そこで今回は、ミステリー用語の一つ「クローズド・サークル」に焦点を当ててご紹介!! うっふふー!
クローズド・サークルとは、閉鎖された空間で起きる事件のこと。脱出不能である“吹雪の山荘”や“絶海の孤島”など、外界との接触が断たれた状況、あるいはそうした状況下で起こる事件のことを意味しています。
そんなクローズド・サークルの魅力は、なんといっても逃げ出せない恐怖!! 閉ざされた舞台の中、誰が犯人かもわからないまま共に過ごす緊張感。一体どうやって殺人を犯したのか、この中の誰が犯人なのかと疑心暗鬼にかられ、徐々に崩壊していく人間の心理がたまらないんす!! ハァハァ! スリル満点のドキドキを味わいたい人には打ってつけ !!
ってことで、早速ご紹介スタート!
仮面山荘殺人事件
まずは読みやすいコチラから!! 東野圭吾さんの長編ミステリー。8名の男女が集まった山荘で、思わぬ事件が勃発!という物語。一見クローズド・サークルにありがちな設定だなぁという印象を受けますが、他の作品とは一線を画する展開が待ち受けています。
今作の面白いところは、山荘から逃げられなくなってしまった理由。他の作品でよく見かける例としては「やべっ!! 橋が落ちた!!」とか「あかん!! 吹雪がヤバい!!」などが挙げられます。それに対し、今作は「なんてこった!! 銀行強盗犯が入りこみやがった!!」ってのが理由です。
そう。平和なはずの山荘に、銀行強盗を働いた二人組が逃げ込んできたのです。なんと運の悪いことでしょう。犯人たちと鉢合わせてしまった一同は、もちろん逃げ出すことは許されず。口封じのため、数日間の外出禁止を強要されます。犯人たちに監視されながら時間が経つのを待っていると、ついに恐れていた事件が発生。一人の遺体が発見されます。
その場にいた誰もが「強盗犯が殺人まで犯しやがった!!」と疑ったのですが、冷静に考えてみると彼らにはアリバイが。「じゃ一体誰が殺したのよ!?」ってところから物語がどんどん面白くなっていきます。
一同は、もはや強盗犯そっちのけで犯人探しをスタート。しまいには強盗犯たちも犯人探しに協力する始末。そして待ち受ける驚きの真実とは……。あとはぜひ皆さんの目でお楽しみくださいまし!!
ちなみに文庫版には、叙述トリックの名手・折原一さんの解説が掲載されています。これがまた非常に面白い!! 作家視点の興味深い内容が書かれており、まさに目からうろこ状態。やはり小説家って大変なお仕事ですわね。うむ。
クリムゾンの迷宮
ヤバい! これはマジで面白い!! クローズド・サークルの新たな道を切り開いたともいえる傑作!! 土地でのサバイバルゲームを描いた今作は、まるでゲームの中にいるかのような世界観。サスペンス色がかなり強く、迫りくる恐怖を味わいたい人には打ってつけ。今回、私が最もおすすめしたい作品でもあります。
今作の舞台は、見渡す限りの荒野。「それってクローズド・サークルに含まれるの!?」って疑いたくなりますが、実はちゃんとした理由があるのです。一つは、その土地の広さ。あまりに広大すぎるんです。逃げようとしても、疲れ果てて死ぬのがオチ。自殺行為のようなものです。そして二つ目に……っと全部説明したくなっちゃいますが、ぜひ予備知識なしで楽しんで頂きたいので我慢我慢。もぞもぞ。
一言じゃ説明しきれないくらい見どころ盛り沢山の今作。特に、追い込まれた人間の心理描写なんかたまりませんよ!! サスペンス好きの人にゃヨダレもん。自信をもっておすすめできる、べらぼうに面白い一冊でございます!!