剣道がアツいおすすめ漫画ランキングベスト5!

更新:2021.12.19

剣道。それは我が国が誇る伝統武道の1つ。世界に誇る漫画文化はあらゆるものをモチーフとするエンターテインメントですが、勿論剣道漫画もあります。今回はそんな剣道漫画の中からおすすめ作品ベスト5をご紹介しましょう。

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1位:色褪せない名作!剣道漫画といえば『六三四の剣』

主人公夏木六三四(なつきむさし)は、「岩手の虎」栄一郎と「東北の鬼ユリ」佳代の間に生まれた剣道一家のサラブレッドです。六三四は栄一郎が剣道の岩手県大会で優勝した日時、6月3日4時に生まれたことから、剣豪宮本武蔵にもあやかって六三四と名付けられました。六三四はそんな両親の期待通り、剣道の腕を上げていきます。

六三四が小学1年生に上がった時、悲劇が起きました。剣道全日本大会で戦った栄一郎が、優勝と引き替えに負った怪我で亡くなってしまうのです。試合相手は栄一郎の先輩、東堂国彦でした。国彦を憎む六三四でしたが、彼の息子、東堂修羅とは気が合い、切磋琢磨して成長していくことになります。

著者
村上 もとか
出版日

本作は1981年から「週刊少年サンデー」で連載された村上もとかの作品。正統派剣道漫画としての評価は未だに高く、剣道漫画の草分け的存在でもあります。1984年に小学館漫画賞少年部門を受賞。アニメ化やゲーム化もされ、当時の剣道ブームの火付け役にもなりました。

2位に挙げた『しっぷうどとう』が団体戦ならば、『六三四の剣』は剣道の個人競技としての面に焦点を絞った作品。六三四をはじめ、剣道に打ち込む少年少女の精悍な姿を余さず描ききっています。

六三四は両親が経験者、タイトルホルダーであることから、その才能は折り紙付き。栄一郎を亡くしてからは、父への憧憬と国彦への憎悪から一層剣道に打ち込むことになります。本作は主に六三四の少年編と青年編に分けられますが、彼が青年編までにまっすぐ育つことが出来たのは、彼自身の性質もさることながら、ライバルのひたむきさに寄る部分も大きいのではないでしょうか。

最大のライバル、修羅。父の仇と憎む六三四と同様、自分に厳しく、母につらく当たる国彦を修羅は恨みに思っています。後に母親の件は誤解だったことが判明しますが、東堂国彦は六三四と修羅の2人にとっての壁でした。そんな2人が心の底から競い合うことで、純粋に剣の腕が磨かれ、いつかその他のことが雑事となっていったのでしょう。

2人とは対照的に、複雑な家庭環境から屈折して育った乾俊一は、珍しい二刀流の使い手です。対戦の経緯から六三四に激しい憎悪を抱く彼は、六三四あるいは修羅の鏡写しのキャラだったのかも知れません。彼も剣道を通して更正していくこととなります。

忘れてはならないのがヒロインとも言える轟嵐子(とどろきらんこ)。六三四とは幼い頃からの剣道仲間です。嵐の日に生まれたことから嵐子と名付けられ、そう言った点でも六三四とは共通点が多いキャラ。高校生編では自身の六三四への想いに気付き……。

剣道の基本的な体捌きもしっかり解説されており、入門書としても最適。熱く滾る剣道の青春を描いた『六三四の剣』、本作こそ剣道漫画のベストに相応しい1作です。

2位:竹刀にかける青春!おすすめ剣道漫画『しっぷうどとう』

佐倉神城高校1年の長門烈は気弱な性格で、受験に失敗したことを悔やむ少年です。衝突を避け、細々と生きる自分にコンプレックスを抱いており、鬱屈とした新生活を送っていました。

ある日、クラスの男子全員が2年生の不良に呼び出されました。伝統のいわゆるしごきです。卑屈に生きることに嫌気の差していた烈は、これに反発。烈が不良から制裁を受けられそうになった時、たまたま通りすがった阿南俊に救われました。彼は剣道部2年のエースでした。烈は阿南の芯の強さに憧れて、剣道部の門戸を叩きます。

著者
盛田 賢司
出版日

本作は1996年から「ビッグコミックスピリッツ」に連載された盛田賢司の作品。当時の青年誌では珍しく剣道を題材にした漫画でした。

列はとにかく内向的というか内省的というか、中学時代までの自分の行いに劣等感を感じている少年です。しかし、心の奥底では、情熱をたぎらせる瞬間を待っているようでもありました。そして彼は、阿南をきっかけとして、剣道と出会うことになります。

佐倉神城高校剣道部は慢性的な部員不足で、1年生の加入は大歓迎でした。素人の烈に対しては、基礎からみっちり教え込んでいきます。彼は中学時代に長距離を自転車通学していたことから足腰が強く、作中でもそれを意識した練習が行われます。

そして何よりも烈が内に秘めた熱意。初めて竹刀を持った列と相対した阿南が、無我夢中の彼から殺気を感じ取るほどの凄まじい気迫でした。

本作での試合は団体戦が描かれます。剣道は個人技ではありますが、団体戦においては選手の出場順はある種の盤外戦略として非常に重要な点。部員不足なためいきなりレギュラー入りする烈がどう配置されるかも見所です。

剣道特有の静かに張り詰めた空気。研鑽に研鑽を重ねた技をぶつけ合う緊張感が、見事に表現された1作。個人の働きだけでなく団体の総合力が試されることから、取り組みにはより一層の重みが感じられることでしょう。

3位:恋に勉強に部活に真剣な女子高生の剣道漫画『BAMBOO BLADE』

主人公の石田虎侍、通称コジローは室江高校の剣道部顧問。とはいえ、受験のため出てこない3年、幽霊部員だらけの2年と、剣道部は開店休業状態にありました。張り切っているのは、2年生で部長の千葉紀梨乃ことキリノただ1人。熱意のないコジローは、貧乏で食費も切り詰めており、体力節約を理由にキリノの指導もろくにしませんでした。

そんなコジローが突然奮起。剣道部女子部員加入に燃え出します。他校剣道部の顧問を務める学生時代の先輩が、寿司食べ放題をちらつかせて、女子の練習試合を持ちかけて来たのです。有望な生徒を探すコジローは、降りかかる災難を竹箒1本で文字通り振り払う、恐るべき女子生徒、川添珠姫(かわぞえたまき)と出会います。

著者
土塚 理弘
出版日
2005-09-24

本作は2004年から「ヤングガンガン」で連載されていた土塚理弘原作、五十嵐あぐり作画の作品。メディアミックスもされて好評を博し、「月刊少年ガンガン」で『BAMBOO BLADE B』、「月刊ビッグガンガン」で『BAMBOO BLADE C』という共通の世界観を持ったスピンオフ漫画が展開されました。

本作の特徴はその緩さ。普通、こういった部活漫画は題材とする部活を中心に描かれるものです。しかし、本作で剣道に熱中しているのは真面目なツッコミ役のキリノぐらいで、他の部員は各々の青春を謳歌しています。それが逆に味にもなっており、そしてリアルな高校生像であるとも言えます。

それでは剣道パートが疎かかというと、そんなことはありません。非常に現実的な描写、ストイックな試合運びが行われます。突出した強さを持つのは、剣道部のマスコット兼最強剣士のタマちゃんこと珠姫だけです。実家が道場の彼女は、同世代ではほぼ敵なしの超高校級。

剣道に真摯な珠姫ですが、それは家業だからであって、心から好きでやっているわけではありませんでした。それがコジローをはじめとする剣道部の緩い面々との部活動、趣味を通じて、少しずつ彼女の内面の変化が描かれていきます。

練習にサド的な楽しみを見出す、やや危険な宮崎都(みやざきみやこ)は部活より彼氏優先。自分探しに忙しい無軌道な桑原鞘子。剣道好きでも学力が酷くてそれどころではない東聡莉(あずまさとり)。緩い高校生活の日常を挟むことで、ともすれば地味に見える現実的な剣道描写を際立たせているのです。

キャラ立ちした個性的な5人が揃い、団体戦に挑む女子剣道部。年長者として、指導者として、そして剣道経験者として時に彼女達を導き、時に彼女達に教えられるコジロー。室江高校剣道部女子の放課後的まったり部活動の行く末にご注目ください。

4位:短剣道で敵を制す。珍しい短剣道を描いたおすすめ漫画『しなこいっ』

猪口道場の門下生、遠山桜。一瞬で間合いを詰める戦闘スタイルからついた渾名が「跳ね馬サクラ」。師範の猪口安吾との稽古でも引けを取らない実力者です。

そんな猪口道場を訪れる男がいました。榊龍之介。彼は母の命を奪った仇敵、鳴神寅(なるかみとも)を討つため、手がかり探しと修行を兼ねて道場破りをしています。龍之介は勝負の末、安吾を打ち破りました。見かねた桜が龍之介に挑みかかります。彼女が手にするのは通常よりも短い、短竹刀と呼ばれる竹刀でした。

著者
神崎 かるな
出版日
2011-11-23

本作は2008年から2013年にかけて連載された黒神遊夜原作、神崎かるな作画の作品。当初「月刊コミックラッシュ」で開始されましたが、雑誌改変の都合で2011年から「月刊少年エース」に移籍、完結しました。

主人公の1人、桜が使う短竹刀は竹刀の長さをサイズダウンしたような見た目で、あまり見慣れません。これは短剣道の競技で使う武具。短剣道とは脇差しで戦う技法、小太刀術を源流とした剣道の亜種で、実在する武道です。本作は世にも珍しい短剣道をクローズアップした漫画なのです。

短剣道は短竹刀を用いる以外には、さほど剣道と違いはありません。ただ、近距離の間合いで戦うという特性上、有効打突は「胴突き」「喉突き」「面」「小手」の4種のみとなっています。そして剣道との最大の違いは、右手で短竹刀を使い、左手の方は相手の動きを制するために使用するという点でしょう。制体技という短剣道特有の技術です。

桜もこの短剣道の特性を活かし、剣道相手に大胆に踏み込んで翻弄します。

もう1人の主人公で、復讐者の龍之介。紆余曲折を経て桜を暮らすことになる彼は、母である辰子の秘太刀「運耀(うんよう)」を受け継いだ示現流の使い手です。

桜は龍之介の運耀を破ったことで、「番号持ち」と呼ばれる者達との戦いに巻き込まれていきます。強さの序列を決める「番号」。彼らと龍之介の仇敵、鳴神との関係は? 桜は迫り来る相手との戦いに勝利し続けることは出来るのでしょうか。

5位:剣道経験者の漫画家・青山剛昌が描く冒険活劇『YAIBA』

主人公の鉄刃(くろがねやいば)は、父の剣十郎の下、サムライを目指して修行する少年剣士です。ジャングルで生活していた彼らはある日、誤って輸出貨物の荷に乗り込んでしまい、そのまま日本へ。当然空港で見つかって追われるはめになりますが、そこで剣十郎の知己、峰雷蔵とその娘さやかと遭遇。どさくさ紛れに峰家に居候することとなります。

峰家で生活し始めた刃は、さやかの通う中学校で剣道部の鬼丸猛(おにまるたけし)と出会いました。サムライを目指す刃と、腕に自信のある鬼丸の対決。刃に勝ちたい一心で、鬼丸は秘伝の魔剣・風神剣を使い、文字通りの鬼と化します。刃とさやかは、暴走する鬼丸を止める手立てを求めて冒険の旅に出ることとなりました。

著者
出版日

本作は1988年から「週刊少年サンデー」で連載された青山剛昌の作品。作者自身の剣道経験を生かしつつ、少年向けの王道アクションに仕立てた冒険活劇漫画です。1993年には小学館漫画賞児童部門を受賞しました。

サムライを志して剣道に勤しむ少年刃と、剣道場の娘で自身も剣道の使い手というヒロインさやかが主要人物。当初コメディタッチで進行していた物語は、長きにわたって刃のライバルとなる鬼丸の登場で一変します。剣道に燃える実直な男だった鬼丸が、刃と竹刀を交えることで憎しみをつのらせ、禁断の剣を抜き放ってしまいます。

そして剣道のいさかいから始まった戦いが、日本全土を巻き込んだとんでもない事件に発展。相対する刃も、鬼丸の風神剣と対になる雷神剣を手に入れ、剣からより強い力を引き出すための伝説の7つの宝玉を巡る冒険に身を投じていきます。

歴史上の剣豪が敵味方に登場するのも特徴です。宮本武蔵、佐々木小次郎、柳生十兵衛。彼らの指導、試練を乗り越え、強敵に打ち勝っていく刃。連載当時の読者は胸を熱くさせたことでしょう。これがきっかけで剣道を始めたという人も少なくなかったとか。

戦う度に強くなる刃は、彼の目標とする強いサムライとなって、平和な世の中を取り戻すことが出来るのでしょうか。

いかがでしたか? 同じ剣道を下敷きにしていても、作者の指向でこれほど違いが生まれるんです。味付けは違っても、読後には剣道をやってみたくなるのは共通。一読してから竹刀を握ってみるのも悪くないかも知れません。

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