中学年の子におすすめの読み聞かせ絵本5選!【教科別】

更新:2021.12.19

勉強内容の難しさが増すこの時期。興味を持つことができないと苦手意識が強くなります。まずは勉強の楽しさを感じられる絵本から入ってみてはいかがでしょうか?苦手意識を克服するきっかけとなるはずです。今回は教科別におすすめの絵本をご紹介します。

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長い間子ども達に読まれ続けるロングセラー作品【国語】

ユーモア満載で五味太郎の言葉の魅力に溢れたことわざ絵本です。

右のページにはことわざとその意味が描かれ、左のページには子ども達に分かりやすいようにかみ砕いてことわざの意味が描かれています。例えば、「出る杭は打たれる」は「美人はつらいよ」。「飼い犬に手を噛まれる」は「ロボットの逆襲」など。

右ページも左ページも楽しい絵と共に描かれて、勉強のためというよりはとにかく楽しみながら読める一冊。そしてすんなりと頭の中にことわざと意味が入ってくる、まさに二度おいしいい絵本ですね。

著者
五味 太郎
出版日
1986-08-08

子どものためのことわざ絵本として、長い間愛され続ける絵本です。子どもの頃に読んだことがあるお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか?

五味太郎が描く言葉たちと楽しい絵の数々に、今までことわざに興味がなかった子どももきっと興味を持つきっかけになることでしょう。ロングセラー作品であるのも納得です。

パート2も出版されていますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。

こんな呪いにかかったらどうする?算数の世界に浸れる一冊【算数】

アメリカ人作家ジョン・シェスカが描いた、暮らしの中にある全ては算数に繋がっているという、算数が好きな子どもにとってはワクワクする様な、そして算数が苦手な子どもにとっては算数に興味を持つきっかけとなる絵本です。

主人公は1人の女の子。算数のフィボナッチ先生が言った「みなさん、たいていのことは、算数の問題として考えられるんですよ」という言葉で、朝起きた時から、昼食や算数以外の授業の時間まで女の子の頭の中は算数のことでいっぱいです。まさに「算数の呪い」ですね。

しかし、その呪いの中には一見算数ではないような、面白い問題や答えもあふれていて、笑える場面も盛りだくさん。算数が好きな子どもはもちろん、苦手な子どもも楽しみながら数字に触れることができますよ。

著者
ジョン・シェスカ
出版日

小学校中学年になると、好きな教科苦手な教科がはっきりとしてきて、その中でも算数が苦手という子どもは多いのではないでしょうか?

この絵本は「呪い」という題名の通り、難しさや頭を悩ませる場面がたくさん出てきます。初めは読んでいるだけでも頭がこんがらがってしまう子どももいるでしょう。主人公の女の子もその1人です。しかし、その呪いに立ち向かうことができるようになれば、算数の面白さがどんどん見えてきます。

大人が読んでも面白い作品なので親子で頭を悩ませ、そして笑いながら楽しみたい1冊です。

地球、そして生命の歩んできた道を舞台に例えて描いた作品【理科】

生命が地球に生まれてそして歩んできた道のりを全5幕の舞台に例え、アメリカ人作家のバージニア・リー・バートンが描いた作品です。

舞台の幕開けは、考えられないほど大昔に太陽が産まれた場面から始まります。そして、地球が産まれ海ができ、魚や植物が産まれ……。恐竜が産まれて滅び、他の生物に比べると地球上にごく少し前に人間が誕生しました。人間は農業を行い、文化を築き、たくさんの季節を経て今この時代へと繋がっているのです。

図鑑よりも身近な絵本で生命の歴史が描かれているので、子どもの疑問にも分かりやすく答えてくれますよ。

著者
バージニア・リー・バートン
出版日
2015-07-23

理科の授業は、子どもの興味を刺激する「なんで?」「どうして?」に溢れています。

どうやって地球は誕生したの?なんで恐竜は絶滅したの?人間はどうやって進化し発展してきたの?

授業だけでは分からない部分もたくさんあることでしょう。

そんな時、この絵本は分かりやすい絵と言葉、そして舞台の一幕に例えて描く面白さで子どもの心を惹きつけ、疑問に丁寧に答えてくれます。大人が読んでいても知らなかったこともたくさんあり、子どもと一緒に学ぶことができますので、親子でゆっくりと読み進めたい作品です。

絵で語る日本の歴史、子どもの目が釘付けになる絵本【社会】

「おふろやさん」や「やこうれっしゃ」など、細かい描写で子ども達の心を掴む絵本が人気の作家、西村繁男の作品です。

石器時代から現代までの日本の歴史が、細かく美しい絵巻のように描かれ一目見て興味をそそられます。

木の実や魚を食べていた人たちが、稲作を始めやがて権力争いも起こります。ヨーロッパ文明が入り日本の文明が変化していく様子、昭和初期の空襲の様子、そして現代へと文化が発展していく様子……。歴史について初めて学ぶ子ども達にピッタリの絵本です。
 

著者
西村 繁男
出版日
1985-03-10

社会の授業で学ぶ一つひとつの歴史が文字ではなく絵で描かれているからこそ、心に響き他人事ではなく自分たちの歴史として実感することができます。子ども達にとっても勉強という括りではなく、自分たちが生きる日本が今まで歩んできた道として、興味を持つことができるはずですよ。

そして、細やかな描写に子ども達に本物を伝えたいという作者の思いが伝わってきます。

本当に自分は関係ない?子ども達の心に訴えかける一冊【道徳】

スウェーデン生まれのいじめをテーマにした作品です。作者はレイフ・クリスチャン、子どもにも大人の心にも響く絵本を多く手掛けています。

学校での休み時間のこと、一人の男の子が泣いていたことからお話は始まります。でも見ていなかったから僕は知らない。大勢でやっていたから一人では止められなかった。私のせいじゃない。始めたのは私じゃない。他のみんなが叩き始めたから私のせいじゃない……。

男の子が泣いている理由を口々に言うクラスメート達、でも最後には必ず「僕は知らない」「私のせいじゃない」と自分を守る言葉が飛び交います。

本当にそうなのでしょうか?いじめに対する各自の責任について子ども達に考える意識を持ってもらうためにぜひ、読んでもらいたい作品です。

著者
レイフ クリスチャンソン
出版日
1996-01-10

いじめはいじめる側いじめられる側だけではなく、それを見ているだけの周りの人たちの存在もあります。それは子どもの世界でも大人の世界でも同じですよね。そんな時に、「本当にこれでいいのかな?」「見ているだけだから何も責任はないのかな?」と心に訴えかけてくる作品です。

いじめはいけないことだからと子ども達に強制するのではなく、男の子の寂しそうな様子からなんでいじめはいけないのかということを感じ、クラスメート達が「私のせいじゃない」と言う様子から「本当にそうなのかな?」と子ども自身が自分で考える事ができる機会を与えてくれるはずです。

そして最後に掲載されている、「私のせいじゃない」と言い続けた結果となる写真。これは、私たち大人へ「責任について」問うメッセージであるように感じます。

勉強の内容も人間関係も複雑になっていく小学校中学年の時期。この時期に、たくさんのことに興味を持つことはその後の勉強への意欲に大きな影響を与えます。だからこそ、勉強という枠に捕らわれずに、長い間読み慣れている絵本を使うことは、学ぶことの楽しさを感じるために良い教材となるはずです。得意な教科はより興味を深められるように、そして苦手な教科はまずは興味を持つきっかけとなるように、子どもの興味を引き出せる絵本をぜひ親子で読んでみてくださいね。

そして、人間関係の面でも親に何でも相談したり話をすることを卒業する時期でもあります。子どもが子どもの世界を築いていく中で親ができることは、「いじめはいけない」と言い聞かせることではなく、子どもが自分で考えられるように導いてあげることなのかもしれません。

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