『capeta』魂が震えるレース漫画。感動の名言、最終回の見所、作者など

更新:2021.11.25

1000分の1秒の世界で、自らの体力・精神力・頭脳を極限まで稼働させ勝利をもぎとるスポーツ、それが「カーレース」です。魔性とも言うべきその魅力に取り憑かれた天才少年・カペタの熱い闘いに、魂が震えます! 本記事では、レーシング漫画『capeta』のあらすじと魅力を紹介。ネタバレも含みますのでお気をつけください!

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『capeta』が最終回まで面白い!タイトルの意味は?【あらすじ】

アイルトン・セナにシューマッハ。マニアなら誰もが名前を聞いたことのある伝説のF1ドライバーです。その地位に登りつめるまでにどんな道のりがあったのでしょうか?そんな普段なかなか知ることのない「カーレース」の世界を描く作品こそが、『capeta』です!

主人公のカペタこと平勝平太(たいら かっぺいた)は、小学4年生。幼い頃に母を亡くし、建設会社に勤める父と2人で慎ましく暮らしていました。

忙しい父を思い、カペタはいつもガマンばかり。そんな彼のために、父がプレゼントした手作りのカートから、思いもよらない物語が始まります。

著者
曽田 正人
出版日
2018-03-14

父の作ったカートで、ジュニアの大会に出場することになったカペタ。初心者の彼とは違い、周りは練習を積んできた少年たちばかりです。しかも、カペタのマシンは捨てられたパーツで組み上げられたもの……ところが彼は、周囲が驚くほどのセンスを発揮します。

すっかりカーレースに魅了されるカペタですが、経済面など多くの困難が待ち受けることに。しかし彼の才能を信じる父や仲間とともに、必死に夢を追っていきます。

本作の一番の見所は、逆境のなかでも勝利をつかもうとするカペタの姿。タイトルの『capeta』はまさにそれを表していますが、物語が進む中で、別の意味も明らかになります。

極限の状況でくり広げられるさまざまな駆け引き、そして友情や葛藤などの人間ドラマからも目が離せません。レーシングの知識ゼロでも、最後まで夢中になること間違いないでしょう。

作者・曽田正人とは。『シャカリキ!』『昴』でも人気!

作者・曽田正人は1968年生まれ。1990年に『GET ROCK』でデビューしました。

ほかの作品は『シャカリキ!』や『め組の大吾』、『昴』など。いずれも人気作となり、多数の漫画賞を受賞しています。『シャカリキ!』ではロードレース、『昴』ではクラシックバレエ、そして『capeta』ではレーシングと、あまり題材に取り上げられていない競技や職業を題材にすることが作者の特徴です。

著者
曽田 正人
出版日
2005-10-01

どの作品でも、才能ある主人公が夢を追っていくストーリーになっています。彼らがその能力で突き進んでいく様子は痛快ですが、ときにドキっとするような心理描写も。

こうした幅広い知識・物語性に加え、素晴らしいのが作画です。特に『capeta』では、作者がもともとF1のファンであることから、マシンなど丹精込めて描かれているのが伝わってきます。 

緻密な描写によるレースシーンは迫力満点。ぜひその目で確かめていただきたいと思います!


漫画家である曽田正人さんとゲームプロデューサーお二方による鼎談記事<34. マンガ家・曽田正人さん鼎談 >もおすすめです。
 

『capeta』の面白さをネタバレ紹介1:厳しくも奥深いレーシングの世界!

『capeta』の面白さをネタバレ紹介1:厳しくも奥深いレーシングの世界!
出典:『capeta』2巻

スーパーカーや高額賞金と、華々しい面が注目されることの多いレーシング。しかし、才能だけでは競技を続けることもままならない、実は厳しい世界です。

カペタは初出場の大会から持ち前のセンスを発揮しますが、高額なパーツ代や出場料は、父子家庭の彼にとって大きな壁となります。

そこで友達のノブやモナミ、父の茂雄は資金集めに奔走します。彼らの思いを受け、環境面での不利を彼は自らの力1つでねじ伏せていくのでした。

そして次のチャンスを得るには、支援が不可欠になってきます。カーレースを続けるためには、レースで勝つしかありません。彼の勝利への執念は、実にすさまじいものになっていきます。

F1を頂点にして、その下にはF3やFJといった階層があります。カペタも限られた機会を活かし、一歩ずつステップアップしていきます。

しかし、上の階層になるほど、かかる資金も膨大。ただ技術を磨くだけでなく、結果をだしつつも、自身でスポンサーを説得しなければならない場面もあります。

まさに選ばれた者だけが立てる、レーシングの舞台。狭き門だからこそ輝かしく見えるこの世界の奥深い魅力を、本作は見事に描き出しています!

『capeta』の面白さをネタバレ紹介2:際立つ主人公カペタの「勝利」に対する熱意

『capeta』の面白さをネタバレ紹介2:際立つ主人公カペタの「勝利」に対する熱意
出典:『capeta』11巻

世の中には数多くの漫画がありますが、「主人公」には、ある共通点が見られます。

ひたむきで情に厚い。どこか抜けている部分や優しすぎる面があり、つい応援したくなる……それはつまり「人間らしさ」ではないでしょうか?

本作のカペタも、一見するとそんな主人公の1人です。しかし物語が進むにつれ、彼の「主人公」らしくないキャラクターが浮かび上がってきます。

たとえば最強のライバル、源(みなもと)との一戦。彼は才能に恵まれながらも努力家で、小学生の頃から常に彼の前を行く存在です。そんな彼に対し、カペタは憧れの念すら抱いています。

しかし予選中、源は彼の前で別のマシンとクラッシュ。猛スピードのマシン同士の衝突には、命の危険があります。誰もが息を呑みますが、カペタは一切動じることなく2台を抜き去ります。

そしてレース終了後に、彼のことを思い出すカペタ。対戦相手に対して「非情」とも言えますが、彼の頭にあるのは勝利だけなのです。

このような「人間らしくない」主人公は、なかなか珍しいのではないでしょうか。しかし「極限のスポーツにおける天才は勝利しか考えてないのか」と妙に納得させられてしまいます。

『capeta』の面白さをネタバレ紹介3:名言に感動する!

 

レースを通じたドラマも本作の魅力と紹介しましたが、胸が熱くなるシーンや名言も多く登場します。

まずは、初出場の大会でカペタが優勝した場面。興奮する父や友人たちをよそに、彼はスタートの失敗を悔やんでいました。そんな彼に、父の会社の社長が声をかけます。 

「勝った者が何よりまずせなならんことは、大よろこびすることや」
(『capeta』5巻より引用)

勝利は自分だけのものではないことを、彼はこの言葉から学ぶのです。 

その学びは、彼が成長してからも生き続けます。ルーキーながら奇跡の全日本F3チャンピオンとなったカペタは、大勢のスポンサーやスタッフを前にこう語るのでした。 
 

「「あなたの信じたドライバー」が勝つ……ということは あなたの生き方が勝ったということです」
(『capeta』28巻より引用、一部抜粋)

資金やマシンの開発など、決して人では戦えないカーレース。多くの人の想いを背に受け、ドライバーはレースへ赴くのです。

 

著者
曽田 正人
出版日
2012-05-17

 

友人の存在も、カペタにとって欠かせない大きなもの。彼が岐路に立ったとき、背中を押すのは小学校からの親友・ノブです。先に述べたF3で優勝しますが、その挑戦は時期尚早とも言われていました。

「キケンをさけてオッサンみたいな考え方にはなるなよな カペタ」 
(『capeta』17巻より引用)

このノブの一言でカペタはF3への出場を決意。前評判を覆し、見事に勝利をつかむのです。 

珠玉の名言はほかにも。ぜひお気に入りの名場面を見つけてみてはいかがでしょうか?

 

『capeta』の面白さをネタバレ紹介!最終回のあともカペタは走り続ける!結末は…

その才能で快進撃を続けるカペタ。終盤に、頂点であるF1ドライバーを目指すことを宣言します。

しかし「F1ドライバー」と名乗れるのは、世界でたった24人。約70年にわたるF1の歴史で、これまで出場した日本人は19人です。この数字は、F1がほかの競技と比べていかに厳しいものであるかを物語っています。

日本でF3を制したカペタは、世界の選ばれたF3ドライバーのみが出場する「マカオグランプリ」に出場することに。F1への貴重なアピールの場ですが、強豪ぞろいの中で存在感を示すのは非常に困難といえるでしょう。

著者
曽田 正人
出版日
2013-05-17

さらに、マカオには、あのライバル・源も参戦。日本を飛び出し活躍していた彼との対決は、カペタにとって願い続けていたもの。そして、それは源も同じ。

手に汗握る直接対決の結果は、読んでのお楽しみです。2人の天才、本当に速いのは……?また、カペタは、憧れのF1の舞台にたどり着けるのでしょうか。

爆速のマシンを操り、天才たちがしのぎを削る戦場。その熱気と感動に、ページをめくる手が止まりません!


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