果てしなき渇き
めまぐるしいまでの疾走感と付いていけないほどの場面転換の多さが魅力。失踪した愛すべき娘・藤島加奈子を追い、どこまでも突き詰めようとする父・秋弘。加奈子は成績優秀で皆から愛される、憧れの存在……のはずだった。
父親が追えば追うほどに、知らなかった娘の姿、娘に翻弄される人々、そして娘の背後に広がる自分の知らない世界が明らかにされていきます。。展開が目まぐるしく、凄まじいほどの情報量が一気に頭の中になだれ込んできて、底なし沼に足を入れてしまったようにどんどんと物語にのめり込んでいってしまいます。恐怖心を掻き立てられ、それと同時にページをめくるスピードも速くなる。そして、きっと貴方もこの衝撃を目の当たりにするでしょう。
Xゲーム
幼少時代の悪ふざけで終わっていた、終わるつもりだった。それなのに、その“ただの悪ふざけ”がこんなにも自分を、自分たちを苦しめることになるなんて。
冒頭から不気味さが漂うこの物語、それだけでも目を瞑りたくなってしまうのに背後から何かが襲ってきそうなジリジリとした恐怖。生身の人間が巻き起こす狂気溢れる罰ゲーム。そして、ラストにここまで盛大かつ大胆に裏切られる小説は滅多にないのでは……と思ってしまうほどの大どんでん返し。
次は何が、誰が、と思いながらも恐怖心と好奇心が止まらない。貴方も読み終わった後、全力で悲しみ、怒ってみてください。
インシテミル
上で紹介した2作に比較すると、衝撃や疾走感に重きを置いた小説ではありませんが、じわじわと襲って来る恐怖、ファンタジー的な雰囲気に加えて、頭脳戦、心理戦の要素がプラスされ物語にどんどんと引き込まれていってしまいます。
参加者(キャラクター)の疑心暗鬼にとらわれ錯乱してしまい自分を守るがために周りを犠牲としてしまう人間の愚かさの描写、他人を信じることのできない空間づくりの設定に、この小説の魅力、見どころが詰まっているのではないかと感じます。
結末も、驚きはもちろんありますが、思ったよりもあっさりしているところがまた面白く、この物語の少し滑稽な部分をさらに引き立てているのではないでしょうか。映画化もされていますが、世界観がまた微妙に違ってどちらもそれぞれ面白くなっています。