ大人になった数少ないうちの1人。「森」の子どもたちは名前を持たず、皆「虫」と呼ばれ売られていきます。製薬会社に売られ、薬の実験に使用された子どもは総じて短命ですが、運よく16歳まで生き延びた場合、裏社会の手配師でもある中田によって殺し屋の教育を施されるのです。

痛覚も感情も欠落したよるくもがキヨコと心を通わせることにより、失っていた感情を取り戻していくという展開ですが、ハートフルさは一切ありません。あるのは身分による絶対的な支配と暴力のみ。人は平等だという感覚はなく、強者によって弱者は支配され、また虐げられるという覆りようのない現実世界が広がっています。

よるくもは元々感情が希薄なため、読者はやるせなさを味わっても悲壮感を抱くことはありません。しかし、純粋で明るい性格のキヨコが裏社会の空気にのまれ病んでいく様は、キヨコ自身が選んだ道だけに後味の悪さを覚えます。

町全体に狂気が満ちた物語。子どもに対しても容赦のない対応をするため、残酷な描写やシーンも満載。グロ耐性が無い方は、覚悟して読んでください。身分が無くて良かった、と自分の住む世界の優しさを身に染みて感じることができるはずです。

2位 人の想像をはるかに超えた現代社会の深すぎる闇!不幸すぎる鬱漫画

自分は不幸かもしれない、と思った時に他者と自分を比べることで、自身の不幸を測ることがあります。世の中には想像もつかないような不幸な体験をしながら生きている人が少なからず存在しますが、この作品に登場する不幸をすべて想像できる人はいないでしょう。

創作であるはずなのに、あまりの不幸に目をそらすことしかできない。読者に強い衝撃を与える山野一『四丁目の夕日』。読者は気分が悪い、胸糞悪い、と言いながらも、救いようのない現実を描き切ったと称賛するはず。最も鬱になれる漫画とも言われている作品です。

 

著者
山野 一
出版日


下町の印刷所の長男である別所たけしは、大学受験を控えた高校3年生。経済的には恵まれていませんでしたが、有名私立大合格は確実と言われるほど学業に秀でており、将来は安泰だと思われていました。しかし爆発事故により母親が長期的なリハビリを必要とする怪我を負ったことで、不幸の連鎖がはじまることに。

父親が印刷機に挟まる事故により死亡。多額の借金があることが判明、家を追い出され、母や弟妹のために退学して工場へ働きに出ますが、そこで陰湿ないじめに遭います。この時点で不幸だなと思いますが、ここで終わる漫画ではありません。救われてほしいという読者の期待を裏切り、たけしは不幸のどん底へと落とされていくのです。

高学歴社会、工場生活者の劣等感を描く本作ですが、発表された当時はバブル前夜の好景気の時代。明るい世相に反した転落人生が、社会の中にある闇の深さをいっそう物語ります。人間の心理を突いた作者の信念が映し出された作品から目をそらすことができません。

1位 抗えない本能を持ちながら人として生きることを説いていく問題作

食事、睡眠、排せつ、性欲など、人間には抗いがたい本能が備わっています。それらは生きるために必要なものであるが故に、理性を奪うものでもあります。生きるためには何をしても良いかと言われるとそうではないとい言い、ならば死ねというのかと言われると口を閉ざすしかない。人の生死は単純に論じられるものではないのです。

『アシュラ』は平安末期を舞台にした物語。平安時代と言えば、十二単を纏った女性に和歌や香といった雅やかな文化を想像しますが、それは貴族だけの話。飢饉により民は疲弊し、往来にも死体が転がるという、飢餓と貧困が蔓延した時代でした。

 

著者
ジョージ秋山
出版日


人の屍が積み重なり、日々飢餓にあえぐ中、1人の女が妊娠し赤ん坊を産み落としました。赤ん坊は「アシュラ」と名付けられて可愛がられますが、食料も無く空腹の限界を迎えた母親は、赤ん坊を焼いて食べてしまおうと考えます。しかし、突然の落雷により難を逃れたアシュラは、誰にも育てられないまま、言葉も知らず獣同然に成長していきます。

いずれ害を成すものになると人々から追われるアシュラは、やがて1人の法師と出会います。法師の教えと偶然出会った美しい少女、若狭と村の人々の営みにより、人間らしさを取り戻すアシュラ。しかし、自身を食べようとした母親を許すことができないでいました。

アシュラは人であることを知り、美しいものを美しいと知る心を得たと同時に、許せないことや苦しみを知り葛藤します。ただ単に生きていた頃には知らなかった感情に振り回され、生まれてこなければよかったと嘆き、苦しむのです。人間になったからこそ苦しいのだと言われているようで、胸が締めつけられます。

本作のテーマには仏の教えが盛り込まれています。アシュラや母親、若狭といった登場人物の行動や心理を仏教になぞり解釈することが可能です。生きることがテーマであるため人を食べるという描写がたびたび登場します。シンプルな構成であるだけに、生きることの業の深さをダイレクトに伝えてくる作品です。

絶望漫画とひとくくりにしていますが、その方向性は様々。不幸さを見せつけ、人間のもつ闇の深淵に立たせ、生きることの罪深さを嘆く。負の力に引きずられすぎないようにご注意を。自身の持つ幸福を、改めて大切にしたいと思わせてくれる作品ばかりですよ。