これまでの人生の中で通りすぎてきた気持ちや感覚。
無限にあるはずのそれの、ほとんどは
思い出さなければ思い出さないほどに
消えていってしまう。
想い出は人それぞれに持っているけれど
記憶に結びつくものや言葉は共有されていたりする。
例えば物語って、誰かが書いて、別の誰かも読んでいるものだから。
本は、個人の記憶にも親密だ。と思う。
つまさきだちの日々
女の子と女の人の間を行き来するような感覚の本です。
いつか、いつかって思いながら生きてきたようなところ
自分にもあるなぁって。これは、女の子の感覚かな。
「家の中のあらゆる空間に閉じこもるのが好きで、狭くてもそこが全て自分のものだと思うことが、なんだかいつも楽しかった」なんて……
こんなことを思っていたこと、あるなぁ。
そして、歳を重ねるにつれて「綺麗な日本語をつかえる女性になりたい」
って思ってみたりしたこと、ありませんか?
だいたいみんな、同じようなこと考えているのかもね
とにかくうちに帰ります
嵐の中を歩いて家まで帰る。
幼少の頃の心細い、とにかく家に帰りたい。という気持ちを思いだす。
ただ会社を嵐で早退して家に帰るという
日常でのちょっとだけ特別な状況と、出会いと人間模様。
雨で服が濡れて気持ち悪い感じとか
毎日あたり前に帰っているはずなのに、
家でくつろいでいる自分を想像してすごく貴重に思えたり
そんな感覚が思い出される……。
タイトルにどきっとして手に取ったら、
津村記久子さんの小説だったということが
もうこれで三回めなのです。