エロくてバカな高校生ふたり組が巻き起こす波乱の日常を描いたギャグ漫画『幕張』。誰しも共感するところのある青春を描く、「週刊少年ジャンプ」に連載されていた人気作品です。今回はそんな本作の魅力をご紹介!ネタバレありなのでご注意ください。
- 著者
- 木多 康昭
- 出版日
塩田と奈良は県立幕張南高校に入学したばかりの1年生。野球部に所属する一見普通のふたり組ですが、実は彼ら、かなりゲスいのです。そのゲスさは出身中学の校長と教頭が卒業する彼らのはなむけとして塩をまくほど。
まず分かりやすくやばいのが奈良です。彼は1話目から早々ぶっかまします。
「塩田の妹の忍ちゃん 小学生になったんだよね(中略)
俺の好みっていうか 愛しているというか………」
そう、何と彼はロリコン。しかも友人の妹を狙うという鬼畜なのです。
奈良はこのあともひょんなことから男に襲われてゲイに目覚めたり、野球部のマネージャーに裸で抱きついたりとその変態加減に磨きをかけていきます。
しかし分かりにくいもののゲスさで上を行くのが塩田です。彼は表沙汰にならないようにゲスく立ち回ることを得意としています。
部活の監督・野村の車の合鍵を勝手につくり、かつて野村が女子マネージャーに告白したという音声テープで脅し、奢らせるのです。そのやり口はヤクザばりに巧妙で恐ろしいもの。
しかも嫌がる女子を無理やり襲うというシチュエーションが好きだったり、悪事の根源を最終的にはすべて奈良になすりつけたりするという、まさに黒幕。
そんなふたりの日常とは果たしてどのようなものなのでしょうか?
- 著者
- 木多 康昭
- 出版日
ゲスいふたりですが、決して真っ黒という訳ではありません。基本的にその動機は高校生らしく、行動もアホらしいものばかりです。
ロリコンを打ち明けた奈良に対して、塩田は野球ボールに忍、消しゴムに内田有紀と書いて奈良の前に置きます。そして奈良と塩田はこんな会話をします。
「し 塩田 内田にさわってもいいかな」
「さわるだけでなく なめようが口にふくもうが奈良の好きにしていいぞ」
「そ そんな事まで許されるのか 事務所とか問題ないかな」
妄想をここまでおかずにできる。ネットやスマホが普及する前の古き良き時代背景、そして若かりし思春期男子の妄想力に自分の学生時代の気持ちを懐かしく感じる人も多いのではないでしょうか。それにしてもアホすぎる会話です。
この後もおっぱいが見たすぎると言ってブラジャーをつけたり、その見たい気持ちをグラフにしたりと、自分の欲求に全力投球。その力を少しでも勉強に活かせたらと彼らを見て思いますが、誰しも自分にそう思ったことがあるでしょう。
エロくてバカでまっすぐ。読んでいると、笑えるのに青春を思い出してノスタルジックになるという不思議な魅力があります。
そしてこの作品のもうひとつの魅力はメタ発言や時事問題を取り入れているという点。入学当初、まだ部活を決めていなかった時、奈良は塩田にこう言います。
「俺と一緒にバスケ部に入ろうぜ」
しかし塩田は苦渋の表情でこう言うのです。
「バスケはだめだよ……『ジャンプ』にはもう………『スラムダンク』があるから………」
涙をのんで同じ雑誌に同じスポーツは必要ない、人気漫画には敵わないと言う塩田。自分たちの立ち位置をよくわかっている切ないメタ発言です。
「奈良だけがその部に入るなら 一つだけおすすめの部がある
セクシーコマンド部」
ご存知ない方は意味が分からないかもしれませんが、ジャンプの人気ギャグ漫画家うすた京介の名作『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』の主人公が所属する部活?です。
しかしそれはやはりまんまパクリになってしまうので無難なところで野球部に入ることになったのです。
その他にも何かをごまかしている対戦に、耐震偽装問題で話題になった姉歯建築士や、朝のニュース番組・とくダネの小倉智昭を出すなど、やりたい放題。全てをネタにするというハングリー精神がある作品です……。
第一話 ロリコン ホモセックス
一話目から飛ばしています。よく週刊少年ジャンプ(以下ジャンプ)で連載できたなと。奈良が塩田の7歳の妹を好きだといことを告白します。塩田と奈良と教師は3人でファミレスで食事した後、財布がないことに気付き、ゲイのお兄さんに奈良を差し出すことで金品を得ようとします。奈良は処女(?)を奪われて戻ってくるのでした。
第二話 脱衣麻雀
当たり前のように登場した桜井と脱衣麻雀をすることなります。ジャンプで脱衣麻雀はアリなのでしょうか?
第四話 小学生をナンパ
病院で奈良が小学生をナンパします。アウトですね。
第五話 さきマティ
叶親の小学校卒業の時に塩田が全校生徒の前で「叶親君のチンチンのさきっぽまっ黒でした!!」と暴露したため、叶親はその後「さきっぽクロマティ」略して「さきマティ」と呼ばれることになりました。初恋の人にも知られることになったため、叶親は青森へ転校しました。
第十話 女の子を殺そうとする
鈴木千恵子の登場エピソードです。あまりの不細工さに耐えかね、塩田は千恵子を殺そうとします。
第十一話 大人になろうとする ラブホテル
奈良と千恵子が付き合い始めるエピソードです。奈良は極度の近眼のため、メガネをはずされて千恵子を広末涼子似と刷り込まれます。2人はラブホテル「UFO」に向かって歩いていくのでした。
第十四話 パイズリ
桜井宅に侵入した奈良は桜井にパイズリさせようとします。唐突なエピソードです。
第二十三話 ほんもの
柔道部と戦うことになった塩田の対戦相手がホモだったという話です。
第二十五話 立っちゃってるんだこれが セックス
奈良の彼女の千恵子となぜかラブホテルに行ってしまった叶親。超不細工相手でも若気の至りで立ってしまいます。叶親は実際にはやっていませんが、目が覚めるとパンツをはいていなかったため、セックスしたものと思い込んでしまいます。
第二十七話 それがフルチンだったですたい
第二十五話の話を叶親が塩田に相談した際の叶親のセリフです。
第三十三話 広大なアメリカ大陸がつくったアメリカチンポ……日本人にはございますまい!!
唐突に始まった世界最優秀高校生大会編でアメリカチームとのやり取りの一幕です。お察しの通り局部の大きさの競い合いをしています。
第三十九話 鬼のチンポ
女子風呂のぞきがバレた際にごまかすため(?)に叶親のチンポを見せつけました。なぜかぬ~べ~のカットインが入っています。
第四十話 んじゃ3Pにする
「マリオとルイージでさえ2Pだったのに……」というツッコミが入っているので、何かのゲームの話だと思います。
第五十話 パイズリ
塩田が叶親の声色で桜井を口説こうとした際にでた一言です。「つい言っちゃうんだよ あのおっぱいを見てると 魔性のおっぱい恐るべし」とのこと。
第五十五話 セックスフレンドです
奈良が奈良の母親に桜井を紹介するときに使った言葉です。この後母親から「嘘おっしゃい だいいち重ちゃんまだムケてないじゃない」と恐ろしい返しをされます。
第六十六話 こいつはロリータとホモの混血だ 言わば東洋の神秘
奈良がリアルテンテン君に人質に取られた際に塩田が発した言葉です。妙に説得力があります。
第六十八話 第一回チキチキチンポバトルが始まろうとしているのだ
お互いに逆ズリネタを言い合い チンポをふにゃらせもちチンポ角度が0度になったら負けである!!この勝負に勝ったものがチンポofチンポスTHEチンポマンになるのだ!!だそうです。
第七十六話 パイパンだけどな
叶親が桜井の秘密を唐突にばらした時の言葉です。
第七十八話 強制フェラが待っておるぞい!!
奈良VS矢禿戦でお互いが奥義「奈良づくし」を撃ち合う場面でのが嫌からの一言です。
最終話 ガモウひろしでした
伝説の最終回での一幕です。最終回までぶっとんでいた『幕張』、見逃せません。
- 著者
- 木多 康昭
- 出版日
ゲスい主人公がまっすぐに、そしてその時々旬なネタを取り入れて笑わせてくれる名作ギャグ漫画『幕張』。今回おすすめする理由をご紹介いたしましたが、やはりその勢いは作品本編でしか感じることができません。
あなたもぜひ作品で色々な意味で力強いこの作品の魅力を味わってみてください!
『幕張』を読んだ人はまず「えっ、少年誌でこんなもの描いていいの!?」と驚くと思います。もちろん私もそう思いました。ふんだんな下ネタ、謎の展開、なんとなくストーリーがあるようでないような不思議な話の流れに翻弄されながら読むのが正しい読み方かと思います。下ネタが抵抗のない人はぜひご一読ください!