漫画『宮本から君へ』の魅力をネタバレ!中二病の青年がアツい!

更新:2017.5.22

中二病をこじらせたまま大人になってしまったような冴えない営業マンを描いた『宮本から君へ』。読んでいると熱い正義感にむず痒くなりながらも、つい感情移入してしまう作品です。しかし熱血漫画家と思いきや、徐々に鬱展開になっていき……。 今回は、そんな泥臭いだけで終わらない、心にズシンとくる本作の魅力をご紹介します。

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漫画『宮本から君へ』の魅力を名言から全巻ネタバレ考察!ドラマ化、映画化された原作

新井英樹の初期作品で、比較的優しい雰囲気で始まる『宮本から君へ』。熱く、ともすれば中二病のまま大人になってしまった、彼の反省が描かれた内容です。

しかしそんな彼のまっすぐな行動は、とてもかっこよく惹きつけられるものがあります。泥臭さがリアルで、社会人のヒーローとも言える人物。しかし、後半に差しかかるにつれて、作品は急展開を見せ、徐々に鬱要素を増していきます。

2018年4月に池松壮亮、松山ケンイチらでドラマ化され、2019年9月には池松壮亮、蒼井優ら出演で映画化されている人気作。

今回はそんな本作の魅力を、全巻の名言から考察します。ちなみに本作の真髄は後半の鬱展開にあるので、ご興味を持った方はぜひ最後まで読んでみてください。感動するような、辛くなるようなメランコリックな気持ちになること間違いなしです。

著者
新井 英樹
出版日

「宮本から君へ」のメッセージ、あなたは何を感じる!?【あらすじ】

「宮本から君へ」のメッセージ、あなたは何を感じる!?【あらすじ】
出典:『宮本から君へ』1巻

文具メーカーで働く宮本は、営業職なのに笑顔がうまくつくれない、気の利いたお世辞も言えない、それでいて人一倍正義感が強いので人とぶつかってしまうという不器用な人間です。学生時代から付き合っていた彼女にも振られ、社会人としての初めての夏を、何の予定もなく迎えようとしていました。

『宮本から君へ』1巻の名言をネタバレ考察!「僕と!!朝は!!話!!したいです!!」

宮本が最近想いを寄せているのが同じ通勤電車に乗っているある女性。渋谷から山手線で代々木乗り換えの彼女がいつも乗車する定位置よりやや右にいて、今日こそ話しかけようと思いながらはや3ヶ月。一向に彼女との接点をつくれないまま毎日もやもやする日々を送っています。

ある日、電車とホームの間に足が落ちてしまった少女を助ける宮本。それを偶然憧れの彼女が見ていて、ふたりでその子を助けることになりました。

何とか3人で電車に乗り込み、これをきっかけの何か話したいと思う宮本ですが、彼女を無言で見つめることしかできません。そして助けた少女がお礼を言ってきている間に女性は車両の中の方へと歩いて行ってしまいました。

著者
新井 英樹
出版日

最大のチャンスを逃した宮本は意気消沈。その夜の飲み会で自分に自信がないから人に愛想よくできないのだと課長に絡みます。そしてそのまま飲み続け、気がつくともう朝。いつも通りの朝のホームにヨレヨレのスーツ、無精髭姿で宮本は立っています。

しかしその顔な何か決意に満ちた表情。そしてなぜか憧れの女性にずいずいと近づいていくのです。同僚にそんな格好で無茶だと止められるものの、それを無視して彼女の隣に立つ宮本。そして電車に乗り込もうかというその時に、こう叫びます。

「僕の!!名前は!!宮本浩です
僕と!!朝は!!話!!したいです!!」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

彼女は唖然、周りの乗客たちは大笑いです。

気持ちが空回りし、言い回しがおかしくなってしまった宮本。しかし彼の気持ちが痛いほどに伝わってくる真っ直ぐな告白です。この恋はどんな結末を迎えるのでしょうか?

『宮本から君へ』1巻の名言をネタバレ考察!「ほれた女以外は抱かない」

 

合コンで知り合った祐奈という女性は何だか宮本に似たタイプ。彼女は周囲が盛り上がる中、引っ込み思案で話に入れず、話題を振られてもどもってしまいます。

しかも何かあるとすぐ焦ってしまい、何度も飲み物を手に引っ掛けてこぼしてしまいます。そしてついには泣き出す始末です。

宮本もその日の合コンは惨敗してしまい、惨めな気持ちのまま帰路につきます。

後日、偶然祐奈と再会する宮本。仕事で失敗してしまった彼は誰かに話を聞いて欲しくて彼女を食事に誘います。お互い似たタイプなので自然と意気投合するふたり。ほろ酔い気分で店を出ると、外は激しい風と雨でひどい天候でした。

 

著者
新井 英樹
出版日

強風と酔いで転びそうになる祐奈の手を握り、何だか気まずい雰囲気を察して彼女の終電を心配する宮本。しかし祐奈は決意したようにこう言います。

「……いいんです
の……乗れても乗りません 私
いいでしょ?宮本さん」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

引っ込み思案で恥ずかしがり屋の祐奈が勇気を振り絞って言った言葉に動揺する宮本。しかし彼女の表情を見ているといたたまれなくなり、そのまま彼女を抱きしめます。そしてふたりはホテルへと入ります。

着替えてベッドに入って、文字通り寝るふたり。宮本にはある決断がありました。

「ほれた女以外は抱かない(中略)
下半身リキみっぱなしで添い寝するあたりなんか
かっこよすぎる」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

……。

「バカじゃねーの」。読者の思いを、このあとすぐにそのまま本人がすぐに代弁します(笑)

女性も知らない中学生時代に誓ったことらしいですが、彼はそれを守り通すことができるのでしょうか?

『宮本から君へ』1巻の名言をネタバレ考察!「でもカッコいいと思ってるんですよ」

祐奈との一夜を過ごし、ヨレヨレのスーツのまま出社する宮本。昨日楯突いてしまった営業先の店長に課長と一緒に謝りにいきます。課長は宮本にこう言います。

「宮本……よっぽどええ事あったんやな
詳しい事は聞かんけどな やさしい顔してるで!!
昨日と今日では大違いやないか」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

それを聞いて宮本は元気な返事をします。そしていざ営業先へと向かうのです。

しかしそ営業先の店長はやはり傲慢。

「しょーもねぇ奴だな お前は
うちに来る営業は ちゃんと俺が一人前の人間にしてやってんだよ」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

著者
新井 英樹
出版日

屈辱に震える宮本ですが、課長がどうにか宮本をいなし、店長を「会長」とおだててふたりの仲を取り持ちます。そこで宮本はどうにか堪え、店長にこう言うのです。

「ま…まこと愚かなるさもしき民の私の力……
及ばず 及ばないところの……あ……
永山会長!一から出直します

未熟な僕に力を貸して下さい お願いします」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

拙いながら自分の言葉で謝罪した宮本。それに気難しい会長も納得し、何とか彼の首は繋がったのです。

その後見晴らしのいい高台で課長と一服する宮本。課長とこんな会話をします。

「かたくなな男やな 融通きかんやろ」

「きかないですよ」

「そないな事ばかり言うとったら損するだけやで せやろ!!
わかっとって損するんは利口やないで」

「でもカッコいいと思ってるんですよ」

「アホにカッコいいもクソもあるか」
(『宮本から君へ』1巻より引用)

泥臭くて、傍目から見るとダサい宮本ですが、彼なりの論理を突き通す様子をずっと見ていると、確かに何だか少しかっこよく見えてきます。

『宮本から君へ』2巻の名言をネタバレ考察!「今の僕にはわかりません」

辞職する神保という先輩の仕事を引き継ぐことになった宮本。小田課長から「神保の名刺ちゅうたら取引先の3軒隣のビルでも見つける事ができるで言われとるんやで」というほど仕事熱心なのが神保です。小田は宮本に仕事内容はもちろん、仕事ぶりを引き継ぐんだぞ、と念押しします。

その言葉のとおり、神保は笑顔で人の懐にするりと入る才能があり、それぞれの取引先と密な関係を築いていました。

神保の代わりが務まるか不安に思っていた宮本。取引先まわりをした後に、彼から「お前……笑うの下手だな」と言われます。

笑顔がデフォのまま、神保は「実はな 俺も下手だ」と明かします。そんなわけないでしょう、という宮本に、彼は「これは地顔でな この顔のまま俺は悩んだり落ち込んだりする」と明かしました。

著者
新井 英樹
出版日

そこに同じく営業の益戸がやってきます。そして彼から昨日行ってきた接待ゴルフのお土産を渡されますが、神保が「宮本 考えろよ」と制します。

実は神保は会社の経費で行く接待ゴルフを非としており、自分の懐が痛まず、お土産でも買ってきて客寄せする行動だと揶揄するのでした。神保と益戸はこんな押収をします。

「自分の意志もこだわりも持たない営業を認めるのか 宮本」

「理由はどうであれだ
会社の利益になるなら構わないだろ
スタイルの違いだけだ そうだろ 宮本くん」
(『宮本から君へ』2巻より引用)

恐ろしいのは、ふたりが感じのいいように見える笑みを浮かべていること。宮本は営業人のすごさを感じます。

自分は笑って本音は吐けない、ただ、好みはある、と心の中でつぶやき、宮本はふたりにこう返しました。

「今の僕にはわかりません」
(『宮本から君へ』2巻より引用)

そして下手な笑顔で笑うのです。

まだヨチヨチとはいえ、仕事をする人間として自分のスタイルを歩み始めた彼の言葉です。

『宮本から君へ』3巻の名言をネタバレ考察!「1人じゃ何もできません」

益戸と島貫という男がコンペで不正を働き、仕事を奪われた宮本は、憤っていました。しかも神保からもこれ以上は無理だと諭され、余計に行き場のない感情を持て余し、神保や、会社の上司・安達の姿勢に噛みつきます。

そして張本人である益戸にも噛みつき、彼からこう言われてしまうのでした。

「おまえは黙ってなよ はなからカヤの外なんだから」
(『宮本から君へ』3巻より引用)

それを聞いて社内にも関わらず喧嘩になりそうになり、安達から「お前 営業失格だ」とまで言われてしまったのでした。そのあと、部署でも自分の理念を曲げない宮本は、様々な上司から注意されます。

著者
新井 英樹
出版日

そのあとからずっとやけ食いをしている宮本。自分を痛めつけないと腹が治らないのだと言うのです。そのまま親友の田島との口論の勢いで坊主になった彼は、翌日神保に電話をして会いに行きます。

神保は頭を丸めた宮本を見て「立場上 俺はお前にこの仕事から手を引くように言うのが筋だ」と前置きをした上で、「本音を聞かせろ」と言いました。

答える資格がないと言うものの、神保に促され、宮本はこう語るのです。

「最後まであがいてみれば 望みは消えないと思います
経験者の前例を諦めの口実にするのは卑怯だと思います(中略)
自分は一般論作った人以上にはなれないって諦める事になりませんか
自分の可能性もその程度だって認める事に……」
(『宮本から君へ』3巻より引用)

それに対してタジタジとする神保を見て、また大口をたたいてしまったことを謝る宮本。実力が足りない、経験が足りない分生意気にも聞こえるかもしれませんが、ルーキーだからこその熱さを感じられます。

「仕事取れるかどうかはわかりませんけど
バカなりに納得したいんです 自分を認めたいんです

1人じゃ何もできません だから少しだけ力を貸して下さい お願いします」
(『宮本から君へ』3巻より引用)

そして土下座でダメ押し!これには神保も熱意に押され、今後どうするかという話に入ることになりました。

『宮本から君へ』4巻の名言をネタバレ考察!「あの!! 僕はっ!! 僕は〜〜っ」

益戸たちにコンペで抜け駆けされたものの、どうにかそれが本決まりするまえに取引先にチャンスをもらうことができた宮本。しかし商品のサンプルを明日までに仕上げなければならず、印刷所を走って回ることになります。

しかし急で無理なお願いに、どこも迷惑そうな顔をし、挙げ句の果てには怒鳴り散らされてしまいました。

そんな時に訪れたある印刷所で、神保はかつて仕事をしていた藤沢社長という人物と再会します。実は神保は彼のミスをカバーしたことがあり、藤沢は二つ返事で印刷所を紹介しようと言ってくれました。

著者
新井 英樹
出版日

一行がやって来たのはかつて藤沢が先代と仲良くしていた会社。しかし印刷完了まであと19時間しかないとなり、息子であり、現社長の飯島はテコでも動こうとしません。

しまいにはあまりにもしつこい頼み方に、普段は無口な彼も「こんなぁ やり方ぁ」と声を荒げてしまいます。信用を損ねるような依頼を神保、そして宮本のためにしてくれている藤沢。

一向に希望が見えなの飯島の態度に、ついに藤沢も怒った口調になり、もういいと叫びます。

「親父のかわりに運動会出てやったのも
中学ん時 筆おろしの金 出してやったのも 結婚式の仲人してやったのも
親父が卒中でコロッと逝っちまった時
オタオタしてるおめえの世話してやったのも いいかデブ
葬式からキンタマの世話までしてやったのは 全部俺だよ!!
たかだか 6 7時間の作業じゃねえか
そのぐれぇの時間 俺の事考えてくれてもいいじゃねぇか」
(『宮本から君へ』4巻より引用)

藤沢の言葉、無口なものの、それに対して何か感じるところのありそうな飯島を見て、宮本は印刷機を動かす彼の手を取り、こう言います。

「〜〜〜〜〜僕はっ
あの!! 僕はっ!! 僕は〜〜っ
僕っ…… ……僕を

……お願い……します お願いします

お願いします!!」
(『宮本から君へ』4巻より引用)

1巻にご紹介した名言のように、言葉にならない思いをどうにかぶつける宮本。神保もそれを見て、土下座をし、頼み込みます。

ふたりの必死な様子を見て、ついに飯島はこう返すのでした。

「できてる版……見せて下さい」
(『宮本から君へ』4巻より引用)

整理はできていないものの、熱い情熱で人を動かす宮本。かっこいいですね。

ついに印刷所をおさえ、サンプルが用意できることが決まった4巻。果たしてコンペの行方はどうなるのでしょうか。

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『宮本から君へ』5巻の名言をネタバレ考察!「な……なんかいいなと思いました!!」

社会人として2年目の夏を迎えた宮本。しかしすぐに仕事がうまくいく訳もなく、似ているようで少し成長したような、そんな日々を送っていました。

そんなある日、取引先で売り子の手伝いをしている時に、お客さんのひとりの書類が風に飛ばされたのを見て、宮本は取りに走ります。

著者
新井 英樹
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そのまま急な通り雨に打たれる宮本。そのまま何だか楽しくなり、笑いながら彼女が避難した電話ボックスに一緒に入ります。謝る彼女に、「気持ち良かったから」と返すと、その女性もこう言います。

「実は私も気持ち良かったのだ」
(『宮本から君へ』5巻より引用)

その笑顔に一目惚れしてしまった宮本。そして強引に彼女に会社まで連れて行かれ、社員からスーツを貸してもらうことになります。

しかしその男は宮本を「仕事中に女の尻追っかけまわす営業マン」呼ばわりするのでした。それを聞いてもうスーツは貸してもらわなくていいと突っぱねる宮本。

その男はどうにか彼を止めようとしますが、宮本はもう訳が分からなくなっています。そしてそこにいた栞にこう言うのです。

「頭が……こんがらがっててうまく……言えないけど
あなたを な……なんかいいなと思いました!!」
(『宮本から君へ』5巻より引用)

そしてそのまま帰っていくのでした。

取引先の社内でこんなことを言ってしまうパワーは素晴らしいですね。

しかし実は宮本は現在靖子という女性に片思い中。1巻の前例を思い出させる構図です……。

『宮本から君へ』6巻の名言をネタバレ考察!「いつだってそうだ……弱さを武器にしやがって……」

飲みの場での喧嘩からむしゃくしゃしていたものの、結局それを発散させようとしてもいく場所がなく、映画を見にきた宮本。そこでいきなり隣に座ってきたおっさんにモーションをかけられます。

どうにか彼を振り切ってトイレまで来たものの、あとを追って来たその男。ボールペンを武器にし、今度は無理やり迫っています。

しかしそこに裕二という男が現れ、助けてくれます。しかし助けるといってもほぼ遊んでいるとしか思えないほどにその男をボコボコにしていくのです。

しかもやりすぎだと止める宮本を無視し、通報されると彼のせいにして逃げていくのでした。

そのまま何やかんやでふたりで飲みまくり、意気投合した裕二は宮本を連れてあるアパートにやってきます。

そこは今宮本が思いを寄せる靖子の家でした。

実は裕二の彼女は靖子だったのです。

著者
新井 英樹
出版日

修羅場になるその場。靖子と宮本が寝たということを知った裕二は怒りますが、それより何回も他の女に浮気されていた靖子も怒り返し、口論になります。

ついには靖子に手を出した裕二。さすがにそこで宮本が彼女を守り、裕二はその場を去りました。ちなみにここでも名言が登場するのですが、このあとの展開がさらに宮本っぽいのです。

裕二がいなくなったあと、泣き続ける靖子に、宮本はこう叫びます。

「いつだってそうだ……弱さを武器にしやがって……
女が弱み見せりゃ男ならバカだってなぐさめるよ
ほっとけないだろ ちくしょ!!(中略)
いつだってそうだ
女が弱味見せるまで影でチョロチョロしてチャンスが来れば食いつく
俺は まるでっ ハイエナのような男じゃねぇか
……違う 違うだろ!!
バカじゃねぇのか 自己批判してどうすんだ」
(『宮本から君へ』6巻より引用)

いつもどおりメチャクチャです。しかし、ここで宮本のかっこよさが一皮向けたと言ってもいいのではないでしょうか。仕事だけではなく、恋愛面でも自分の殻を破って成長していく彼を感じられます。

『宮本から君へ』7巻の名言をネタバレ考察!「まさしく図星 図に乗ってました」

靖子と結ばれ、有頂天の宮本。付き合って4日目で、ルーティンな毎日に不平を抱いていたのに、今の生活の繰り返しを望むようになるほどでした。

職場では島貫のミスのせいで仕事をとることが難しくなった案件を成功させなければ、担当者の変更も視野に入れられているピンチの宮本ですが、靖子との影響で浮かれ、どうにかなるような気になっています。

そして外回りにいく宮本ですが、新規で訪問する会社のまで、靴紐が切れてしまいます。しかし図に乗っている彼は、3本くらい平気だ、とそのまま営業に臨むのです。

著者
新井 英樹
出版日

そこに現れたのは、恰幅の良い資材部の大野という男。彼は宮本に満面の笑みで「仕事はまず体力 それから女にモテる事」と言い、受付嬢が見極めた89点という点数を告げます。

しかしそのあと雑談をしながら、大野はこんなことを言うのです。

「甘いね(中略)
運任せで何とかなると思ってるよね 宮本くんは
仕事を取りたい でも5日しかない
そういう人間の顔じゃないね 今の君は
人は笑顔だけじゃ動かないよ
宮本くん 君の意思見せてよ」
(『宮本から君へ』7巻より引用)

俯いた宮本は、自分の紐の切れた靴を見て、確かに甘かった、と反省します。そして慌ててその場をたってこう言うのです。

「お時間取らせて すいませんでした
まさしく図星 図に乗ってました
実は最近彼女ができてしまい たて続けにいい事がおき
意志よりも運を過信してしまっていたのでした!!」
(『宮本から君へ』7巻より引用)

そして自分の顔を必死に隠し、表情を見ようとする大野にこう続けます。

「みっ見ないで下さい だめです
後日お見せできるような顔になり次第やって参ります
本当にすいませんでした」
(『宮本から君へ』7巻より引用)

それを見た大野は、表情を変えます。そして「後日は遅い 今から行くぞ!!」と彼を見直すのでした。

ちょっと調子こいているな、とは思っていましたが、まっすぐさが取り柄の宮本。さすがにすぐ改心しました。少しイライラするところがあっても、こういうところもあるから憎めないんですよね。

果たして彼はこの仕事をうまくまとめることができるのでしょうか。

ちなみに、大野との出会いから、徐々に作品の様相が変わっていきます……。

『宮本から君へ』8巻の名言をネタバレ考察!「ほっ本気かウソんこか聞いてんだ 答えろこの野郎」

7巻でどうにかとった仕事。その関係で大野と真淵は所属するヤクザ感漂う社内のラグビー部に彼を連れて行こうとします。靖子とデートの約束をしていた宮本は断るのですが、真淵の圧に負け、待ち合わせ場所でなぜか3人で彼女を待つことに。

そのまま靖子が加え、一向はラグビー部の飲み会に向かいます。

著者
新井 英樹
出版日

そしてそこでは大野と真淵と同じように恰幅がよく、恐ろしい面々が。しかも宮本は一升瓶を一気飲みさせられ、泥酔状態になってしまいます。そこに呼び出された真淵の息子・拓馬がやってきて、物語は加速していきます。

彼は登場早々、メンバーの大男ふたりを投げ飛ばすほどの腕っ節。そのあとに宮本と靖子に挨拶するのですが、そのあと彼女の手を離しません。

実は彼は年上の女を紹介してもらえるという口実でやって来たようで、宮本と付き合っていると聞くと目の色を変えます。そして「欲しけりゃ 腕ずくで取れよ」という外野からの声で、喧嘩する流れに。どう見ても勝ち目がゼロの戦いですが、宮本は泣きながらこう言います。

「ほっ本気かウソんこか聞いてんだ
答えろこの野郎」
(『宮本から君へ』8巻より引用)

ゆっくりと彼に近づこうとする拓馬。しかしそこに真淵がやって来て、やめろ、という一言で場が落ち着き、彼は「宮本さん 靖子さん 冗談ですよ」と言うのでした。

宮本、どう考えても無理な戦いでも最後まで男らしいですね。

しかしこのあと、ストーリーはどんどんまさかの展開を迎えるのです。心が、重い……。

『宮本から君へ』9巻の名言をネタバレ考察!「ケンカに勝つ方法教えてくらはい」

泥酔状態の宮本の横で、拓馬にレイプされた靖子。ふたりはどうしようもない気持ちで口論をします。

翌日には昨日のメンバーでラグビーの試合に参加すると約束していたので、迎えにくることになっていた真淵親子が来たら、宮本はそこで拓馬を殺すと宣言します。

しかし車で迎えに来たのは真淵だけ。拓馬は野暮用でこれないと言うのです。そのままひとまず競技場に行きますが、宮本は道中で真淵にどれだけ凄まれても仏頂面をやめられませんでした。

著者
新井 英樹
出版日

そしていざ拓馬が試合会場に来ても、一発でその場に倒され、そのあとにもう一発お見舞いされて身動きできないほどになってしまうのでした。

宮本はしばらくしてそこからどうにか立ち上がり、泣くヒマない、とつぶやきながら心を落ち着かせるために銭湯に向かいます。

そこで彼に話しかけて来たのは立派な刺青をいれたヤクザの男。それを見て宮本は、こう言います。

「ヤクザの人〜〜 ケンカに勝つ方法教えてくらはい
おっ お願いひまふ!!」
(『宮本から君へ』9巻より引用)

泣きながら彼に頼む宮本。無力だと自覚した時こそ発揮される彼のまっすぐさが沁みます。

そのヤクザのとこが宮本に言ったのは……。

『宮本から君へ』10巻の名言をネタバレ考察!「てめえが安心ひたいらけらろ〜〜が」

「譲れない部分」があって喧嘩になり、宮本からのカウンターで打ったパンチがたまたま入ってしまったということになっている今回の喧嘩。拓馬はシラをきりとおし、宮本もこの件を部外者に話すつもりはありませんでした。

しかし明らかに息子と宮本の間で何かあったことに気づき、腹の虫が治らない真淵は彼を会社から呼び出し、大野を交えて喫茶店での話し合いに参加させます。

宮本から君へ [完全版] 10

新井 英樹
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しかし怒りで腹が煮えくり返っている宮本。最近板についてきた愛想笑いもうまくできないほど怒っているものの、どうにか笑って話を流そうとします。

しかし甘いものと喧嘩が大好きな策士・大野の口車で宮本は事実こそ言わないものの、怒り狂い、腫れ上がった顔、歯が何本もなくなった口でこう言います。

「ぶっ殺ひゅぞ てめぇら
てめえが安心ひたいらけらろ〜〜が
せがれを信りたいらら 心中覚悟れ信りてやれよ
いまさら首つっこむすき間らんかれえぞ」
(『宮本から君へ』10巻より引用)

泣きながら靖子のために流す涙、真剣な表情はこちらまでその熱量が伝わって来ます。

『宮本から君へ』11巻の名言をネタバレ考察!「俺様が1番ら!!」

靖子が宮本、もしくは裕二の子供を妊娠したことが発覚し、事態はますます複雑になってきました。しかも真淵もついに拓馬に直接話を聞いたようで、宮本が再会した時、彼は病院のベッドの上にいました。

その場にいた拓馬の母親から彼のいそうな場所を聞き、その場所に彼はいなかったものの、彼女の家を聞き出すことに成功します。宮本はその家に行きますが、ふたりから拒絶され、しかたなく非常階段で彼を待ちます。

著者
新井 英樹
出版日

そして朝、家に帰ろうとする拓馬を捕まえ、踊り場で彼と喧嘩することになるのでした。

だまし討ちで彼の股間を狙おうとする宮本でしたが、それは読まれ、片足を掴まれたまま突き落とされそうになります。そのあとも一方的に殴られながらも「やめにしようか」と聞かれても首を横に振る宮本。

そのままサンドバッグのように殴られる展開が続くのですが、ふとした拍子に、パンツ一丁だった拓馬のパンツが破れ、その場に落ちます。それを見た宮本は、これがチャンスと必死に股間を狙って蹴り続けます。

たまらなくなった拓馬は逃げようとしますが、足にパンツが絡まり、踊り場から地上へ落ちそうになってしまいます。

そこからはほぼ宮本の一方的な攻撃。しかも何度も殴った後にここからが本番だと言う彼に、ついに拓馬はギブアップします。そして靖子さんに謝ると言う拓馬に宮本はこう叫ぶのです。

「バカかてめぇ
女なんかこれっぽっちも関係ねぇよ
こいつは全部俺様ひとりの喧嘩らあ
なにが謝るら!なにが靖子さんら!!
俺様をなめんな  クソったれ
った……くも かゆくもねぇ!!
俺様が1番ら!!」
(『宮本から君へ』11巻より引用)

今までの積み重ねを知っているからか、この宮本の言葉の意味、気持ちに泣きそうになってしまいます。

最終回に向けて加速していくこの11巻は、この拓馬との喧嘩での名言もいいのですが、実はこのあとの靖子へのプロポーズが最高の内容となっています。ぜひその様子はご自身でご覧いただければと思います。

『宮本から君へ』12巻の名言をネタバレ考察!最終回をぜひご自身でご覧ください!

ついに本作もこの12巻で最終回を迎えます。妊娠が発覚し、双方の両親に挨拶をすませたふたり。妊娠してからの結婚報告とあり、彼らの反応は芳しいものではありませんでした。

認めてくれるものの、祝福してはくれない。そんな悲しさが赤ん坊も含めた3人を包みます。しかしいくつもの修羅場を乗り越えてきたふたりは、その辛さを抱えながら歩いていくのでした。

12巻は宮本と靖子の家族、裕二の秘密、神保の現状、益戸の意外な一面など、様々なことが明らかになる内容。

そして最終回は、靖子の出産シーンで括られます。自宅で破水したものの、宮本のドジのせいで動かなくなっている電話。救急車を呼ぶこともできず、ひとり室内で靖子は痛みに耐えます。

著者
新井 英樹
出版日

宮本は日課の彼女への電話をするものの、電話は壊れているのでもちろん繋がりません。不思議に思いながらも、仕事中なのでそのままになってしまいます。

そんな時、宮本は子供が手を離して、空に浮かんでいってしまう風船を見つけます。何かを予感した彼はもう一度靖子に電話をかけます。その横でふざけて風船をお腹に入れて、割って遊んでいた人々がいました。

その時、宮本は「ありがと 宮本」という靖子の声を聞いた気がします。不穏な予感がしますが、そのまま上司とランチに向かってしまう宮本……。

最終回の名言はこのあとの展開にて登場します。名言とまでは呼べない簡素なものかもしれませんが、彼の力強さが感じられる返事、最後の1コマです。この12巻では名言は控えさせていただきます。これまでのふたりの、宮本の物語を締めくくるにふさわしい結末です。

終わりよければ……、なんて言葉もありますが、本作を読み終わった後の、清々しいような、でもやっぱり心苦しいような気持ちは読んでみなければ分からないもの。ぜひ、青春、のち鬱?な新井英樹の名作漫画をご自身でご覧ください。

漫画『宮本から君へ』を読んでみよう!青春を過ごし続ける男のストーリー!

著者
新井 英樹
出版日

最初は取引先と揉めたり、冴えないプライベートを送ったりとお世辞にもかっこいいと言えない宮本ですが、徐々に変わっていきます。しかしその様子には高い熱量と魅力を感じ、彼の「主人公らしさ」に引き込まれていくのです。

そしてそんな爽やかな展開で読者を油断させておいての、まさかの事件、鬱展開。無防備だった分、心のダイレクトアタックでダメージを負う危険性もあります。

しかし、読むのをやめられない不思議な魅力のある本作。ぜひ最後まで彼のストーリーをご自身の目で見届けてみてください。

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