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フェイクニュースに乗っ取られる日本と世界?嘘が生まれる理由、対策を紹介

更新:2020.12.3 作成:2017.4.14

選挙や、一般の人びとの生活までをも混乱させる「フェイクニュース(偽ニュース)」が注目を浴びています。今回は基本的な知識から、日本・世界での具体例、その対策までを、参考になる本や雑誌とともにご紹介しますƒ。

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フェイクニュースとは?その特徴とは?

フェイクニュースとは、真実ではないニュースのこと。短時間で多くの人に情報を拡散できる「SNS」と、客観的な事実よりも、感情的な主張などが影響力を持つという「脱真実(ポスト真実、ポスト・トゥルース)の政治」が台頭する中で、注目を集めています。

デマや虚報と異なる点は、目的を持って意図的に虚偽のニュースを流していることです。誤解や憶測を生むことで、多くの人に混乱を招いています。また、人から人へと広まるのでもなく、マスメディアを使っているわけでもなく、ネットやSNSというコンテンツで虚偽のニュースを流しているのも特徴です。ネットでは、誰でもが情報を発信することが出来るため、拡散すればそのスピード感は大変なものでしょう。

フェイクニュースは、イギリスのEU離脱やアメリカ合衆国大統領選挙に影響を与えたと言われています。選挙といった政治に大きく影響を与える虚偽のニュースは、放っておけない社会問題だといえるでしょう。

なおアメリカのトランプ大統領(2017年4月時点)は、情報が正しいかどうかではなく、政権にとって不都合とされるメディアを「フェイクニュースメディア」と批判しました。ただし今回の記事では、「真実ではないニュース」のことをフェイクニュースとして扱っていきます。

フェイクニュースを見破るのが難しい理由

それでは、なぜ虚偽のニュースであると見破ることは難しいのでしょうか。その理由は、核心の部分は偽物であっても、その他の部分が真実であることが多いためです。

例えば、「日本がデフレに陥ったのは、中国やインドから安価な製品を輸入する量が増えたからだ」という嘘のニュース。確かに、中国やインドといった新興国から、安い製品を輸入している量は、貿易輸入量・額から見ても増加しています。しかし、この輸入の増加と、核心部分である「デフレに陥ったこと」は関係性がありません。

このように、核心の部分は嘘であっても、その他の部分が真実であるフェイクニュースが多いため、ついつい騙されてしまうのです。

日本と海外のフェイクニュース例

①日本

2016年に熊本県が地震に見舞われた際に「動物園からライオンが逃げている」という主旨のフェイクニュースが、ツイッター上で拡散されました。被災地の不安を煽る1要因となった、悪質な偽情報といえます。

その他には、「マイナンバーは抹消することが出来る」、「大麻は有害ではない」などの偽のニュースがまわりました。

②海外

2016年のアメリカ大統領選挙では、「トランプ氏がローマ法王に支持されている」というフェイクニュースが広がりました。そのシェア数は、なんと90万回。一方、「このニュースは偽物だ」と伝える正しい情報は、およそ3万3000回しかシェアされなかったといいます。

さらに、クリントン氏に対する虚偽のニュースが広がったのも有名です。彼女が小生児愛者や児童奴隷を運営する組織の中心人物であると報道された「ピザゲート事件」はTwitterで大きな反響を呼美、一部選挙結果に影響がでたとも言われています。

それ以外にも、ドイツでは、ロシア系ドイツ人女性が拉致され、性的暴行を受けたとい嘘のニュースが報道されました。この報道が嘘のものだと分かる前には、大規模なデモが起こるなど大きな反響を呼んだそうです。

このように日本・世界共にフェイクニュースは社会に大きな影響を及ぼしているのです。

フェイクニュースが、生まれたワケ

偽の情報が発信される理由の一つに、サイトへの訪問者数を増やして広告収入を得たいという、情報発信者側の思惑があります。なお、上述した2016年のアメリカ大統領選挙では、140以上のフェイクニュースサイトが、経済的に苦しむ東ヨーロッパのマケドニアの若者たちによって作られたというBuzzFeedの報告もありました。

しかし広告収入以外にも、偽ニュースが生み出される原因はあるようです。『ネットメディア覇権戦争: 偽ニュースはなぜ生まれたか』では、フェイクニュースが生まれた過程を以下のように説明します。

①かつてはマスメディアが、ニュースの流通(取材から読者に届けるまで)をすべて担当していた
↓しかし、
②ヤフーなどの登場により、ニュースの制作はマスメディア、ニュースの価値判断や読者への伝達はヤフーなどが行うことになった
↓やがて、
③ニュース記事の制作が、ヤフーなどのプラットフォームや、個人(ブロガーなど)によって行われるようになり、フェイクニュースがまぎれ込めるようになった
↓さらに、
④SNSが誕生し、メディア(責任を持ってニュースを発信する者)と、プラットフォーム(情報発信と受信を助ける場所を提供する者)の境界が不明確となり、ニュースの責任者が不在になった

そして④が起きた結果、「プラットフォームとメディアの隙間から」フェイクニュースが生まれたというのです。

本書から読み取れる、時として厳しいネットメディアへの指摘は「この本が、新しいネットメディアとジャーナリズムの黄金期の到来を告げる鐘であることを願っている」という、ジャーナリズムへの誠実な思いが表れた最後の1文につながっているように思えます。ビジネスと社会的な役割(※本文では「猫とジャーナリズム」と表現されており面白い!)という、二つの顔を持つメディアの今、そして、これからを考える上でおすすめしたい1冊です。

※「」内は、本書『ネットメディア覇権戦争: 偽ニュースはなぜ生まれたか』でより引用
著者
藤代 裕之
出版日
2017-01-17

今知るべき!フェイクニュース対策

ここで、対策法を考えてみましょう。今回は、①個人、②国、③検索エンジンという、3つの観点から整理してみます。

まず、個人による対策としては、関連記事を検索するといった方法が考えられます。1箇所の情報だけではなく、信頼に値すると考えられる複数のメディアを確認していく必要があるでしょう。

第二に、国の対策としては、2017年4月5日に閣議決定された、ドイツのSNSへの法規制案が挙げられます。同法ではフェイクニュース通報後24時間以内に該当する書き込みが削除されない場合には、最大5000万ユーロ(60億円程度)の罰金が科される可能性があります。

最後に、検索エンジンのGoogleがとった対策をご紹介しましょう。Googleでは、アメリカ時間の2017年4月7日から、第三者機関による「事実チェック(ファクトチェック)」機能が導入されました。なお2017年4月14日時点では、事実チェック機能がすべての検索結果に反映されているというわけではありません。

メディアリテラシー教育で、挑む

対策法としては他にも、メディアが表現しようとしている意図と、情報が正しいか正しくないかを見極める「メディア情報リテラシー」教育の充実が重要だ、とする声もあります。

「Newsweek(2016年12月27日号)」では、メディアリテラシー教育の一例として、アメリカワシントンにある「倫理とグローバルシップ学校」を紹介します。ただし同書では、倫理とグローバルシップ学校について、あまり詳しく触れられていないので、この記事で補足しておきましょう。

同校では、知的な意欲に溢れ、多様なバックグラウンドを持つ高校生たちのために、全寮制のプログラムを提供。ユニークなカリキュラムを通して、エシカル・リーダー(倫理的なリーダー)の育成を目指します。

なおフェイクニュースについては、メディアリテラシーのケーススタディーを通して学習しています。しかしケーススタディーといっても実践的で、ニュース専門放送局を実際に訪問して、番組担当記者に質問をぶつけたり、過去のニュース番組を見て作成したニュース原稿の一部を、現場に立つリポーターにフィードバックしてもらったりしています。

注意点として、本書では、フェイクニュース特集が組まれているものの週刊雑誌ですので、一つひとつの事項が細かく解説されているわけではありません。しかし2016年12月時点での情報を手に入れる際には、便利な1冊といえるでしょう。まずは、図書館などで手にとってみてはいかがでしょうか。

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2016年 12/27 号 [フェイクニュースの世界]

2016年12月20日
CCCメディアハウス
CCCメディアハウス; 週刊版

真実ではないニュースである「フェイクニュース」。国内外を問わず、情報が拡散されやすいSNSや、客観的な事実よりも感情的な主張などが影響力を持つという「脱真実(ポスト真実、ポスト・トゥルース)の政治」が力を発揮していく中で、注目を浴びています。

今回はそんな背景に潜むものとして、情報発信者が広告収入を得たいといった経済的な思いや、新たなネットメディアの誕生を挙げました。企業などが偽のニュースに取り組むことはもちろん、個人としてもそれらの情報に騙されないような判断力を養っていく必要があるでしょう。