最近ヨーグルトしか食べてない気がする。
最初は花粉症対策として食べていたのですが、手間も掛からないし満足感はあるし美味いし。
何よりヨーグルトの良いところは何を入れてもヨーグルトになるということ。バナナ、林檎、蜂蜜、ナタデココetc.。トッピング一つでヨーグルトは幾千のバリエーションを以って僕の舌を楽しませてくれます。
これに気付いてしまった今では自炊も外食も面倒くさい。気づけば今日も3食ヨーグルトです。
……ええ。分かっていますとも。これは「ダメなパターンのヤツ」です。人間の理性が「面倒くさい」に負けてしまい、怠惰な方へ楽な方へと食生活が偏り、栄養失調で風邪を引くパターンのヤツです。
というわけで、一身上の都合でアレなのですが、早急に食への興味を取り戻す必要を感じたため、今回は読んでるだけでお腹が空く、そんな「食」についての作品を3品、皆様と一緒に読んでいこうと思います。
どうぞご賞味下さいませ。
「半額弁当」をめぐって
- 著者
- ["アサウラ", "柴乃 櫂人"]
- 出版日
“なぁ、佐藤。お前にとって、半額弁当はただ売れ残って古くなった弁当でしかないのか?”
貧乏高校生・佐藤洋はある日ふらりと入ったスーパーで、半額になった弁当を見つける。それに手を伸ばした瞬間、彼は嵐のような「何か」に巻き込まれ、気付いた時には床に倒れていた。そこは半額弁当をめぐり熾烈なバトルロワイヤルが繰り広げられる戦場だったのだ。
好んで「半額弁当」を欲する若者達の青春を描いた庶民派シリアス・ギャグアクション。
どうです? このカオスなあらすじ。でもこれが滅茶苦茶面白いんですよ。
シュールな世界観の反面、ストーリーには非常にリアリティがあり、生き生きしたキャラクター達が奏でるヒューマンドラマには集英社らしい友情・努力・勝利があり、不覚にも目頭が熱くなる場面も。半額弁当なのに。
見所はそれだけでなく、濃密な弁当の具材の描写、そして2つの買い物カゴを武器に暴れまわる『大顎』や、カートと高い生活力で戦場を荒らす主婦『大猪』など、無駄にキャラの立っている脇役達。また時折語られるゲーム制作会社「セガ」への熱い愛(完全に作者の趣味と思われる)など、小ネタも盛り沢山。
10年前の小説ですので芸能・時事ネタに関しては若干懐かしい香りがしますが、ネタの鮮度の落ちた感じこそ正に半額弁当の如し。この小説、今が「買い」だと思います。
赤羽の隠れ家的小料理屋
- 著者
- 清野 とおる
- 出版日
- 2009-06-16
“この漫画を読んだあなたは
赤羽に行かずにはいられない衝動にかられるであろう”
変人を題材に作品を描く鬼才・清野とおる氏の代表作。
赤羽在住の作者が日々遭遇する、奇妙奇天烈な事件をエッセイ風に描いたギャグ漫画。
2014年に山田孝之さん主演でドラマ化。
怖いもの見たさ。
「東京都北区赤羽」程この言葉が似合う作品は無いでしょう。
ゴミ袋を楽器に音楽活動を行う謎のホームレス芸術家「ペイティさん」や、飯はマズイ・マスターは超失礼・客は変人ばかりという最高にダメな居酒屋「ちから」などなど……。
最初は赤羽民達の強烈な奇行に爆笑させられるのですが、読めば読むほど「超弩級の変人達に平気で突撃取材出来る作者・清野とおるが一番ヤバい」ということに気付き、ちょっとゾッとする漫画です。
食事系の作品かと言われれば明らかにNOですが、時折地元の人間しか知らない赤羽の隠れ家的小料理屋なんかも紹介されており、東京出張の際には行ってみたくなる魅力があります。
しかし如何せん赤羽、都心から遠いため僕は未だ行けておりません。どうでしょう、近郊にお住いの方、東京に出かける予定がある方は、これをガイドブック代わりに赤羽を観光してみては。