書店の本棚って巨大な目次みたい。魅力的タイトルの本5冊

書店の本棚って巨大な目次みたい。魅力的タイトルの本5冊

更新:2016.5.10 作成:2016.5.10

たくさんの本が並ぶ棚から次に読む一冊を選ぶ時、もっぱら題名に惹かれ手に取ることが多い私です。好きな作家さんの本などは片っ端から読んでみるということもあるのですが、その作家さんを好きになるきっかけも題名から入ることがほとんどなのです。たくさんのタイトルが並ぶ本屋さんの本棚は、まるで巨大な目次を眺めている様でわくわくします。ほんの一行から無限の物語が見え隠れしている、魅力的タイトルの本はあまり期待から外れることも少ないのです、嬉しいことに。 今回は、魅力的タイトルの本を5冊ご紹介いたします!

ハッカドロップスプロフィール画像
ミュージシャン
ハッカドロップス
愛知県春日井市出身 。大学に進学したものの、在学中に音楽の道を目指し、上京。音楽系の会社でデスクとしてアルバイトをしながら、楽曲制作などを手伝う日々を送る。そんな中、制作現場でプロデューサー・多保孝一氏と出会い、意気投合。ソロプロジェクト、ハッカドロップスがスタート。YAMAHA SG7 を肩にかけ、懐かしさと新鮮さの共存するサウンドで平成の世にハッカ飴を投じるべく活動中 。2016年4月、シングル「衝撃リバイバル」にてメジャーデビューを果たした。 http://www.hakkadrops.net/
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

ピエドラ川のほとりで私は泣いた

著者
パウロ コエーリョ
出版日
ピエドラ川のほとりでピラールがこの物語を書いている。こども時代を共にした“彼”と再会してからの、二人の物語がはじまる。

本の中でしきりに繰り返される神の女性性についてのお話は興味深く、そして他者を介さない自分の心に正直に動くこと、二人のやりとりを通じてそんな純粋な自己の意識を改めて思い出させられます。

本の装丁にある、一言に青とも言えない綺麗な色をピエドラ川はしているのだろうか。その川のほとりで泣いている人はきっと髪の長い女の人で、地味で美しい顔をしているのだろう……そんなことを次々と想像させてしまう、不思議な空気感のタイトルに惹かれて手に取った一冊です。

限りなく透明に近いブルー

著者
村上 龍
出版日
2009-04-15
米軍基地に近い街でのドラッグや暴力や性が描かれている一冊。何も汚くなくて、何も悪ではない。文章に表される光景に、嫌悪感を持つのであればそれは読者が自由に持つ感情であり、本が示して押し付けるものではない。そのことに私はとても安心した気持ちで読むことができました。そして、意外にそんな態度を取っているものって多くはないように思う。

まったく村上龍さんの本を読んだことがなかった時に、ただタイトルの“限りなく透明に近いブルー”という一文に惹かれて読んだのですが、それからすっかり好きになってしまいました。若者の、純粋で憂いを含む魂の色を想い浮かばされる『限りなく透明に近いブルー』。村上龍さんのデビュー作です。

村のロメオとユリア

著者
ケラー
出版日
村の農夫マンツの息子サリーと、マルチの娘ヴァヘーレンは、互いに惹かれあってゆくが、両家は田畑の境界を巡り憎み合う。

幼馴染みであるサリーとヴァヘーレンが一緒に遊ぶ場面、人形の解剖と破壊から、ハエを捕まえて人形の頭に閉じ込めて生き埋めにしたり、という子供たちの心に垣間見える人間の残虐性が、描かれていたり、描写が現実的だと思いました。そして現実ってそのままのトーンで書かれると過剰に残酷に映ったりもするのだなぁと。

ちなみに本を買った時には、ロメオとユリアって名前から、なんだかファンタジーなお話を想像していて気付かなかったのですが、ロメオとユリアは英語読みにするとロミオとジュリエットだそうで。憎み合う親同士を持つサリーとヴァヘーレンの恋は、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」も彷彿とさせます。

ことばの食卓

著者
武田 百合子
出版日
本の目次。

P.7 枇杷
P.13 牛乳
P.23 続牛乳
P.33 キャラメル
P.45 お弁当

7ページから13ページの間に枇杷(ビワ)についての話があって、13ページから23ページまでに牛乳の話がある!

と、なんともワクワクしてしまうこの目次。「ことば」と「食卓」という普段結び付かないような2つの名詞がこうして並ぶだけで、そこからは何だかいい匂いが漂ってくる。食べ物にまつわるエピソードを語る、エッセイ集。

「こういう味のものが、丁度いま食べたかったんだ。それが何だかわからなくて、うろうろと落ちつかなかった。枇杷だったんだなあ」という台詞がいかしてる。便利に済ませてしまった味気ない食事の時には、一緒にこの本を読めばいいんじゃないかと思う。心の充足を得られそう。

脂肪

著者
["中島 唱子", "荒木 経惟"]
出版日
何か重苦しい響きを感じる“脂肪”ということば。女優、中島唱子さんのエッセイ。脂肪というタイトルが気になり、本を開くとこの惹かれる一文。“コンプレックスが、その毒素で自分を腐らせるのか、逆にエネルギーに変わっていくのかは、こちらの矛先次第で大きくちがったものになるのだ”(本文より)

体の脂肪を削ぎ落としていくのと同時に、書くことで内面の毒素を排出してゆく。そしてエッセイが進むに伴って外見も変わっていく作者の姿が、アラーキーこと荒木経惟さんが撮る素敵な写真で、記録されていきます。


要らないもの、無駄なものを削ぎ落としていくことはとても大切です。人生は積み下ろし作業。自分自身そう思っているからこそ、このタイトルに惹かれたのだと思うのです。読んでみてください、“脂肪”。