ジョン・レノンよ再び。改めて彼の魅力がわかるおすすめ本5冊

更新:2021.12.20

20世紀の伝説的ロックバンド「ビートルズ」のリーダーにして、そしてビートルズ解散後は世界的に有名なソロミュージシャンで、かつ平和運動家として、多くの人々に感銘を与えたジョン・レノン。彼のことを知るための本を5冊紹介します。

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ジョン・レノンとは

ジョン・レノン(1940~80)は、20世紀を代表するロックバンドであるビートルズのリーダーで、またソロのミュージシャンや平和活動家としても多くの足跡を残した人物です。

彼は1940年にイギリスのリヴァプールで生まれました。しかし、幼少期は実の父親の蒸発や実の母親と暮らすことができずに、叔母夫婦に育てられた環境のため、非常に反抗的で喧嘩っ早い少年でした。

そんな彼が初めてロックに出会ったのが、1956年のことでした。当時大人気だったエルヴィス・プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」を聴いてすっかりロックンロールにハマったのです。そこで新聞の通信販売でギターを購入した後、実の母親であるジュリアのもとでいくつかのギターのコードを教わり、音楽に関心を持つようになりました。翌年には最初の曲を作曲しています。

その後の3年ほどバンド活動をしていく中で、ポール・マッカートニーやジョージ・ハリスン、リンゴ・スターと出会いました。この活動していたバンドはまもなく1961年にビートルズと名乗るようになりました。

ビートルズの人気は世界中に広まり、その中で多くのファンを獲得するに至りました。ジョン自身も1962年に最初の結婚をしています。

そんな中の1966年、ビートルズ人気に気をよくしたのか、ある新聞紙上のインタビューで「僕たちは今やイエス(キリスト)よりも人気がある」と発言してしまったのです。この発言はイギリスではさほど問題にならなかったものの、敬虔なクリスチャンの多いアメリカの南部やスペイン、ヴァチカンではビートルズに対する非難が巻き起こってしまいました。結局、ジョンはシカゴで謝罪会見を開く羽目になりました。

同じ年、ジョンはのちに2番目の妻となるオノ・ヨーコと出会います。以前から東洋、特に日本文化に興味を持っていたジョンと、当時ロンドンで個展を開いていたヨーコは意気投合し、ついには恋仲となりました。そのため、ジョンはそれまでの妻と離婚することになったのです。

音楽活動自体は1968年からソロ活動を開始し、まもなく1971年には彼の楽曲の中で最も有名な「イマジン」の作曲に取り掛かります。この「イマジン」はイギリスとアメリカ、日本で1位を取る大ヒットを記録しました。

その一方で、ジョンは活動の拠点をニューヨークに移し、グリニッジ・ヴィレッジのアパートを生活の拠点としました。ここで多くの反体制活動家やミュージシャンと交流を持つようになり、まもなく政治活動、とりわけ平和活動に関与していくようになります。

その後、1975年には息子の教育に専念するために音楽活動を休止し、主夫業にも専念しました。1980年に活動を再開しましたが、その直後の1980年12月8日にファンと称する男性によって自宅前で射殺されました。

ジョン・レノンにまつわる10つの逸話

1:ディスクレシアだったといわれている

彼はディスクレシア(読字障害)だったといわれています。単語のつづりを覚えることも困難だったらしく、学校では成績が悪かったと伝えられています。

2:視力は0.1以下だった

彼は法的盲で国から支給される眼鏡をかけていたといわれます。本人はこのメガネが嫌いでなかなか掛けようとはしなかったそうですが、この法的盲に該当する人は裸眼で視力が0.1以下であることが条件にあげられるといいます。

3:ジョンは自分の声が嫌いだった

彼はレコードに録音された自分の歌声を聴いて、なかなか自分の声になれることができなかったそうです。レコーディングにおいて、ジョンの声をいかに変えるかということで試行錯誤し、レコーディング技術が進歩したともいわれています。

4:ジョン・レノンは両性愛者

彼の最愛の妻であるオノ・ヨーコのインタビューより、彼らは互いに両性愛者であったといわれています。実際に同性との一線は超えたことはないようですが、それはたまたま魅力的な人に出会わなかっただけで、根本的に性に関係なく恋愛関係になれたそうです。

5:ボブ・ディランは悪友だった

ジョンはボブに憧れており、ボブもまたビートルズに一目置いておりました。意図はわかりませんが、最初の彼らの出会いの際に、ボブはビートルズにマリファナを教えたといわれています。

6:ジョンはエルヴィスのファンだった

もともと、ビートルズはエルヴィス・プレスリーのファンでしたが、彼らが初めて会った際に、ジョンが冗談でエルヴィスのレコードは一枚も持ってないと発言したことで、エルヴィスはジョンを遠ざけるようになったといわれています。しかし、実際ジョンはエルヴィスのレコードをたくさん持っており、生涯ファンであったいわれています。

7:ジョン・レノンには妻オノ・ヨーコ公認の愛人がいた

秘書のメイ・パンという女性がジョンの公認の愛人であったといわれています。妻ヨーコがそれを許したわけはわかりかねますが、なんとも芸術肌な夫婦なことは間違いなさそうです。

8:ジョンは妻ヨーコの勧めでベジタリアンになった

ビートルズの4人は最終的に各々の理由でベジタリアンになっています。ジョンは妻ヨーコの勧めでベジタリアンになったといわれています。

9:ジョンは家族とよく夏を軽井沢で過ごしていた

妻ヨーコの別荘が軽井沢にあることから、子供も連れて家族で夏の1か月間を過ごしたりしていたそうです。目撃情報や写真も残されており、ビートルズファンの間では聖地として知られているそうです。

10:とある映画出演がきっかけで眼鏡嫌いからコレクターになった

ジョンはもともと人前で眼鏡をかけるのを嫌がっていました。ところが映画「How I Won The War」(邦題:「ジョン・レノンの僕の戦争」)の主演をきっかけに、彼は眼鏡をかけて登場するようになり、眼鏡のコレクターになるほど眼鏡嫌いが克服されたのです。

暗殺直前のジョン・レノンの思いに迫る

ジョンが暗殺される2日前に、妻のオノ・ヨーコと行ったロングインタビューの内容を記録したのが『ジョン・レノンラスト・インタビュー』です。ロンドンでのジョンとヨーコの出会いやビートルズのこと、5年間の平和な家庭生活、そして再開したばかりの音楽活動のことなどについてジョン本人が率直に語っている内容が書かれています。

しかし、暗殺の2日前に行われたインタビューで、ジョン自身がそういう予感を感じ取っていたためか、書かれている内容がまるでラストメッセージのように見えてくるのです。そのためか、ジョン自身が語るメッセージに込められている思いも迫真さも伝わってきます。

著者
["ジョン レノン", "John Lennon", "オノ ヨーコ", "アンディ ピーブルズ", "Andy Peebles", "池澤 夏樹"]
出版日

特に、ジョンとヨーコの2人一緒に歩んできた道やビートルズ以後のソロ活動について語られ、その中でジョンが周りの人たちに深く感謝し、満足していることがうかがえる内容です。そして、ヨーコとの出会いも実はジョンが持っていた芸術家としての本質が手繰り寄せたもののようにも見えてきます。

暗殺される2日前に記録された彼のメッセージだからこそ、結果的に死を前にした彼自身の純粋な思いを知るには最適な一冊です。
 

ビートルズ解散直後のジョン・レノンの思い

ビートルズを解散した直後の彼の思いを記録したインタビューを収録した本書。彼の幼少期からビートルズの活動までを振り返っています。ここでも、彼自身が純粋な音楽家であるとともに、芸術家であることがうかがい知ることができるのです。

その一方で、ビートルズとしての成功が実はジョン自身を疲弊させ、ついにはオノ・ヨーコというパートナーを得た彼がビートルズを拒否する顛末には衝撃を覚えることでしょう。
 

著者
["ジョン レノン", "ヤーン ウェナー", "ヨーコ オノ"]
出版日
2001-07-01

ビートルズ解散直後であったうえ、心理療法に傾倒していたこともあってこのインタビューではジョンの真意が告白されています。芸術家としての苦悩やパートナーであるヨーコへの愛、ビートルズへの様々な思い、など当時ジョンが持っていた複雑な思いを理解するにはぴったりの資料です。

同時にこのインタビューからはビートルズの名曲が誕生した秘話や、60年代という彼らの生きた時代をジョン・レノンという当事者が語っているということもあり、ロックの歴史を知るうえでも推薦したい資料といえます。
 

ビートルズ時代にジョンが書いた愉快な詩や小説、そしてそのキテレツ訳!

まだジョンがビートルズにいたころ、彼が書いた実に愉快な詩に小説を紹介しているのが、『らりるれレノン―ジョン・レノン・ナンセンス作品集』です。しかも、ただ単に紹介されているだけではなく、その訳がまたものすごくキテレツなものになっています。

というのも、まずジョンが作ったというその詩や音楽というのが、言葉遊びにあふれているうえ、内容も政治やキリスト教を風刺しているという実にブラックユーモアたっぷりなものだからです。
 

著者
ジョン レノン
出版日

ジョン・レノンと聞くとほとんどみなさんがミュージシャンとしての彼の名前が出てくるだけでしょうが、ここに書かれているジョンの作品はどれも詩や超短編小説の類。なかなかお目にかかれないであろうジョンの「文学作品」に出会うことができるものです。

あとは、内容でふんだんに盛り込まれている風刺画やパロディを見ているだけでも楽しいので、絵を楽しむなりジョンの「文学作品」を楽しむなり、そのキテレツな訳そのものを楽しむなり、いろいろな楽しみ方のある一冊といえます。
 

ジョン・レノンがロックの世界の中心にいた70年代のこと

ジョンがソロで活躍していた70年代のロックの名曲を集めて解説したものが『ジョン・レノンから始まるロック名盤』です。タイトルにジョンの名前を冠しているだけあって、ジョンの発表した楽曲を中心とした50曲のロックの名曲が掲載されています。

ジョン・レノンのほか、キャロル・キング、レッド・ツェッぺリン、ピンク・フロイドといった70年代を代表するロックシンガーやロックバンドが残した50曲の名曲にまつわるエピソードもふんだんに盛り込まれているため読みごたえありです。
 

著者
中山 康樹
出版日
2010-11-12

同時に70年代というビートルズの時代が終わった後の、ロックの商業化や産業化が加速し、その流れの中で多くの名ロックバンドや名シンガーが出てきた時代の背景にもいろいろと触れられている内容となっています。

そして、個の時代へと移り変わっていった70年代という時代の空気もこの本からは感じ取ることができます。70年代のロックやそのころのジョンが発信したメッセージを堪能したい方はぜひとも読むと良いでしょう。
 

愛したヨーコとの別居生活で去来するジョン・レノンの感情とは

1973年から75年の間に経験したジョンのヨーコとの別居生活の時代を共に過ごしたメイ・パンが、その時のエピソードなどを書きつづったのが本書です。この本では、あれほど仲の良かったヨーコとの別居の事情や、その頃の未公開写真にエピソードがふんだんに盛り込まれています。

ヨーコとの別居の期間は、これまではジョンの方が荒れていた上に、別居生活中はかなり打ちひしがれていたと考えられていただけあって、実はこの間に重荷から解放されていたということが語られているため、ヨーコとの別居そのものも含めて衝撃的な内容です。
 

著者
メイ パン
出版日
2008-11-15

一方で、掲載されている写真の多くは別居生活中のジョンが友人と一緒に穏やかに過ごしているところを写したものが多く、それだけでもなかなかほほえましく感じられるものといえます。そして、その時の心境についてもジョンが率直に語っているため、そちらも見ごたえありです。

あれだけ愛していたヨーコとの別居生活という衝撃の時期のジョンの心情をくみ取りたいという人には読んでいただきたい一冊といえます。
 

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