テレビなどで大活躍のジャーナリスト、池上彰。「分かりやすく」ニュースを語る人として、世間に広く周知されているでしょう。彼は自らの著作で何をどう語っているのでしょうか。今回は、池上彰の様々な著作を取り上げてみます。
テレビでのコメンテーターとしての活躍が目覚ましい池上彰。本職はジャーナリストで、NHK時代の活躍を知っている方も多いかもしれません。特に、難解なニュースを分かりやすく説明する能力には定評があり、2017年現在も様々な番組に出演して活躍しています。
池上彰は1950年生まれの長野県出身で、慶応義塾大学を卒業し、NHKに入局しました。その後は2005年に退職するまでNHKで記者として活躍。特に「週刊こどもニュース」という番組内での分かりやすいニュースの解説が印象に残っている方も多いかもしれません。NHK退職後はフリーランスのジャーナリストに転身。テレビ朝日の番組「学べるニュース」などで、大人向けに最新の時事問題を分かりやすく解説しています。また、新聞で記事を執筆している他、様々な著作を出しています。
今回は、そんな彼の著作を取り上げ、池上流の説明で分かりやすくニュースや政治、経済などに関する知識や教養を身につけてみましょう。
現代社会で生きていく以上、お金の問題を無視することはできないでしょう。保険や税金といった身近な問題から、投資に関する問題まで、お金にまつわる悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方々にとって、池上彰による本書はまさに最初に読むべき一冊であるといえるでしょう。本作で彼は、お金の本質的な部分から、税金や投資の具体的な仕組みに至るまで、分かりやすく解説しています。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
- 2011-10-13
例えば、本書の中で池上は「金利」に関する解説を行っていますが、どのようにして金利の上下が起こるのかなど本質的な問題を、経済に詳しくない読者にも分かるような形で説明しています。
また、本書には具体的な例が満載です。かつての日本における通貨の実際から始まって、興味をそそられるような様々な具体的事例が取り扱われています。飽きずに読むことができる1冊でもあるといえるでしょう。
経済学と聞くとしばしば難解な学問というイメージが持たれます。実際、経済学の教科書を開くと難解な数式が続き、とても読み通せそうにありません。しかし、実は経済学の本質はとてもシンプルなのです。
本書で池上は、そんな経済学の本質的な部分を、誰にでも分かりやすい形で解説しています。経済学を学んだことがない人も、一度学んでみようと思って挫折した人も、本書を手に取ってみるのが良いのではないでしょうか。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
- 2013-11-02
本書は経済の基本的な枠組みを解説することからはじまって、5人の経済学者の具体的な思想に触れるという構成になっており、それによって経済学の本質に迫ることができます。一見、シンプルな構成ですが、シンプルだからこその理解しやすさがそこにはあるのです。
アダム・スミスやマルクスと聞くととても理解できそうにないかもしれませんが、池上の解説なら大丈夫。初めて経済学を学ぶ人にとっても分かりやすい形で、経済学とその学説史の基本を学ぶことができます。
毎日ニュースを見ていて、経済から政治に至るまで、なぜこんなことが起きるのだろう?と疑問を感じた経験がある方は少なくないでしょう。また、ニュースの中で使われている用語は多岐にわたっているため、一定の前提知識が必要とされることもしばしばあります。
本書は、そんな様々な時事問題の裏側に迫る1冊です。ある意味で池上の真骨頂が発揮された本であるともいえます。池上のテレビ番組における解説を聞いているような感覚で分かりやすく読み進めていくことができるでしょう。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
例えば本書では、リーマンショックというアメリカに端を発した金融危機がどのようにして起こったかが説明されていますが、その内容はリーマンショックについて何も知らない方が読んでもすぐに理解できるものです。
それでいて、池上の解説は事柄の重要な要素をもらさず含んでいるので、すぐに対象について必要な事柄を学び取ることができます。時事問題について、少しでも理解を深めたいと思っている方は必読です。
教養とはなんでしょうか?それはすぐに役立つものではないかもしれません。ハウツーものなどのように実用的ですぐに使える知識ではないといえます。では、教養を身につけることにはどんな意義があるのでしょうか。
本書はそのような問いに一定の答えを示してくれる1冊です。ただし、本書は教養論を展開する本ではありません。教養の本質を垣間見せるような様々な知識を読者に示すことにより、池上は教養の持つ意義を読者に教えてくれます。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
- 2014-04-09
本書は七章から構成されており、宗教、宇宙といった分野から、歴史や経済学といったややアカデミックな内容に至るまで、様々な領域の知識が紹介されています。
大人になっても学ぶ意欲の衰えない人は数多いですが、教養を身につけようと思ったとき、何から始めればいいのか迷う方も少なくないのではないでしょうか。そんな方に、本書はおすすめです。手軽に、幅広いジャンルの知識を得ることができ、またこれからの学びにつながる手がかりも本書から得られるはずです。
現代史は高校の授業ではしばしば駆け足になってしまい、苦手意識を抱えている方も多いのかもしれません。たくさんの人名や事件の名称に埋もれて、歴史の大きな流れを見失いがちになりやすい時代でもあります。
本書は、そのような現代史の基本を池上らしく、前提知識を必要としない非常に分かりやすい形で紹介しています。例えば、民族紛争がなぜおこるのか、といった気になる問題をその前提となる背景から丹念に紹介しているのです。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
また、写真や地図などの図版が多数掲載されているのも本作の魅力だといえるでしょう。写真や地図を通して現代史に迫ることにより、よりイメージしやすい形で現代史に関する理解を深めることができます。
現代史を学びたいと思っても手頃な一冊がない。もしかしたらそれが現状かもしれません。しかし、本書はこれから現代史を学ぼうとするあらゆる人にとって手に取る価値のある一冊だと言えるでしょう。現代史を理解する上での前提や背景を本書を通して学ぶことができます。
池上はいくつかの大学で学生を相手に講義を行っていることもあります。本書は過去に東京工業大学で授業した内容をまとめたもの。これから社会に出て活躍する大学生を相手に、池上はどのようなことを語り、また伝えようとしたのでしょうか。
「社会人」として知っておくべき現代史の基礎知識。それが本書には詰め込まれています。もちろん社会人のみではなく、現代史を学びたいと思っている様々な人に最適な1冊です。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
- 2015-11-10
本書の前半では、現代史において無視できない諸国の戦後史について解説されています。後半は、世界経済の歴史を振り返る内容になっていますが、このそれぞれを組み合わせることによって、多角的に現代世界を理解することができるでしょう。
現代世界はもはや混迷を極めており、地域紛争や経済危機など、深刻なニュースがしばしば報じられていますが、そんなニュースを理解するためには現代史の知識が有用です。あなたも、大学生になった気分で本書を手に取ってみませんか。
仏教は身近でありながら、詳しく知っている方は実はあまり多くないかもしれません。しかし、この現代日本に住んでいる以上、葬儀から新興宗教に至るまで、仏教とは無縁ではないられないのです。
本書は、そんな仏教について、歴史的な経緯から、仏教における様々なしきたりに至るまで、基礎的な部分から池上が解説します。この本を手に取れば、仏教に関する基礎知識が手軽に身につくと言えるでしょう。
- 著者
- 池上彰
- 出版日
- 2014-10-09
本書のほぼ半分は、仏教界の重要人物、ダライ・ラマ法王との対談が占めています。読み応えのある対談であり、随所に池上の本質を突くような鋭い質問がみられ、仏教について考える一助となってくれるのです。
宗教というものが一見前面に出てこない現代日本で、宗教について知る、となるとどうしても身構えてしまう方も多いでしょう。しかし、本書は肩肘を張らずに読むことができる一冊になっています。仏教という身近な宗教について知ることは、宗教のあり方についても知ることにつながると言えるでしょう。
特異な新興宗教などがしばしば話題になる現代日本において、宗教に対して偏見をもたれる場合は少なからずあるでしょう。しかし、実際は宗教の果たしている役割は今なお大きいのです。
本書は、池上が、様々な宗教を紹介することによって、そんな宗教の役割について明らかにする1冊。仏教など身近な宗教から、キリスト教、イスラム教に至るまで、宗教の基本を本書によって理解することができます。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
例えば、イスラエルとパレスチナの対立は宗教間の問題であると言えますが、そのような問題は宗教に関する知識抜きで理解することができません。本書を読むことによって、そのような問題を理解する手がかりを得ることができるでしょう。
本書は、様々な宗教を扱っていながら非常にコンパクトにまとめられています。よって、読者は気軽に通読でき、宗教に関する基礎的な知識を得ることができるでしょう。宗教について全く知識がないけれど、これから知りたいと思っている方に手に取っていただきたい1冊です。
あなたは、物事を他人に伝えるのが得意でしょうか。それとも苦手でしょうか。世の中には「伝えること」を得意に感じている人も、苦手に感じている人もいますが、その両者にとって本書は意義ある1冊だと言えるでしょう。
なぜなら本書は、NHKで記者としてニュースを「伝える」ことに懸命に取り組んできた池上の書いたものだからです。池上のNHKやその後のフリー時代の経験が、本書には余すところなく活かされています。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
- 2007-04-19
それでいて本書は、具体的な「伝える」ためのヒントに満ちており、抽象論に終わっていないのが大きな魅力です。本書を読み、そして実践することにより、あなたの「伝える力」は大きく向上するでしょう。
本書はまた「聞く」「書く」「話す」の3つにそれぞれ焦点を当てつつ「伝える力」の身につけ方について論じられています。一つの分野に偏ることなく、様々な能力を向上させるためのヒントに満ちているのも本書の魅力だと言えるでしょう。
時間の使い方から、ノートの取り方まで、誰しも自分なりの勉強法があるでしょう。人それぞれが自分にあった勉強法を模索していると言えます。
その意味で勉強法は個人的なものかもしれませんが、本書は、どんな人にとっても役に立つはずです。なぜなら、本書には試験勉強など狭義の勉強にとどまらず、日常生活を生きる上で役立つ様々なヒントが詰め込まれているから。それは、池上が自らの仕事における経験に基づいて得られたものであるため、非常に具体的で実践的なものとなっています。
- 著者
- 池上 彰
- 出版日
- 2010-06-17
例えば、本書の中では人から話を聞くための技術が紹介されています。これはまさに、池上が仕事の中でインタビューなどを繰り返してきたからこそ得られたものであると言えますが、また同時に、様々な日常生活の場面でも応用することができるものでもあるでしょう。
他人の経験に学ぶ。もしかしたら現代社会ではそのような機会が乏しくなっているのかもしれません。本書は、池上の経験を通じて、そのような貴重な機会を提供してくれている一冊であるとも言えます。池上の経験から、あなたも得るものがきっとあるはずです。
池上彰はたくさんの本を書いています。池上の著作の最大の特徴は、そのどれもが「分かりやすく」書かれていることです。ニュースから経済学に至るまで、全く知識がない人が読んでも理解できるほど、池上の著作は丁寧に書かれています。その意味で、様々な分野を新たに学ぼうとしたとき、まず最初に池上の本を手に取ってみることが有益だと言えるでしょう。
混迷する現代社会の中で様々なジャーナリストが、様々な活動に従事していますが、池上のとにかく「分かりやすく」伝える、という姿勢はとても意義のあるものなのかもしれません。あなたも、池上の著作に触れてみることによって、そのような混迷する世界を知るためのヒントを得てみませんか。池上の本を開けば、あなたが今まで知らなかったような様々な知識やスキルがきっと見つかるはずです。