最後の息子
新宿のオカマバーのママ「閻魔ちゃん」のヒモをやっている主人公「ぼく」の物語です。ゲイ狩りにあった友人「大統領」の死をきっかけに、二度と戻らない日々を主人公が撮影したビデオ日記をもとに振り返っていきます。
オカマバー、ヒモ、変なあだ名のゲイ、ビデオ日記、どれをとっても何だか憧れちゃう要素が盛りだくさん。そして、なんといっても主人公の超モラトリアムな生活がとっても魅力的です。十代ならば「自分もこんな生活がしたいなー」と思ってしまいます。
ヒモはだめだよ。
人間の屑(『夫婦茶碗』収録)
誠実に生きたいと願う社会不適合な男性が懸命に頑張った結果、崖から猛スピードで転げ落ちるような物語です。
『最後の息子』の主人公はインテリ系ナヨナヨダメ人間ですが、そんなアマちゃん嫌だね! ナヨナヨしちゃって!って方は、こちらのダメ人間をオススメします。硬派、というかパンクです。主人公が大変な愛猫家で、近所の野良猫の家系図を作るところが面白いです。「黒虎一族」とかね。確実に“ダメ人間”なのに、確実に“かっこいい”と思わせてくれる町田康になりたかった大学生活でした。
神様
305号室に住んでいる「くま」と、主人公の女性「わたし」との物語です。
主人公は「くま」と散歩に出かけたり、「くま」と抱き合ったり、「えび男くん」や「コスミスミコ」と遊んだり、「人魚」が出てきたり、ヘンテコな日々なのに淡々と流れて行くので、読んでいるとなんだかふわふわしてしまいます。
これは大人の空想、大人の童話、一見優しいけれど、時に残酷で歪んだ世界です。だから、十代の女性のみなさん。この小説をしみじみ読んで、ヘンテコな世界にズブズブ入り込んでしまうと女性をこじらせる恐れがありますよ!
サークルに入ってもモテませんよ!(バンドサークルなら平気です)