建築家、安藤忠雄のおすすめ5冊!仕事への向き合い方を考える。

更新:2021.12.19

現代日本を代表する建築家、安藤忠雄。手掛けた建築物のみならず、その異色のキャリアにも関心が集まっています。彼の仕事と人生に関する著作から私たちは何を学び取ることができるのでしょうか。

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異色の建築家、安藤忠雄

安藤忠雄は、現代日本を代表する建築家で、最近では東京に建設される新国立競技場のデザインの審査に関与する活動などもしています。一方、彼は10代の時にはプロボクサーとして活躍し、そして20代には世界放浪の旅に出るなど、異色の経歴の持ち主でもあるのです。

安藤は、大阪市に生まれ、大阪府立城東工業高等学校卒業後、独学で建築士の資格を入手するという人生を歩んでいます。その後は、住宅から公共の建物に至るまで、様々な建物の設計を手掛けています。そのような中で、彼は建築という自分の「仕事」について多くの教訓を得てきました。安藤は自らの著作で何を語るのでしょうか。

安藤忠雄が考える「建築家」の本質とは何か?

先に見たように、安藤忠雄は独学で建築を学び、様々な建築物の設計を手掛けてきました。そんな異色の経歴を持つ彼の人生について、知りたい人は多いでしょう。それでは、彼本人はそんな人生をどのように考え、どのように語るのでしょうか?

本書は安藤のいわゆる「自伝」です。その生い立ちから建築家としての仕事まで、自ら人生を振り返り、多様な話題について余すところなく語り尽くします。安藤忠雄を知るための「入門書」と言える1冊でしょう。

著者
安藤 忠雄
出版日

すぐれた建築家として、すぐれた仕事人として、そしてすぐれた人生の先輩として、安藤は多くのヒントを本書の中で示してくれるのです。例えば、本書中で一番大切なものとして、現場で働く人の「気持ち」を挙げています。こういった見解は、現場で数多くの経験を重ねてきた彼だからこそ、たどり着くことができたものだといえるでしょう。

そして本書は「建築家」の本質を明らかにする1冊でもあります。本書の中で、読み手は安藤の持つ建築に関する思想の核心に触れ、「建築家」がどんな思想に基づいて、どんな建物を建てているのかを理解することができるでしょう。

建築家、安藤忠雄の人生論

安藤忠雄の人生の本質とは何か。それが知りたい方は、本書を手に取ってみるのがよいでしょう。彼自身の口から、平易な言葉で自らの人生経験などが語られます。

本書は、NHK BSで放送されたインタビューに、彼自身の手が加えられてできたものです。NHK BSの番組の内容がもとになっているだけあって、文章は非常に平易で手に取りやすい一冊になっています。

著者
安藤 忠雄
出版日
2010-11-02

本書中に触れられているように、安藤はフランスで活躍した世界的建築家、ル・コルヴュジェを尊敬し、建築家として様々な仕事に携わります。本書を手に取ることにより、そのようなルーツについて知ることができるのです。

その後の安藤は、数多くの建築物の設計に関わることにより、日本を代表する建築家にまでのぼりつめました。ル・コルヴュジェというルーツに迫る箇所を含め、本書は、そういった安藤の原点を知る上で欠かせない1冊だと言えるでしょう。

中高生向けに書いた本だから、分かりやすい!

子供向けに書かれた本。それをしばしば大人は敬遠してしまいがちですよね。しかし、子供向けの本にこそ、わかりやすい言葉で本当に重要な物事のエッセンスが語られていることは多いのです。本書もまさにそのような作品だと言えます。

本書は、安藤忠雄が15歳前後の子供を主要な読者に想定して、その建築や人生に対する考え方を平易に語ったものです。大人向けの本では見ることができない、彼の表情を垣間見ることができる1冊でもあります。

著者
安藤 忠雄
出版日
2012-04-11

本書の後半で、安藤は明治維新やその前後に活躍した幕末の志士たちに触れています。これは、先に触れたル・コルヴュジェについて論じた著作に並び、彼の人生を考える上で外せないことを教えてくれるでしょう。彼が高い目標を持ち、自ら行動する建築家であったことが分かります。

また、本書はまさに安藤や建築に興味がある中高生が読むのに適した一冊でもあります。安藤忠雄の大人向けに書かれた本を読む前の「入門の入門」書として、本書は様々な人の手にとられるべきだといえるでしょう。

安藤忠雄流、「仕事」のつくりかた

「私の履歴書」は日本経済新聞の有名な連載です。経済界で大成した人物から政治家、果ては安藤に至るような芸術家まで、自らの人生について語っています。

本書はその「私の履歴書」の連載をまとめて一冊の単行本としたものです。新聞に連載された文章だけあって、テンポよく読むことができます。それでは、彼は一体自分の「履歴書」に何を記載するのでしょうか。それが無味乾燥なものでないことだけは、本書を少し手に取ってみるとわかります。

著者
安藤 忠雄
出版日
2012-03-10

本書のタイトルに「仕事をつくる」という言葉があります。これは、安藤忠雄の生き方を象徴する一言です。高卒後、独学で建築を学んだ彼は自らの力で有名な建築家の地位にまでのぼり詰めました。学歴や資産、能力などが何もないとき、人間は絶望するしかないのでしょうか。安藤はそれが間違っていることを教えてくれます。

本書の中で、自らが成功ばかりおさめてきたわけではないことを明かします。「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、安藤の経験と言葉はそれを現代日本人に再認識させてくれるでしょう。

建築物とともに安藤忠雄の半生を振り返る

すぐれた建築家としての安藤を知るために最適な方法は、彼の設計した多様な建築物に触れてみることです。実際に建築物を訪問することが難しくても、本書はそれが手軽にできる格好の一冊でしょう。

本書は、50のキーワードをもとにして安藤の半生を振り返るとともに、写真を掲載することによって彼が手掛けた主要な建築物を紹介しています。彼が建築家としてどのような活躍をしたか。本書によってその概略を知ることができます。

著者
安藤 忠雄
出版日
2013-02-27

さらに、安藤が設計した建築物には、彼の建築に関する思想から人生観に至るまで、様々なものを読み込むことができます。本書を手に取れば、具体的な建築物の写真を見つつ、安藤がどのような工夫をしたのかを考えることができるでしょう。

現代日本を代表する建築家、安藤忠雄。手掛けた建築物は数多いですが、彼が日本の建築界に多大なる貢献をしたことは間違いありません。具体的な写真によってその貢献の一部に触れてみませんか?

学歴のないひとりの青年から日本を代表する建築家へ。安藤忠雄の人生は偉大なるサクセスストーリーに見えます。しかしそれは、平坦な道のりではありませんでした。

彼の著作を読むことにより、彼がいかに「何もない」状態から建築家としてのキャリアを積み上げていったかがわかるでしょう。それは、社会の中でこれから生きようとする若者から、今まさに現場で頑張っている第一線の企業人に至るまで多くの教訓を与えてくれるものだと言えます。彼の著作を通して、自分の人生と仕事を見つめなおしてみませんか。

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