物心ついたときから収集癖があった。 特に色彩豊かな物が大好きで、お菓子の包装紙、ビーズ、消しゴム、カラフルな絆創膏、天然石etc、直感で美しい、カワイイと感じる物はどうしても自分の傍に置いておきたかったのだ。 ある日、図書室で出合った1冊の絵本がきっかけで、私は絵本の魅力に憑りつかれた。
学校にマンガを持っていこうものならば即没収のうえ、始末書処分。そんなちょっと厳しい校則の女子校に通っていた中学生の頃の私は、単なる暇つぶし目的でよく図書室に入り浸っていた。
ある日、何気なく新刊コーナーを覗いてみると、珍しい装丁の分厚くて大きな本が。気になって手に取ってみると、それは外国の絵本だった。
- 著者
- マルカム バード
- 出版日
「か、かわいい!!!」
私はその本に一目惚れした。毎年、仲良しのクラスメイトたちとプレゼントを贈り合っていたのだが、誕生日を目前に控えていた私は迷わずその本をリクエストした。
今でも実家の本棚に、大切にしまってある。
それからというもの、私は絵本収集にハマった。絵本は子どものみが楽しむもの、という固定概念が見事に覆されたのだ。大人になってからでも十分に楽しめる深い内容の絵本が、探すと実はたくさんある。少ないお小遣いを貯めては本屋に出向き、子どもたちに交じって絵本を物色する。とりわけ、魔法使いや魔女物、変な怪物が出てくるものに弱かった。
今でも大切に保管しているお気に入りの1冊が、独特の怪しい世界観、ちょっと怖いけど憎めないキャラクターが出てくる、ミヒャエル・エンデの絵本。
- 著者
- ミヒャエル=エンデ
- 出版日
- 1981-11-01
ゆめくい小人が登場するシーンがおどろおどろしいので、怖がる子ども続出かと思いきや、意外と親しまれているらしい。息子が幼稚園に入る頃に読んであげたい。
魔法使いが出てくるもので、映画のワンシーンを切り取ったような美しい描写で読み応えがあるのが、フレーベル館から発行された『ページマスター』という絵本。今は販売されていないようでとても残念。図書館などでぜひ探してみてほしい。
小学校の図書館の蔵書コーナーに必ずといっていいほど置いてあり、未だに根強い人気のこの2冊。私も繰り返し読んだ記憶がある。
- 著者
- トミー アンゲラー
- 出版日
- 著者
- モーリス・センダック
- 出版日
- 1975-12-05
どちらも表紙にインパクトがあって印象に残る。
- 著者
- デヴィッド ウィーズナー
- 出版日
そして、日米両国で数々の賞を受賞しているデイヴィッド ウィーズナーの絵本もオススメ。リアルな動物の挿絵がとても繊細で美しい。個人的には同じ作者の『夜がくるまでは』が大好きなのだが、モノトーンの描写で魔物がたくさん出てくるので、怖がりの子にはオススメしない。
「デイヴィッド ウィーズナー」に並んで、シュールでユーモラスな動物の絵で人気なのが「ミヒャエル・ゾーヴァ」。絵葉書の挿絵などで彼の作品を知った方も多いのでは。
私が特に気に入っているのが、『ゾーヴァの箱舟』。
- 著者
- 出版日
こちらもリビングに飾っておきたくなる不思議な魅力の詰まった本だ。人間世界に溶け込んで、人間さながらに振る舞う動物たちがシュールでカワイイ。文字がない絵本なので、子どもと一緒に空想しながらページをめくるのがいいだろう。
映画の原作になったことで有名なオールズバーグの『ジュマンジ』は、次は何が起こるのかとハラハラ、ドキドキさせられる。奇想天外な話だが、冒険好きの子どもは絶対に喜ぶ。
- 著者
- クリス・ヴァン・オールズバーグ
- 出版日
そして、彼の作品で特に気に入っているのが『名前のない人』。
- 著者
- 村上 春樹 Chris Van Allsburg クリス・ヴァン・オールズバーグ
- 出版日
- 1989-09-01
一度見たら脳裏に焼き付いて離れない、表紙の男性の表情。最初これを見たときは、恐ろしい話なのかと思った。
事故で記憶を失ってしまった名前のない人が主人公の、とても不思議な話だ。こちらも中学校の図書室で見つけて一気に読んだのだが、うっかり感情移入してしまい号泣。読後すぐに、自分用にと本屋で購入した。
ファンの方は当然知っていると思うが、違う分野で活躍している意外な人物が描いた絵本を紹介。
まずは沖縄出身の歌手、Coccoの本。彼女の瑞々しい感性から生まれる色彩は、ため息が出る美しさだ。
- 著者
- Cocco
- 出版日
- 2002-09-27
- 著者
- Cocco
- 出版日
- 2004-08-10
もともとCoccoの唄が大好きだったが、この本を見てさらに彼女が好きになった。
Coccoのフィルターを通した沖縄は、きっとこんな風に輝いて見えるのだろう。彼女の唄う「ジュゴンの見える丘」をBGMに読むのがオススメ。
そして、最後はお笑い芸人のあの人が描いた絵本。
- 著者
- にしの あきひろ
- 出版日
- 著者
- にしの あきひろ
- 出版日
- 2012-11-09
- 著者
- にしの あきひろ
- 出版日
初めて彼の作品を見たときは驚愕した。え、これ、ホントに本人が描いたの!?と何度も巻末を確かめてしまった。なぜならば、あまりにも完成度が高い絵だったからだ。
繊細なタッチの線で描かれた芸術的な挿絵で、ストーリーもとても温かくて魅力的。絵本作家を本業としても十分にやっていけるのではと思ったほどだ。
旦那が子どもの頃に愛読していたからと、お義母さんから息子にプレゼントされたのがこちらの絵本。
- 著者
- ["エリック=カール", "もり ひさし"]
- 出版日
色の魔術師と言われるエリック・カールの色彩は、思わずうっとり見とれてしまう。物語りがわからない年頃の息子にも色の美しさは伝わるらしく、本を開くと目をキラキラさせながら眺めている。
そして最後は、私から息子に受け継いだ絵本。子どもの頃に本好きの伯母からプレゼントされたのを、いつか子どもに読ませようと大事にとっておいたのだ。
- 著者
- ["マリア・テルリコフスカ", "ボフダン・ブテンコ", "うちだ りさこ"]
- 出版日
まだ幼稚園に通う年頃だった当時の私は、日本にはない独特の青の色彩で描かれたこの絵本が一目見て気に入った。調べてみると、もう40年以上も前にポーランドで描かれた絵本だというから驚きだ。
およそ30年の時を経て、息子も同じ絵本を読んでいる。なんて素敵なことだろう。
世代から世代へと受け継がれていく美しい絵本たち。
昔の自分が大好きだった絵本を、あなたの大切な人にプレゼントしてみませんか?