華恵のおすすめ本5選!人気モデルでエッセイストの魅力

更新:2021.12.20

モデル、エッセイスト、ラジオパーソナリティ、女優と多彩な活躍を見せる華恵。透明感のある容姿と柔らかな言葉遣いに惹かれる方も多いのではないでしょうか。幼少期から話題性がありながら慎ましく生きる華恵の魅力に、作品を通じて迫りましょう。

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才に溢れた“織姫”、華恵

華恵は1991年アメリカで生まれ、6歳の時に日本に移住しました。アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフで、独特の魅力を活かし10歳からモデル活動を開始。

同時に、書くことも好きだった華恵は、幼い頃から作品を生み出します。2000年・2001年双方で全国小・中学校作文コンクール東京都審査読売新聞社賞。2002年には全国小・中学校作文コンクール文部科学大臣賞を受賞し、その文才を広く認められました。

その後も様々なタレント活動と執筆活動を続けながら勉学に励む華恵。2014年には東京藝術大学音楽学部の楽理科を卒業しました。ちなみに、楽理とは音楽の構成を学問として学ぶ分野です。音楽というジャンルでも彼女の感性が活きていることがわかりますね。

2017年現在も連載コラムやエッセイを執筆しながらタレント活動も続け、あらゆる分野で活躍中です。

一見華やかな姿が目立つ華恵ですが、日常生活はほのぼのしているようです。愛猫をかわいがる一面や、自然を慈しむ様子がブログには綴られています。自分のキャリアとは関係なく日常を温かく愛していることが伝わりますね。

彼女のオフィシャルサイト「ORIHIME」の冒頭には、「機を織るように繋げていきたい」という言葉が。華恵らしい、心に響くキャッチコピーです。

“織姫”という言葉は、丁寧に出会いや言葉を紡ぐ彼女自身の写し鏡なのですね。
 

小学生の目から見たものをそのまま読んだことがありますか?『小学生日記』

『小学生日記』は、数々の賞を受賞した作文ををもとに再構成して書籍化されました。小学生の頃に経験したことを、小学生の華恵が描いたそのままの文章を読める貴重な一冊です。

本作は、作文をもとに構成されたエッセイ集ですが、読後はなぜか小説を読んだような気分に。あまりに彼女の文章が美しく無駄がなく、まるで華恵が小説の主人公であるかのような錯覚を起こします。
 

著者
華恵
出版日
2005-07-23

この作品は、華恵の成長記録エッセイの第一作であるとともに、文化論について考える機会にもなる一冊です。

幼い華恵は日本に移住し、言葉の壁や日本文化の特徴、友人との交流や先生からの言葉など様々な新しいものたちと出会っていきます。ハーフとして「違う」存在である華恵が日本らしさについて敏感に観察し、馴染もうと試みるシーンは印象的です。

兄から「華恵らしくない」と言われたことに対して、自身のアイデンティティと向き合う心理はとても小学生とは思えない深みを感じます。

大人が小学生のフリをしても、子供が大人ぶっても、こんな文章書けないという華恵ワールドと出会えます。華恵を一躍話題にした天才小学生の文章をご堪能ください。

こんなにも美しく、日常はそこにある『寄りみちこみち』

『寄りみちこみち』は17歳の華恵によるエッセイ集。描いてある世界は、本当にとりとめもない日常生活です。例えばそれは家族のことであったり、ある日の出来事であったり、天気や環境のことであったり。

そういった一つ一つのなにげなく過ぎていく日常を、華恵は様々な感情を通じて描きます。華恵の見ている世界は、まるで絵画や一片の音楽のようです。均整がとれたベースの上に乗せられた色彩があり、繊細に一つ一つを感じていることが作品から感じられます。
 

著者
華恵
出版日
2008-11-28

特に本作には学校生活が多く登場するため、彼女の周りの個性的な友人たちの姿を楽しめます。華恵自身が個性的なものの考え方や行動をしているのですが、それを温かく見守る友人たちのちょっと面白い一面も見どころです。

そのほか、祖父母や用務員のおばさん等、彼女を取り巻く大人たちも素敵な人ばかり。華恵は人に恵まれ、愛される存在であることがじんわりと伝わってきます。

文才があることはもちろんなのですが、彼女の感性の豊かさが光る一作。『小学生日記』から成長した彼女の目や心を比較するのも、楽しい読み方です。

本が好きなあなたは、きっと華恵に恋をする『本を読むわたし』

4歳から14歳までの本を読む自分について、15歳の華恵が綴ったエッセイ集。本作は、書評集ではありません。あくまで本を読んでいる華恵の感受性を読む一冊です。

華恵にとっての読書は、自分と向き合う時間。孤独や葛藤と向き合う時、彼女の相談相手として本はすぐそばにいたのでしょう。華恵の本との関わり方は美しく、図書館で笑って楽しみ、本を読むと爽快になる、といった表現が心地よいです。
 

著者
華恵
出版日

日本では教育の一貫として読書が強制されたり、勉強の延長線上に語られたりすることが多いように感じます。しかし、本来読書は文字を通じた自分自身との対話で、ストレス発散や相談などの役割を果たすのでは?

そんなことを考えさせてくれる華恵の読書に対する愛情は、読書好きにとってなんとも好感が持てるものです。「わかる!」と共感する部分が多くあり、いつしか本への愛を素直に語る華恵に対して愛情が湧いてきます。

特に本作内のオススメは「はせがわくんきらいや」。「はせがわくんきらいや」は、ヒ素入りのミルクを飲んで体が不自由になった長谷川君と、長谷川君を嫌いながらも叱咤激励する主人公が描かれた絵本です。

自分の意思でどうにもできない弱さを持って生まれた人と、その周りにいる人の弱さ。そして、弱さを受け入れる本当の優しさとは……?小学四年生の華恵が本を通じて感じる、優しさと弱さの意味。読んでいて胸が痛くなる想いが静かに語られます。

きっと読書好きのあなたが華恵のファンになる一冊です。

一番感受性が揺れる時期……18歳の華恵の心『たまごボーロのように』

『たまごボーロのように』は18歳の華恵によるエッセイ集。『寄りみちこみち』同様、美しく日常が描き出されていますが、たった1年で全く違う一冊になっています。

18歳の彼女は、大人と子供の価値観の間で揺れており、文才や感受性は変わりませんが、今までと何かが大きく変わる予感を抱える、高校生特有の不安定さが垣間見えます。感受性が豊かであるがゆえに、時に揺れる感情の起伏やハッとするような鋭角な目線が美しく光るのです。
 

著者
華恵
出版日
2010-02-27

彼女のフィルターを通じて大人の女性になることについて考える機会をくれるところがまた良いです。才がある一方、等身大で平均的な考えを持つ彼女の感性のバランスは絶妙で、誰しもが知る成長を追体験することができます。

本作は、書いている華恵が反抗期ということもあってか、家族との対話が印象に残るエッセイが多いです。特に母と携帯電話の料金についてもめるエピソードはとても身近に感じられて、母娘の強い絆を感じられます。

ちなみに華恵のお母様はとても素敵な人です。彼女がエッセイを書く際も、書く前に必ず母に台所でテーマについて話し、感想を聴いてから書くのだとか。

幼い頃の文章は「なんて大人っぽい」という衝撃がありますが、本作では逆に「ちょっと傲慢で素直な部分も出てきたなあ」という印象が。でもそれが、また可愛いのです。

相変わらず優しくて素直な良い子だな……という温かい読後感を残すところは、さすが天性の文才を持つ華恵。まるで親戚の可愛く素直な女の子を見守っているような温かい気持ちになれる。大人の女性におすすめしたい一冊です。

山を通じて描かれる華恵の成長『華恵、山に行く。』

『華恵、山に行く。』は、 『山と溪谷』の好評連載を書籍化したものです。これまでの作品は華恵の内面の奥深くがあふれ出るような表現が多いですが、今回は他者に目線が向きます。

更に成長した華恵の目は、山の美しさや恐さ、山にかかわる人々を瑞々しく描いています。
 

著者
華恵
出版日
2010-07-09

華恵の登山に対する想いは、富士山登頂に向けて成長していきます。その過程で起こる様々な登山エピソードや、あらゆる国内の山を描く描写も楽しめる一冊。

山ガールという登山好きな女性を指す言葉が広まったきっかけとも言われるエッセイは必読です。モデルである華恵が本格的に取り組む登山姿には、憧れを抱く女性も多かったのではないでしょうか。登山の専門用語はほとんど出てきませんので、登山初心者の方も安心して読める一作です。

他エッセイ集にも登場している山の師匠こと今井さんのエピソードは特にオススメ。そのほかにも、偶然山で知り合ったおじさんとの心温まる交流や、そこから学んだことが丁寧に描かれています。

更に、本作はカラー写真がところどころ散りばめられており、華恵の感じる世界を視覚的にも楽しめます。

ちなみに、登山をしている時、華恵はほとんど話さなくなるのだそうです。自分の呼吸の音や木々のざわめきを聴き、自分自身と向き合う時間が流れる、と華恵は語ります。

どう登山を楽しむか、どんな時間がそこに待っているのかを語る華恵流の登山法、それが本作の魅力です。山や人、自然に対する慈しみが芽生える文章が詰まっています。登山が好きな方も、これから登山を始めたい方も、是非読んでみてください。
 

いかがでしたでしょうか。華恵のフィルターを通じて描かれた世界は、私たちも見ているけれど、私たちには描けない美しさに溢れています。

一冊読むと、華恵の成長をまた読みたくなる。そんな独特の華恵ワールドを、あなたも是非お楽しみください。

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