投資家ウォーレン・バフェットについて知る5冊の本。半生から銘柄選択まで

更新:2021.12.20

投資の神様であるウォーレン・バフェットには、投資の方法論だけでなく、人生観や仕事に対する姿勢など学べる点が多くあります。今回は、そんな彼の人生とこれまで築き上げてきたものが詰まった本のご紹介です。

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投資の神様「ウォーレン・バフェット」

ウォーレン・バフェットは、世界一の投資家であり、世界の長者番付に長年名を連ねる大富豪です。「投資の神様」や「オハマの賢人」と称され、多くの人々から慕われています。

バフェットは1930年に米国ネブラスカ州のオハマで誕生しました。幼い頃からコーラのバラ売りや新聞配達など様々な商売・アルバイトを行っており、「安く買って、高く売る」という商売の基本を実行しています。11歳のときには、初めて株を購入・売買し、利益を得ることに成功しました。

それ以降も株式投資を続けていたバフェットは、彼の投資に対する考え方に多大な影響を与えたベンジャミン・グレアムの著書と出逢い、やがてグレアムの弟子となります。グレアムのもとで株式投資を学んだバフェットは、メキメキと力をつけ始め、自身の会社バフェット・アソシエイツを設立しました。

その後も実績を残し続け、バークシャー・ハサウェイの経営者となったバフェットは、ワシントン・ポストやアメリカン・エクスプレス、コカ・コーラなど錚々たる企業に投資を行い、大富豪まで登り詰めたのです。

大富豪となった後も、生まれ故郷で質素な生活をしていたり、慈善事業に力を入れたりするなど、誠実かつ献身的な振る舞いから、投資家としてだけではなく、人格者として多くの人々が憧れを抱いています。

先述のように、バフェットの人生は投資とともにあり、投資に対する独自の考えを磨き上げてきました。しかし、そこには多くの人々や企業が関わっており、彼の人生観や思考、行動、姿勢なども伺えます。そうしたバフェットの人生とこれまで築き上げてきたものが詰まった本を見ていきましょう。

ウォーレン・バフェットについてあなたが知らない4つの事実

1:ウォーレン・バフェットは彼の子供たちではなく、慈善団体にほとんどすべてのお金を寄付している

2006年6月バフェットは資産の85%を慈善事業に寄付する計画を発表しました。彼は自分自身と彼の家族のためにお金を蓄えるのではなく、「良いこと」をしたいと語り続けています。彼の子供たちはその決定に完全に賛成しています。

2:ウォーレン・バフェットは週に少なくとも4回、オンラインでブリッジをして遊ぶ

バフェットはブリッジが大好きです。彼は何十年にも渡ってオンラインのブリッジのトーナメントで、億万長者ビル・ゲイツと並んで競争してきました。ゲイツは「Chalengr」バフェットは 「T-Bone」という名前でオンラインゲームをしています。

3:人生で1度しかメールを送ったことがない

バフェットは高度な電子機器をあまり好まないようです。彼が人生でEメールを送ったのはただの一度きり、マイクロソフトの重役の一人に宛ててのみでした。

4:自分の時間の約80%を読書に費やしている

バフェットは多くの時間を読書に費やしています。投資家というものはよほど投資する分野について量的にも質的にも理解していないと、自信を持って投資できないものです。それゆえに、現在の市場についてより理論的で有益な青写真を描こうと読書を積極的に日常の中に取り入れるのです。

ウォーレン・バフェットの入門に最適な1冊

本書は、バフェットの半生や投資に対する思想、方法論を描いたマンガです。簡潔明瞭に構成されているため、バフェットに関する入門書としておすすめします。

バフェットは、様々な出会いや挑戦、困難を経て、世界一の投資家に至りました。本書では、生い立ちから、師匠グレアムとの出会い、バークシャー・ハサウェイの経営者となった経緯など、バフェットの人生における特徴的なエピソードが章ごとに簡潔にまとめられています。

各エピソードには、バフェットの投資における成功ルールが記されています。例えば、「買うのは企業、株ではない」や「わからないことには手を出さない」などです(『マンガ ウォーレン・バフェット 世界一おもしろい投資家の、世界一儲かる成功のルール』より引用)。一見シンプルなルールですが、言うは易く行うは難し。バフェットは周囲がどれほど慌てていようと、このルールを堅実に守ってきました。

著者
森生 文乃
出版日
2007-02-21

また本書は漫画で描かれているため、バフェットやその他の登場人物の表情や言動が見てとれるのが特徴です。バフェットは爽やかで謙虚な人物であるため、周囲の人物からの信頼感や温かい雰囲気などが感じられます。

バフェットが成功し大富豪に至った背景には、投資に対する独自の考え方だけでなく、人生観や人格、実行力などが影響しているようです。彼の生き方からは、投資という面だけでなく、誰しも学べることがあるでしょう。

唯一の公認伝記。バフェットの人生があますところなく語られた大作

本書は、自身では自伝を執筆しないと公言していたバフェットが唯一公認した伝記。著者アリス・シュローダーが本人や家族・友人など250名以上の関係者にインタビューをし、5年以上もの歳月をかけて書き上げた大作です。

バフェットの投資理論だけでなく人生そのものに焦点を当てており、以下のような含蓄のある言葉も数多くあります。

「私は小さな雪の玉を随分若いときから固めた。10年遅く固め始めたら、今頃山の斜面のずいぶん下にいただろう。だから、私は学生たちに、ゲームの先を行くように勧める。」
(『スノーボール ウォーレン・バフェット伝』より引用)

著者
アリス・シュローダー
出版日
2014-06-03

バフェットが、投資という自分が得意とする領域を見つけ、全てをそこに注いできたことがわかります。数々の実績を残し続けられたのはこの姿勢を貫き通したからであり、簡単にできることではありません。

一方、幼い頃は態度も成績も悪く、万引き等を行う非行少年であったなど、あまり知られていない部分についても書かれています。その後、D・カーネギーの「人を動かす」を読んで少しずつ改心していったという記述もあり、なんだか私たちに近い存在のようにも感じられるでしょう。

「ウォーレン・バフェット」という人物は、投資家としてだけでなく、一人の人間として見ることで、また別の気づきがありそうです。バフェットについて、より詳しく知りたい方にとって最適な一冊でしょう。

バフェットの投資家、経営者としての哲学

世界一の投資会社バークシャー・ハサウェイの会長であるバフェットは、長年年次報告書を通して株主らにメッセージを伝えてきました。本書は、ジョージワシントン大学のローレンス・カニンガム教授がこのメッセージを抜粋・整理したものです。

バフェットに関する本は複数出版されていますが、その中でも自身の言葉で記載されている数少ない1冊です。市場の変動に対する心構えや企業の本質的価値の見極め、投資分野の選択などの投資哲学を、バフェット自らが説明しています。

著者
ローレンス・A・カニンガム
出版日
2016-08-05

また経営者という立場から語られている点も貴重です。バフェットが投資をする際に重視する経営者の能力や忠実さ、経営理論といった主要なテーマから、合併・買収、企業評価・会計、税務などの話まで広がっています。バフェットは、自社の経営に関してもこの理論を応用しているようです。

経営やファイナンスなどの知識が必要となり難解な部分もありますが、十分な読み応えがあります。今後企業や社会を見ていく上で、必ずや力になる一冊です。

バフェットが磨き上げた株式投資の方法論

投資で成功し続けてきたバフェットは、投資の神様として称えられています。彼が結果を残し続けてきた理由の一つは、独自に磨き上げてきた投資理論にあると言えるでしょう。本書は、この投資理論に焦点を当てており、10年以上も売れ続けるロングセラー本となっています。

バフェットは長期投資を好むことで知られています。そのため、長期に渡って価値を提供し続ける企業を探し、適切なタイミングで株式を購入することが重要です。

例えば、銘柄を選択する際は、製品やサービスに際立った特長のないコモディティ型企業ではなく、独占的支配力を有する消費者独占企業の方が良いようです。本書では、このような明確な投資方法が具体例とともに記載されています。

著者
メアリー バフェット デビッド クラーク
出版日

また、本書の構成はケーススタディ方式です。そのため、理論を学習した後は、対象となる企業を調べたり、企業の本質価値を計算したりするなど実践的な内容に取り組めます。

本書は2002年に出版されていますが、21世紀においても通用する投資理論です。バフェットが会長を務めるバークシャー・ハサウェイが時価総額ランキングで上位に位置していることが、それを裏付けています。既にバフェットに関する本を読まれている方にとっては、次のステップに進む1冊としておすすめです。

ウォーレン・バフェットの師「ベンジャミン・グレアム」による投資家のバイブル

先述のように、バフェットの株式投資の考え方に多大な影響を与えた人物がベンジャミン・グレアムです。本書には、バフェットの師匠であるグレアムの投資理論が記されています。

バフェットが19歳だった1950年頃、当時の米国では株価の動きをチャートなどで分析するテクニカル分析が主流でした。しかし、グレアムは企業の本質価値を見抜き、割安な株を購入すべきというバリュー投資理論を提唱しました。その考えをまとめたものが本書です。

著者
["ベンジャミン グレアム", "土光 篤洋", "Benjamin Graham"]
出版日

特に、投資で成功するために必要なことは、「意思決定のための適切かつ知的なフレームワーク」と「このフレームワークを働かせないような力から感情を一定に保つことができる能力」です。グレアムの投資理論に感銘を受けたバフェットも、この重要な概念を本書から学び、自身の投資方法に反映しています。

半世紀以上経った今でもグレアムの考えは受け継がれています。現在も多くの投資家が本書を読んでおり、投資家を志す人々にとって必読の1冊です。

20世紀、21世紀は人類の歴史上、最も変化の早い時代となっています。その変革に多大な影響を及ぼしているのが長者番付に名を連ねている人物たちです。彼らは卓越した能力を磨き、数多くの実績を残し続けてきた改革者であると同時に、人格者であるように思います。

ウォーレン・バフェットもその内の一人です。このような偉人たちがどのように生き、考え、行動してきたのか。彼らのことを知ることで、今後の人生に役立つ気づきがあるかと思います。

投資に興味がある方もそうでない方も、とりあえず1冊手にとってみてはいかがでしょうか?

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