短編恋愛小説『美女と野獣』

更新:2021.12.6

女子高生と教師の禁断(?)のラブストーリー。島田サキは憧れの英語教師にバレンタインチョコレートを渡そうとしていた。渡すこと自体には成功したサキだったが……。

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バレンタイン

1日かけて作った爆弾が、不発弾になろうとしていた。

2月14日。女の子たちがチョコレートっていう爆弾を作ってくる日。男子全員に絨毯爆撃している子もいる。友チョコなんていって女の子同士で交換し合ってる子もいるけど、それもある意味不発弾。

私が作ったのは一点ものの爆弾。うまく爆発するかはわからないけれど、渡すくらいはできる気でいた。我ながら上手くできたと思っていて、勢い余ってメッセージカードなんていうのも書いてしまった。

渡したとしても彼は本気とは受け取らないだろう。彼は大人だ。私と彼の間には8歳っていう年齢差があって、それがたとえば25歳と33歳っていうなら全然大丈夫なんだろうけど、16歳と24歳では話が変わってくる。それにもっと大きな壁もある。

「島田さん」

「はいぃっ」

声が裏返ってしまって、クラスに笑いが起こる。

「次、和訳お願いします」

「……すみません。聞いてませんでした」

隣の席のカナが教科書を指差して場所を教えてくれる。予習はちゃんとやってきてあるから場所さえわかっていれば答えられる。

「……はい。ありがとうございます。別のことを考えていないで、ちゃんと聞いてくださいね」

「はい」

あなたのことを考えていたのです、とは言えない。

カナが折りたたんだメモを渡してくる。

『緊張してきた?』

心配しているというよりは、からかっている表情。カナだけには、彼にチョコレートを作ってきたことを話してある。

『爆発しそう』

さっと書いてメモを返す。爆発しそうなのは私の心臓。このままでは机から取り出した瞬間、爆弾は爆発して、私を粉々に砕いてしまう。爆発するならせめて彼の手の中で、よしんば口の中で、叶うなら心の中で。そう願わずにはいられない。

そんな私の気も知らずに、彼は教壇で教科書の英文を読んでいる。私の大好きな声で。

先生と私

初めての授業の日、乾先生はいきなり英語で自己紹介を始めた。流暢な発音。まるで映画の俳優みたいな声だと思った。しゃべっている意味はよくわからなくて、たぶんクラス全員わからなかっただろうと思う。

ひとしきり英語で自己紹介を終えた先生は、今度は日本語で自己紹介をし直した。

今にして思えば最初にインパクトを与えようとしたんだということはわかる。実際、インパクトはあった。ただ、私にはインパクトが強すぎた。あんな風に英語でしゃべる人は今までまわりにいなくて、違う国から来た人なんじゃないかと思った。濃いめの顔で、身長は180を超えているだろう。体型も日本人離れしていて、服の上からでも筋肉が盛り上がっているのがわかった。スポーツをやっていたのかもしれない。柔道というよりアメフトのイメージ。

実際、私の感想は外れではなかったようで、先生は学生時代に留学経験があって、卒業後1年かけて世界一周してきたという。授業がだれてきた時に話してくれる世界一周の話は面白くて、私は週に4回の英語の授業が一番の楽しみになった。

人間、好きになってくると成長するものらしく、中の上くらいだった英語の成績は前期末にはクラストップになっていた。

90点のテストを私に返す時に先生はよく頑張りましたと言いながら、ひとつ注意を加えた。

「島田さんはvの字に気をつけた方がいいですね。rに見えてしまうとバツにされてしまいますよ」

先生に言われて初めて自分の癖に気がついた。確かに私のvはふにゃんとなっていてrに見えないこともない。意地の悪い先生であれば、バツをつける人もいるかもしれない。それでも私は癖を直さなかった。小テストや宿題なんかのたびに赤線を引っ張られて注意されるのが嬉しかったのだ。赤線は、先生が私を見ていてくれているしるしだ。

そういう話をするとカナは、サキってば乙女~、と笑う。

「実際、どこがいいの?」

そんなことをカナは聞いてくる。

「どこって、世界一周とか豪快なことしちゃうけど、実は繊細なとことか」

先生の外見は全然繊細じゃない。ひどい言い方かもだけど、おおざっぱな作り。動物でたとえるとしたら熊、かな? でも乱暴なやつじゃなくて、プーさんみたいにとぼけたやつでもなくて、丁寧な口調で話す紳士的なくまさん。

「繊細かどうかなんて、授業だけじゃわかんないでしょ」

カナの言う通り、私は授業でしか先生との接点がない。繊細に見えるのも生徒に対して作っている姿かもしれなくて、家ではぐーたらで洗濯物もたまっていて、掃除もほとんどしていないのかもしれない。

いや、本当はカナにも言っていないことがある。私は一度だけ、先生と一緒に帰ったことがあるのだ。

優しい先生

その日、私はソフトボール部の練習で足をくじいていた。部活の間はなんとなく我慢できていたけど、部室でソックスを脱いで自分の腫れた足を見て急に痛くなってきた。これじゃ普段通り歩けないなと思って、いつも一緒に帰る部の友達には理由をつけて先に帰ってもらうことにした。

少しだけ足を引きずりながら帰り道を歩いた。

歩いてみると意外に歩けてしまうもので、みんなと一緒に帰れたかもしれないと思った。よくある話だけど、自分ではすごく腫れているように感じても、実際に見てみるとそうでもなかったり、一見、腫れているように見えても、それは足の痛みが錯覚させているだけであったりすることがある。今度のもそういうことだったのだろう。自分の中では足を引きずっている感覚があるけれど、はたから見たら普通に歩いているように見えるかもしれない。

大丈夫。痛くない。

「今日はひとりなんですか?」

声をかけられて振り返ると、乾先生がいた。ゆっくりと自転車をこいでいる。いつもはソフトボール部の集団の横をお疲れさまーって言いながら結構速いスピードで帰って行くのに、今日はゆっくり。

「ひとりですよ」

ひとり寂しく帰っているのを指摘されて怒っている生徒みたいな感じで言う。

「そうですか……足、痛いんですか?」

どきり、として思わず先生の顔を真っ直ぐ見てしまう。いつもと同じちょっと濃いめの顔がそこにあって、次の瞬間、どわーっと内側から何かが溢れてきて、気がついたら泣いていた。

「大丈夫ですか!? そんなに痛いんですか!?」

急に取り乱して先生が言う。

痛いんです。足ではなくて心の方です。誰だって、そんなところを不意に突かれたら痛いでしょう。

そう言う代わりに、私はわがままを言った。

「駅まで乗せてってください」

「……わかりました」

先生は嫌そうにではなく、足を痛めている生徒を送るのは当然とでも言うような表情でうなずいた。でも、一瞬だけ迷いがあった。それはきっと、私が男の子だったら生じなかった迷い。

「ちゃんと捕まっててくださいね」

言われなくてもそうする。足を片側で揃え、手を腰に回す。抱き締めるとつかむの中間あたり。想像通りしっかりとした腰まわり。指先が浮き上がった腹筋に触れる。

緩やかな坂道を下っていく。さっきまでよりはずっと速く、でもいつもの先生よりは遅いスピードで。

駅までの3分間はすぐに過ぎてしまったけれど、それだけで先生が優しいってことはわかった。

放課後、自転車置き場にて

先生とのことで思い出すのはあの帰り道のことなのだけれど、その前から先生のことは好きだったような気がする。面白い先生だなとか、先生として好きだなっていう感情は自然なものとして受け入れてたんだけど、男性として好きだっていう感情は見ないようにしていたんだと思う。それが、あんな他愛もない一言で、あっさりと頭の大部分を占めるようになってしまった。

さしあたっての問題は、手の中にある爆弾。私の中のモヤモヤを形にしたもの。差出人の名前のないメッセージカードを添えて。

バレンタインデーが2月なのはチョコレートが溶けないようにってのがあるのかもだけど、私の体温で箱の中のチョコレートは溶けてしまっているかもしれない。

結局、先生に直接渡すことはできずに、自転車のカゴの中に入れることにした。でも、下駄箱と違って他の生徒や先生からも丸見えだから心配で、先生が来る直前にカゴに入れようと思った。

カナが先生用の通用口の近くで見張ってくれている。

ポケットのスマートフォンが震える。カナからの電話だ。

「先生、今出たよ」

「ありがとう!」

そう言って電話を切って、急いでチョコレートの箱をカゴに入れて、自転車置き場の陰に隠れる。

セーフ。見つかってない。遠くからでもわかる大柄な先生のシルエットは、普段通りの歩調でこちらにむかってくる。

自転車のすぐ手前で、カゴに何か入っていることに先生は気がつく。私の入れたチョコレートの箱を手にとって、裏返したり、耳のそば振って音を聞いたりしている。かわいい。

結局持って帰ることにしたようだ。箱をカゴに戻して、正門にむかって自転車をこいでいく。

去っていく大きな背中が見えなくなるまで、私は自転車置き場の陰から動かなかった。

条件をつけて

「カードに名前書いてないの?」

カナは私がメッセージカードに名前を書いたと思っていたようだ。

「だって、書いたら私が作ったってばれちゃうじゃん」

「違うでしょ。書かなきゃ、サキが作ったってわかんないでしょ」

「私が作ったものを先生が食べてくれるだけで十分なの」

「わかんないわー。時間かけて手作り作って、放課後先生が来るまで待って、それで食べてくれるだけでいいって」

「カナ付き合ってくれてホントありがと。今度ジュースおごるから」

「いや、それはいいんだけど。本当にそれでいいの? 来年は先生と接点なくなっちゃうかもしれないんだよ?」

確かにカナの言う通り、来年は違う先生が英語の授業をすることになるかもしれない。というか、その可能性の方が高い。廊下ですれ違って挨拶する程度になるだろう。そしてそのまま卒業して、先生の記憶から私の存在は消えて、私の中にある先生の記憶も少しずつ薄れていって。

「青春の1ページってやつ? ってことでいいんじゃない?」

「ホントに大丈夫なの?」

大丈夫なわけ、ない。

「大丈夫」

なら、こんなに苦しいはずない。でも、そう言うしかない。だって、私は16歳で、先生は24歳。私は生徒で、先生は先生。

と、カナには大丈夫と言ったけれどやっぱり大丈夫ではなくて、告白したいとまでは思わないけれど、せめて私があのチョコレートを作ったことは知って欲しいと思う。でも、メッセージカードの文面を思い出して赤面。あれじゃほとんど告白みたいなものだ。でも、冗談めかした感じで、どっきりしました? とか聞いてみるならありかもしれない。

何か条件をつけて……そうだ。3月の期末テストで英語100点取れたら、言ってみよう。難しいけれど、可能性はないわけじゃない。

ラブレター

私はいつも以上に勉強した。英語ばかり。受験生もかくや、というくらい。前期の中間と期末、後期の中間の3回のテストで先生の問題の作り方はわかっている。9割は選択式で残りの1割は和訳。長文問題は教科書からそのまま出すから、授業でやった長文を丸暗記。あとは単語をしっかり憶える。アクセントの問題も必ず出るから、意味がわかるだけじゃなくてちゃんと読めるようにする。先生の発音を思い出して。

英語のテストの前日、というか当日は徹夜した。生まれて初めての徹夜だ。だって、先生の最後のテストになるかもしれない。100点を取る最後の機会。少しだけ、思いを伝える最後の機会。

私はひどい顔をしていたらしい。カナには心配された。テスト期間は午前中だけだから、家に帰ってから寝れば平気と答えた。

英語のテストは、長文の下に和訳が見えてくるほどだった。選択問題も消去法とかではなく、答えが目に飛び込んでくる感じ。本当に勉強ができるっていうのはこういうことなのかと思った。予想外だったのは最後にあった英作文。これまでのテストでは出なかった問題形式。1年でどれだけ成長したのか見るということなのかな。そんなに難しい問題でなくてよかった。時間が余って2回繰り返して見直ししたからケアレスミスはないと思う。

試験監督の先生がテストの終了を告げる。満点を取れたかどうかより、やっと終わった、早く寝たいと思った。そのあとの物理のテストは全然わからなくて、半分ほど回答欄を埋めて熟睡。おやすみなさい。

早く高校を卒業したいと思う。高校を卒業すれば、私は18歳で先生は26歳。私は大学生で、先生は先生だけど私の先生じゃない。世間体が悪いかもしれないけれど、PTAとかに怒られることにはならないはずだ。さすがに高校生と付き合ったとかになったら、学校側としては処分しなくちゃいけなくなるだろうけど。って、付き合うって、そんなの今までリアルに考えてなかった……って言ったら嘘になるけど、半分はホント。考えてはみたけれどリアルに想像できなかったっていうのがホントのところ。でも、告白して、もしもOKされたら付き合うってことになる。可能性としてはすごく低いんだろうなとわかってはいるけど、でも、ゼロじゃない。

期末テストは私が全力で書いたラブレター。私が勉強したのは私のためじゃなくて、先生のため。先生に、あのチョコレートは私が作りましたって言うため。

テスト返却

運命のテスト返却の日。100点を取れたとして、先生に言うとしたら、できるだけかわいい顔をして言いたいと思う。テストの日みたいに徹夜明けの顔なんかじゃダメだ。空気が乾燥した冬は油断すると唇がカサカサになってしまうから、ちゃんとリップも塗る。

答案の束を持って教室に入ってきた先生は、いつもと同じように出席番号順に教壇に生徒を呼んで返していく。私は島田だから出席番号15番。30人クラスのちょうど真ん中。ひとり、またひとりと教壇に生徒が呼ばれ、順番が近づいてくる。ア行が終わって、カ行。判決を言い渡される被告の気持ち。カ行も、もうすぐ終わる。まわりの音が段々遠くなっていく。サ行。

「島田さん」

何も言わずに立ち上がる。教壇にむかう少しの間に、足が震えてしまいそうになる。というか、実際震えている。足だけ別の生き物になってしまったみたいだ。顔を上げて堂々と歩こうと思ったけれど、やっぱり先生の顔を正面から見ることはできなくて、ちょっとうつむきがちになる。

教壇につく。

「よく頑張りました」

顔を上げる。

答案。私の名前の横にある数字は、99。

「癖は直らなかったみたいですね」

一番下の英作文が△。私の書いたvは、確かにrに見える。先生が何回も注意してくれたのに直さなかったのは私が悪い。でも、今日ぐらいは、今日だけは○にしてくれてもいいじゃないですか。

「ここで1点落とすよりも受験で1点落とされる方が大きいですから、心を鬼にして△にしました」

私にとっては受験の1点よりも今日の1点の方が大きいんです。この1点は先生の拒絶。私と先生の間の壁。私は点数をつけられる側で、先生は点数をつける側。私と先生の関係は、どこまでいっても生徒と教師。してはいけない恋をしてしまった私は、身分違いの恋をしてしまった私は、もちろん、有罪。

ただうつむいて席に戻る。

帰りたい。あと半分の答案返却とテストの解説は私には無意味。私はへたくそなvがrに見えてしまっただけで、間違いはしていないのだから。

先生は99点をとった私も、赤点をとった生徒も変わりなくテストを返却していく。むしろ赤点をとった子に多く話しかけているくらい。私はしょせん、ワン・オブ・ゼム。

美女と野獣

クラスが騒がしくなる。明らかにテストと関係ないタイプの騒がしさ。

何があったかはすぐにわかった。クラスのめざとい女子が、先生の薬指の指輪に気がついたのだ。今月のはじめには確かになかった指輪。先生を正面から見なかった私は気がつかなかった指輪。

「婚約しました」

先生は少年のように恥ずかしそうに、でもはっきりと嬉しそうに言った。

クラスが大騒ぎになって、婚約者の写真を要求する。

その光景を見て、まったくショックを受けていない自分にショックを受ける。私の中で、先生への思いはもう過去のものになってしまったみたいだ。

これだけクラスが騒がしくなるってことは、先生はやっぱり人気があったんだなと思う。どうでもいい先生が婚約したところで誰も騒がない。そもそも指輪に誰もツッコミを入れない。そういうことを冷静に考えている私。

じゃあ、私が仮に100点をとったとしても何にもならなかったってことだ。99点でよかったです。余計な恥をかかずに済みました。

「大丈夫?」

騒がしいクラスのなかで、隣の席のカナだけが私のことを心配している。

「大丈夫」

大丈夫。だって、大丈夫になる他ないから。大丈夫じゃないと認めてしまったら、本当に大丈夫じゃなくなってしまうから。

いっこうに落ち着く様子を見せない生徒たちに先生は折れて、胸ポケットから1枚の写真を取り出す。

クラスのほとんどが教壇に駆け寄る。

「美女と野獣だ」

男子が言う。確かに。先生と一緒に写真に写っている女の人は、10人が10人とも美人というだろうわかりやすい美しさ。横に並ぶ濃ゆい顔の先生は野獣のようだ。

ディズニーのアニメみたいに、美女に愛されたからと言って先生がイケメンになるわけではないけれど、問題ないでしょう。だって、美女は野獣の外見を愛したのではなく、内面を愛したのだから。

ベルに愛された野獣は呪いから解き放たれ、人間の姿に戻り、ベルとキスをする。感動的なラストシーン。それでも、ベルは野獣の姿の王子とキスをするべきだった。

その方がきっと美しい。

I love you

「島田さん」

帰ろうとすると呼び止められる。振り返る。乾先生だ。

「なんですか?」

いつになく尖った口調の私に、先生が少したじろぐ。

「いえ、あの、チョコレートおいしかったです」

え?

「これはお返しです」

先生は私にキャンディーの袋を渡す。たぶんちゃんとした店のやつ。そういえば今日はホワイトデー。

でも、どうして、私があのチョコレートを作ったのがわかったのだろう。

「vとrはちゃんと書けるようになりましょうね」

言われて、はっとする。チョコレートに添えたメッセージカード。差出人の名前のない『I love you』。

先生はそれだけ言って、くるりと私に背を向けて去っていく。

私は先生の姿が見えなくなるまでその場で茫然としていて、先生が視界から消えて、ようやく歩きだす。

袋を開けて、赤いキャンディーをひとつ取り出して口に入れる。甘い。袋の口をリボンで結び直して、バッグの中に入れる。

先生は、ずるいと思う。大人の余裕で。婚約者もいるのに。

それでも、それでも私は先生の姿が見えるだけで幸せに思ってしまう。授業を受けられるだけでいい。まだ私の恋は過去のものになっていない。

昇降口を出る。外はくもり空だ。

来年も先生が英語を担当してくれるのだろうか。

そうだといい。先生の薬指の指輪が見えて胸が苦しくなることがあるかもしれないけれど、それでもいい。
もしも先生が来年も英語を教えてくれたとしたら、私はこりずにふにゃふにゃのvを書くだろう。『I love you』のv。

顔を上げた私の頬を、一粒、雨が濡らした。

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