「アイデアが出ない!」となる前に読む3冊

更新:2021.12.1

「アイデアを出せ!」と言われたときに、皆様はすぐにアイデアを出すことはできますか? 置かれている状況はそれぞれだとしても、アイデア出しを求められる機会は誰しもあるのではないかと思います。ただ、意外と必要なときに必要なアイデアは出てこないものですし、出たとしても割とすぐ枯渇してしまうもの。そのような状況、皆様も体験したことはありませんか? 今回は、効果的なアイデアを考え出すために参考となる書籍をご紹介します。

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アイデアはいかにして生み出されるか?

著者
ジェームス W.ヤング
出版日
1988-04-08

まずご紹介するのは、アイデアが肝となる仕事に携わる方々に昔から重宝され、読み継がれている書籍です。初版発売は1988年と少し古いですが、今でも色あせることのないアイデアづくりのエッセンスがギュッと詰まった良書として知られています。

アイデアは「既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と指摘する著者。アイデアをつくるためには公式があり、それを身につけてモノにしていくことが可能であるとしています。では、その公式とはどのようなものなのでしょうか? 著者はそれを5つのステップにまとめており、どれも必ず経なくてはならないといいます。以下に要約してご紹介します。

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【第一】資料を収集する
「特殊資料」と「一般的資料」の2種類の資料を集める。

【第二】資料を“咀嚼(そしゃく)”する
収集した情報を、パズルを組み合わせるように並べ替えたり組み合わせたりしながら新たな切り口などを探し求めていく。もしアイデアが思い浮かべばそれを次々に書き残す。やがて“行き詰まる”(これが大切)。

【第三】心の外に手放す
考え抜いたらいったん心から手放し、趣味など自分の想像力や感情を刺激するものに取り組む(思考を寝かせる期間)。

【第四】アイデアが生まれる
第一~第三のプロセスを経て、ふとアイデアが閃く。

【第五】アイデアを送り出し、フィードバックを得る
アイデアを現実の過酷な条件と“せちがらさ”に適合させるために、理解ある人々の批判を仰ぐ。
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この中でも著者が問題提起しているのが第一のプロセス。「特殊資料」とは、製品とそれを売りたいと想定する人がどのような人なのかに関わる資料、「一般的資料」とは教養など世の中に関わる情報全般のことです。つまり、アイデアを生み出すためには、日頃から様々な分野に好奇心をもち、情報を蓄積しておくことが必要ということです。

ただ、あまりにもこのプロセスがないがしろにされているのではないか、その結果、物事に対する理解が深まらずアイデアも表面的なものになってしまうのではないかと著者は指摘しています。

忙しいとどうしても情報収集が疎かになりがちなもの。ただ、せっかく生んだアイデアを成果につなげるためにも、しっかり取り組みたいですね。ただ集めれば良いというわけでも当然ないのですが。

その他のプロセスについても具体的にまとめられた本著。ご興味をお持ちの方はぜひ一度手に取ってみていただければと思います。

思考を整理して行動につなげるための情報整理とは?

著者
佐々木 直彦
出版日
2010-03-19

でも、やはり毎日が忙しい。限られた時間の中でどのようにして情報を蓄積していくか?

次にご紹介するのは、コンサルタントである著者が20年かけて生み出した「情報整理のための方法」をまとめた書籍です。本の帯に「誰にでも使えるメソッド」と書かれているように、紹介されている方法に目新しいものも特殊なものもありません。ただ、だからこそ日々の生活の中で取り組むことができる実践的なものになっているのだと思います。

著者は、情報整理には2種類あるとしています。「美しく機能的にストックする情報整理」と「思考を整理して行動につなげる情報整理」です。前者は情報整理の基本。情報をいかに取捨選択して“あとで”使いやすいように整理・蓄積するかを考えます(スクラップブックにまとめるなど)。一方、後者は問題解決や価値創造など“今”成果を出すための過程で都度必要な情報収集・整理を行います。どちらも大切ですが、限られた時間で相手を動かす価値あるアイデア・提案をするには、より後者が求められてくるといいます。

その際、著者が重視するのが「ホンモノの情報」を得ることです。情報には「フツウの情報」と「ホンモノの情報」の2つしかないと著者は考えています。前者はインターネットなどで誰でも入手することができる情報。後者は、その人の感情と思考のフィルターを通して整理された、その人独自の情報です。ただ事実だけを集めるのではなく、「その情報にどのような意味があるのか」「なぜそう考えるのか」といったその人ならではの感情と思考の裏付けがあってこその情報なのです。

そのために、著者は以下の三つのステップが大切であると指摘しています。

①(収集)現場から情報を取り、自分の感情(快・不快、疑問など)も重視して整理する。
②(思考)自分自身で考えて、情報の意味をより深く整理する。
③(伝達)強い伝達力をもった表現を創り出すために整理する。

基本的な流れは、収集→思考→伝達ですが、それぞれが完全に分かれているわけではありません。それぞれを行ったり来たりしますし、同時に行うこともあります。ひとつ前にご紹介した「アイデアのつくり方」でいうと、第2のステップまでにあたる内容ですね。

情報収集・整理というと、世に出回っている「フツウの情報」を集めて整理することのみを指すように思われますが、自分の「思考」「感情」も大切な情報。常に磨きをかけておきたいものです。

アイデアを考える「道具」を得る!

著者
加藤 昌治
出版日
2003-04-04

ところで皆様は、考えるための「道具」をお持ちでしょうか?

私たちは毎日仕事をしていく中で、必要なアイデア(問題を解決するためなど)を考え、企画し、実行に移すことで対価を得ていると言っても過言ではないでしょう。しかし、そうであるにも関わらず、あまりにも多くの人が考えるための「道具」をもっていないと著者は指摘しています。

人が高いパフォーマンスを発揮できるようにするために考えるための「道具」を充実させることの大切さを説いているのが著者。そのための道具が「考具(こうぐ)」です。

本著では、アイデアの素となる情報が入ってくるようにするための「考具」も複数紹介していますが、今回はその中でも取り組みやすい「カラーバス」という方法を一部抜粋してご紹介します。

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バスはBATH。色を浴びる、ということです。方法は簡単。朝、学校を出る前に「今日のラッキーカラー」を決めます。赤? 青? 黄色? 何色でも構いません。例えば「今日は赤だ!」と決めます。そしていつものように会社まで通勤してください。すると「今日は赤いクルマが多いなあ」……何だかよく分からないけど妙に赤いクルマが目につくんです。

(中略)

たぶん統計学的には赤いクルマの通行量はいつもと同じはずです。違っても数パーセントでしょう。ところが自分が「今日は赤」と意識しただけで、やたらと目につくんですね。不思議です。見えるから見る、へ。SEEからLOOKに変わるんです。

(中略)

赤色、それだけの共通項で括られると、自分の想像をはるかに超えたアイテムたちが集結することになるんです。

(中略)

この、一見関係なさそうなものたちが自然に集まってしまうことがカラーバスの不思議なところ。街をぶらつくだけで新鮮なアイテムがあなたの目の前に登場してくれます。
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アイデアを考えることに慣れていない場合、アイデアの素になる既存の要素を探す範囲が狭くなりがちと指摘する著者。広く情報をひろい、気が付きもしなかった要素を見つけ出して組み合わせる。カラーバスはその最初の一歩になり得ると、著者は考えています。

アイデアマン&ウーマンになれるかどうかは後天的なものだと考える著者。アイデア溢れる人になるためにも、できることから実践に取り入れていきたいですね。

他にも様々な「考具」が紹介されている本著。さらに詳しい内容についてご興味をお持ちの方はぜひ一度本著を手に取ってみてください。

今回の内容はいかがでしたしょうか? アイデアを考えるというと、何かヒット商品のようなすごいものを考えなくてはならないとお考えの方も多いかもしれませんが、それだけではないと思います。日々の業務改善のためのちょっとした工夫もアイデアですし、直面する問題を解決するために考えた施策などもアイデアだと言えるのではないでしょうか。仕事にせよ何にせよ、将来実現したいことがあって、それを実現するために直面する問題を解決しながら突き進むものだと思います。そういった意味では、誰でもアイデアを日々考えることが求められるのではないでしょうか。そのお役に、今回ご紹介した書籍が少しでも立てばと思います。自分も引き続き、精進していきます!

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