若者の車離れと言われて久しいですが、車漫画ということになると話は別で、未だに根強いファンが多いジャンルです。今回はそんな車漫画の中でも特におすすめの作品を紹介します。
1位は、しげの秀一『頭文字D』。豆腐屋の息子である主人公藤原拓海がひょんなことから峠道でのレースに参加することになってしまいます。拓海は、中学生のころから店の手伝いで車を運転(しかも車に置いたコップの中の水がこぼれないように)していたので、天才的なドライビングテクを持っていました。
拓海は、初めてのレースで有名な走り屋に勝利し、自身も有名になっていき、様々なライバルたちと勝負を繰り返していくことになります。そんな生活の中で、拓海は自身の将来や夢について考え直していくことになるのです。というあらすじの第1部。
次第に「ドライバーの頂点にたつ」という夢を自覚した拓海は、かつてのライバルと共に他県の峠に遠征し、関東最強を目指していく。というあらすじの第2部と、2つの構成に分かれています。
- 著者
- しげの 秀一
- 出版日
- 1995-11-02
ガードレールから1cmしか離れていないようなドリフトが出来るなど、常人離れしたドライビングテクニックを持った主人公が活躍する『頭文字D』。その主人公が乗り回す車「トヨタ・スプリンタートレノ・AE86型」(いわゆるハチロク)が中古車市場で高騰する、「トヨタ・86」というスポーツカーを販売するなど、社会現象にもなったマンガでもあります。
土屋圭市、片山右京などのレーシングドライバーも愛読していると公言しており、その人気の高さがうかがえる『頭文字D』。こまめに技術的な解説を挟んでくれるので、車のことはなんもわからないという人でも読みやすい漫画です。
「貧乏でも努力した奴が勝ってこそドラマじゃねーのか」「みんなが笑ってたこのクルマの本当限界を今から見せてやるから」(『頭文字D』より引用)などこちらも『湾岸MIDNIGHT』と同じく、人気のある名言の多い漫画でもあります。是非一度、様々な人に愛される『頭文字D』の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
日本で最も有名な車漫画となると、本作か『頭文字D』があげられるのではないでしょうか。それくらいに有名な作品でしょう。
オーナーが次々と事故で死んでいくことから「悪魔のZ」と呼ばれている車に魅せられた主人公やそれに挑む速さに魅せられたライバルたち、また首都高という公道で死と隣り合わせのレースをする自分たちをくるっていると自覚しながらその魅力に取りつかれた登場人物たちを描いた作品です。
- 著者
- 楠 みちはる
- 出版日
- 1993-01-05
公道でいかに速く走れるかに魅せられた走り屋たちの、言葉を選ばずに言ってしまえば狂人たちがおりなすこの作品は
「だけどそこまでいかなければ見えない世界があり そこまでいってこそ わかる世界がある」
「大事なことは教えられない 経験でしかわかっていけない」
「結果的に大多数が進む方へ行かなくてもそれを恐れない 最後まで自分を信じていける それはあの頃のあたしになかったモノ あこがれていたわずっと」(『湾岸MIDNIGHT』より引用)
など、名言の宝庫としても知られています。
単行本全42巻と少し長い作品ではありますが、車に興味がない人にも是非読んでいただきたい作品です。
続いて『赤いペガサス』。村上もとかは、ドラマ化もなされた人気漫画『JIN-仁-』の作者でもあります。
過去に観客をはねてレーサーを引退したという経歴を持つ日系英国人のケン・アカバ。彼は「ボンベイ・ブラッド」という特殊な血液型の持ち主で、同じ血液型である妹といつも行動をともにしていました。そんな彼が日本で現役復帰し、F1で優勝するまでを描いた作品です。
- 著者
- 村上 もとか
- 出版日
『赤いペガサス』の連載期間は1977~79年にかけてなのですが、当時はまだ日本でのF1人気というのはそこまで高くなく、認知度も低いものでした。この漫画は、そんなF1界の風通しを良くした草分け的な漫画と言って差し支えないでしょう。
また、主人公以外のドライバー、マシン、サーキット等は実在のものがつかわれています。そして作中で使われている事故等のエピソードには、実際に起こった事故がもととなっているものも散見されるなど、作者のF1に対する愛が感じられる作品となっています。
続いては『オーバーレブ!』。この手の漫画では珍しく、女性が主人公となっています。
主人公は陸上部に所属していた女子高生、涼子。しかし彼女は足の怪我によって、選手生命を絶たれてしまいます。そんな失意の中出会ったサワコという女性が見せたドリフトに惹かれ、車に対する興味を持ちます。そんな涼子が、仲間たちと友情をはぐくみながら車で走る喜びを見出していく、というのがこの漫画です。
- 著者
- 山口 かつみ
- 出版日
主人公が全く車を知らないところからスタートするので、いわゆる「走り屋」を描いた作品としてはかなり読みやすいです。「こんなテクニック本当に出来るのか?」と思わされる描写が比較的少ないのも、その親しみやすさに拍車をかけています。
ちなみにタイトルの「オーバーレブ」という言葉は、エンジンの回転数が許容数を超えてしまうことを言う用語です。
まずは『capeta』。幼いころに母親を亡くし、父親と2人で暮らしている主人公のカペタ。そんなカペタに、父親がお手製のレーシングカートをプレゼントしてくれます。そこからモータースポーツにのめりこみ、才能を開花させていくカペタの小学生から高校生までの活躍を描いた漫画です。
- 著者
- 曽田 正人
- 出版日
- 2003-10-16
作者は『め組の大吾』などでも有名な曽田正人。『capeta』で講談社漫画賞を受賞しています。
この作品の何よりもおすすめしたいところは、「友情」「努力」「勝利」という、少年漫画に必要な醍醐味が全て詰まっている点でしょう。ことレースに関しては天才的なカペタですが、そんな彼がF1を目指して友人たちと力をあわせ、励まし合いながら成長し勝利していく作品です。
その分野にかけては天才的な主人公が仲間たちと努力し、最終的には才能を見せつけて勝利する。テイストとしては、松本大洋の卓球漫画『ピンポン』に近しいものがあるかもしれません。
とにかく熱い少年漫画みたいな車漫画ってないのかな、という人には一押しの漫画です。
『capeta』の作品については<『capeta』魂が震えるレース漫画。感動の名言、最終回の見所、作者など>で詳しく説明しています。
いかがだったでしょうか。今回紹介した漫画は、車漫画の中でもとくにこれは読みやすい、面白い! という作品ばかりです。是非一度お手に取ってみてはいかがでしょう。ただし、公道では交通ルールを守って安全に車を運転することは忘れちゃ駄目ですよ!