昼休み、連れ立って化粧室に向かう。 笑いながら歯磨きにいそしんだ後は、競い合うように崩れた化粧を直し、各々個室に入る。 個室のドアを閉めると、一気に作り笑顔が消え、「もう疲れた…。」と呟く。 女性だらけの会社で働くあなたには、こんな経験ないだろうか。 かつて、某大企業に就職した我が先輩はこういった。 「うちの会社、女だらけで本当に怖いの。男性はオジサマしかいないし、もう”大奥”の世界だよ。」 今回は、そんな大奥勤めに疲れたあなたへの“処世術”となる本を紹介する。
求人広告にありがちな「女性が多く、働きやすい職場です!」というコピーは、二律背反だ。
確かに男性の目をそこまで気にしない…、という点では、働きやすい面もある。
もちろん、本当に良い女性の同僚に恵まれており、心から働きやすい…と思いながら働いている人も多くいるだろう。
しかし女性が多い職場では、古来から女性特有とも言われるコミュニケーションで、女達がしのぎを削りあっていることも、多々あるのである。
こんな女性だらけの“大奥”で、上手に女性を”捌く”にはどうすればよいのだろうか。
それは、「まずは相手を知る」ことだ。これこそ、解決策への第一歩である。
“大奥”には、「なぜ、そんなことで機嫌を悪くするの?」と、不思議になるような対応をする人間がいるのではないか?
「理不尽に怒られている気がする…」
そんな気持ちをスッキリさせるのに役立つのが、この本だ。
- 著者
- 水島広子
- 出版日
- 2014-04-10
この本を書いた著者の水島広子氏の職業は、精神科医である。
よって、本書のキャッチコピーは大胆にも「対人関係のイライラは、医学的に見れば99%解消できる」という、なんとも頼もしい一節だ。
ケースバイケース、人それぞれ…という言葉がぴったりの対人関係のイライラに対し、なぜ99%解消できる…と著者は言い切れるのか。
著者は、女性同士の対人関係で起こりがちな負の感情の源を「女度」という独自の指標で示しており、なぜ、この感情が引き起こされるのか、背景などを交えながら非常に論理的に説明してくれる。
ロジカルに「女度が高い」行為についてひも解くことで、解消法まで導けているのである。
精神科医という職業柄だろうか、「あるある」づくめの読みやすい一冊だ。
あなたが理不尽に感じた仕打ちは、どういうメカニズムで引き起こされたのかを、この本を読んで、「あぁ、そういうことだったのか」とスッキリしていただきたい。
さて、“大奥”での困った攻撃の数々が、なぜ引き起こされるのか、
そのメカニズムを学んだ次にすべきは、
この戦場でどうやって生き残るか だ。
それにはあなたを攻撃する“大奥構成員”たちへの対応策を知っておく必要があるだろう。
波風を立てず、穏やかに過ごすためには、時にHOW TOも必要なのだ。
さきほど紹介した『女子の人間関係』にも、ケースに分けて困った女性への対応法が記されている。
だが、正攻法だけの備えは、果たして完璧と言えるのだろうか。
王道だけではなく、邪道まで知っておいてこそ、備えは強くなるだろう。
そこでおすすめするのがこの一冊だ。
- 著者
- 辛酸 なめ子
- 出版日
この本自体は”14歳の世渡り”シリーズというラインナップの一冊で、人間関係に悩む思春期まっさかりの女子を対象としており、学校生活での過ごし方を中心に書かれている。
だが、学校は社会の縮図とも言われることは忘れてはならない。
学校は小さな“大奥”なのだ。
自身も有名女子高の出身で、「女子の国」や「大奥」を数多く経験してきた著者だからこその、“処世術”がたっぷり詰まった一冊だ。
邪道な処世術として、“開き直る”方法まで、非常に具体的に紹介されているので、“大奥勤め”に疲れた大人のあなたにも、是非、読んでいただきたい。
ここまでで、“大奥”の相手を知ることと、困った相手に対する対応の仕方を学んだ。
しかし、やはり“大奥”勤めで一番心が折れそうになるのは、波風を立てたくないあまりに、ついつい必要以上に周りの顔色を窺ってしまうことでないだろうか。職場における協調性はとても大切だからである。
しかし、顔色を見続け、愛想笑いを浮かび続ける生活は、辛いだろう。
そんなとき、あなたに職場での“武装”の仕方を教えてくれるのが、この一冊だ。
- 著者
- ロイス・P・フランケル Lois P. Frankel
- 出版日
- 2014-07-31
武装とは、自分自身の”見せ方”のことだ。
あなたは“大奥”の構成員の女性であり、働く女性である。
本書は“働く女”として身に着けておくべき、知っておくべきふるまい方や装いが、101のアドバイスにまとめられている。
あなたは必要以上に従順に、常に愛想笑いで過ごしていないか?
25年のコーチングキャリアを持つ著者は、著書内でいわゆる”大人の女性”としての働き方や振る舞いを教えてくれる。
“大人の女性”は、気遣いは欠かさなくとも、顔色を窺うことはしない。
”大人の女性”は、誰からも信頼されているが、みんなに好かれたいとは考えない。
この本を読んで、”大人の女性”としての考え方やふるまいを実践することが、”女の子”を演じたり、男性的にふるまったりしがちな職場での過ごし方を、良い方向へ変えてくれるだろう。
女性だらけの職場は、時に辛いところかもしれないが、上記3冊から得た処世術によって、”大奥”から”かけがえのない職場”へとパラダイム転換できることを、心から祈っています。