脳の活性化に役立つ本おすすめ5選

更新:2021.12.21

優れた暗記法、脳を効率よく鍛える方法を知っていると、脳の活性化につながります。ここでは、専門家による脳を活発にする方法を習慣、理論、実跡面から紹介。脳の鍛え方を学び、脳の活性化を目指しましょう。

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1時間が4時間になる時間術

多くの人は、時間とは使うものだと考えています。しかし、著者は、時間を創り出すものである、と指摘。この本では、日々の生活の中に時間を創り出し、作業効率のアップを目指します。では、どのようにすれば、時間を創り出すことが出来るのでしょうか。そのような点に焦点をあてたのが、この本『神・時間術』です。

著者
樺沢 紫苑
出版日
2017-04-13

例えば、仕事が終わってから2時間勉強しようとすると、仕事の疲れが残っているので、集中力が続きません。では、夜の勉強を、朝の2時間のあいだにするとどうでしょうか。

脳は、朝起きてから2、3時間は疲れておらず、パフォーマンスが良い状態です。著者の経験では、夜に論文を書く時と比べて、朝すぐに書く方がスピードは2倍速く、品質も2倍近く高くなると指摘。つまり、朝の1時間は夜の1時間の4倍の価値がある、と説明します。このように、朝は頭も冴えており、夜の4倍に値する作業をする事ができ、1時間という時間から、4時間という時間を創り出すことが出来ます。

これが、脳が活性化した状態を利用して時間を創出するという著者の時間術です。著者の考えを広げて考えると、脳のパフォーマンスをいかに高い状態にするか、という事が大切であることが分かります。では、脳を活性化させた状態を維持し、疲れた脳を回復させるには、どうすればいいのでしょうか。

ここで、著者は、疲れた脳を活性化するには、仮眠も大切な要素であると指摘。NASAの研究によると、26分の仮眠によって、仕事効率が34%アップ、注意力が54%アップするという研究結果が出ています。厚生労働省による2014年度の資料にも、午後に30分以内の昼寝をすることが、作業能率の改善に効果がある、と記されています。

このように、著者はデータを例示して、仮眠は仕事時間を創り出す上で、有効な方法であることを説明する反面、寝だめは効果がない、と指摘。これは、仮眠をすることで、脳の活性化状態を60%から80%に上げることは出来ますが、寝だめで100%を120%にすることは出来ないからです。このように、医学的には、寝だめは意味がないことが証明されています。

このように、脳を活性化した状態で作業すれば、疲れているときと比べて、同じ作業の効率が何倍にもなる、というのが著者の考えです。ここで紹介したのは、あくまで概略ですが、本書を読めば、詳しいところまで説明されているので、興味のある人はぜひ読んでみてください。

脳の活性化を習慣から読み解く

テストで良い点が取れないようなときは、頭がよくなりたいと思いますよね。そのような人のために、普段の生活でも実跡出来る頭をよくする習慣を紹介するのが、この本『脳が冴える15の習慣』。優れた思考力を手に入れて、出来る人になりましょう。

著者
築山 節
出版日

ここで紹介されている習慣のひとつを挙げると、著者は、日々の雑事も何となくこなすよりは、考えながらこなすと、思考力を鍛えることが出来ると言います。

例えば、家事をするときでも、まず蒲団を干してから部屋の掃除をしないと、蒲団にほこりが付いてしまいますよね。このように考えると、掃除機をかけるのは蒲団を干した後が良い事が分かります。また、観葉植物への水やりと手入れですが、これは朝のうちに水をあげる事がセオリー。しかし、掃除機を使う前に植物の手入れをすると、掃除機をかけた後は、ほこりが舞いやすいので、植物の葉にほこりやちりがついてしまい、葉を拭く作業が二度手間になってしまいます。

このように考えると、ここで例示した家事をする順番としては、蒲団干し、掃除がけ、植物の手入れ、という順番が最も効率がよい方法ということになります。

なにもここで挙げた手順で家事をしなければならないというわけではないのですか、頭の運動をかねて、自分なりに効果的な家事の方法を見つけ、こうすればどうだろうか、これは効率が良いのではないか、と楽しんでやると良いのではないでしょうか。著者は、このような例として、料理を例示して段取りを組む事の大切さを指摘しています。確かに、料理をきちんと効率よくやろうとすると、けっこう頭を使いますよね。

どうせ家事をこなさなければいけないなら、頭のトレーニングも兼ねて行えると便利。その日の家事に合わせて、様々な組み合わせを考え、思考力のトレーニングに励みましょう。

有効な記憶法をメカニズムから解析

記憶力を強くする方法を、実際の理論に基づいて解明していこうというのが、この本『記憶力を強くする』。著者は、東京大学の薬学部を卒業後、同大学で助手をしており、学会の評議委員も務めていますので、内容に説得力があります。

著者
池谷 裕二
出版日
2001-01-19

まず、おさえておきたいのが、歳をとって物覚えが悪くなった、という現象。記憶を司る神経細胞は増殖する能力がありませんから、歳をとると共に減っていってしまいます。しかし、著者の説明するように、神経細胞間をつなぐ構造であるシナプスの数は、年齢と共にむしろ増加していき、これは、脳の働きが衰えていくのではないことを示している点がポイントです。

このように、人の脳とは、年齢と共に衰える部分もありますが、逆に発達する部分もあります。著者は、記憶力についても、年齢と共に衰えるとは言えないと説明しています。

この他にも、著者は、脳を活性化させるには、愛情が大切である、と説きます。実際に、親に愛情をかけて育てられたネズミは、脳の海馬が発達し、記憶力のよいネズミに育つそうです。これは、人間の子供にも当てはめることが出来るため、子育てをするときは、叱ることも大切ですが、愛情をもって育てていきたいですね。

また、一人で孤独に過ごすよりも、社会に出て積極的に人と交わった方が、神経細胞がより活発化するという点もポイント。このように考えたとき、書を捨てよ町に出よう、という言葉は、人付き合いをして、そこから色々な事を学ぶという点でも、脳を活性化させるという意味においても、有効な方法であると言えるのではないでしょうか。

記憶力が優れていると、色々な事を思い出せて楽しいですよね。脳を活性化させるのに、年齢は関係がない、というのも嬉しいところ。家族と一緒にいる時間を増やし、色々な人と接触する機会を増やすだけで、脳は活性化していきます。このような方法を取り入れて多くの人と関わり、楽しい人生を送りましょう。

記憶力日本一の著者の記憶法とは

40代で記憶力を鍛えだし、記憶力日本一になった著者が、記憶法の極意を伝授してくれるのが、この本『脳にまかせる勉強法』です。様々な方法を紹介しているので、自分に合った方法で、記憶力の向上を目指せます。

著者
池田 義博
出版日
2017-03-10

著者は本書の中で、効率よく記憶するには、意志、感情(楽しみ)、回数、が大切である、と説明。しかし、暗記は意志に反して行わなければならなかったり、いつも楽しいというわけにはいきません。そこで、記憶の定着率として一番大切なのが、覚える回数。

また、一度覚えた記憶は、覚えてから20分で42%、1時間で56%、翌日には74%が失われていく、というデータがあります。このような事を考えたとき、記憶では、回数=定着率が大切な要素であり、繰り返し覚えることで、忘れた記憶を再び記憶していくことが、重要であることが分かります。

著者は、この点をおさえつつ、記憶の定着率を上げる繰り返し暗記法について、詳しく説明。このとき、理解度は別にしてとにかく一通りの事を覚え、次のサイクルに入っていく事が大切である、といいます。

著者は、これをペンキ塗りにたとえて説明。ペンキ塗りは一回ではきれいに塗ることができず、何回も塗ることで、まんべんなく塗ることができます。つまり何回も覚える事で記憶が定着するので、塗った(覚えた)回数が大切だ、と指摘。

本書の中では、この記憶法を細かく説明しているのですが、大まかにいうと次のような方法になります。

一回ひとつのページを読んで記憶したら、そこをもう一度読みます。そして、一度次のページに行ってから、もう一回前のページに戻って3回目の記憶を行うという方法。これが、著者の提起する記憶術です。それ以降は、次のページに行って、また戻るというジグザグ読みを繰り返して進んでいき、合計で同じページを3回読む、という方法で読んでいきます。

著者は、このとき、覚えた部分の理解度は二の次にして、とにかく進んでいく事が大切だ、と説明します。脳には、繰り返し覚える事で、理解度と関係なく記憶していくことが出来る、という特徴があります。そして、記憶した所を1分間で書き出し、記憶の定着率を確かめ、どこが駄目だったか、どこを覚えられたか確認していく、というのが、本書で著者のおすすめする記憶法です。

その効果は、実際に記憶力日本一になった著者が実証していますから折り紙付き。まずはこの方法に慣れることが、脳を活性化し、記憶力を向上させる上でのポイントであるといえるでしょう。

しかし、これはあくまで記憶法なので、物事を考える思考力を鍛える勉強には不向きであるかもしれません。パズルの解き方を解法だけ見て解くと暗記力が鍛えられますが、自分で工夫して解くと、思考力が鍛えられます。問題毎に自分で工夫しながら、頭の活性化を行っていく事が大切な場合もある、と覚えておきましょう。

この他にも、著者による有効な記憶法の数々が紹介されており、単語、数字、人名などをすぐに覚える方法が紹介されていますので、気になった人はぜひ本書を読んでみてください。

一癖ある問題で、考える力を養う

頭をひねらないと分からないような問題が100問収録されたパズル集『頭の体操 BEST』。著者は、東京大学で心理学を学んだ専門家で、回答を聞けば、なるほどな、と納得してしまう問題が多数収録されています。

著者
多湖 輝
出版日
2009-08-20

脳を活性化させるには方法論も大切ですが、実際にそれを活性化する習慣を取り入れたり、頭を使わないと鍛えられません。この本には、頭の体操になり、思考力を鍛えられる問題が多数収録されているので、脳の活性化にいいのではないでしょうか。

では、どのような問題が収録されているかというと、例えば、次のような問題。頭の体操になるので、少し考えてみてください。

「昭和初期の列車のボックス。ふたりの気どった婦人がむかいあっている。知り合いらしいのだが、話もしない。やがて列車はトンネルに入った。出たあとは風向きのせいか、ひとりの顔はススでまっ黒だが、もうひとりの顔はぜんぜん汚れていない。ところが、顔を洗いに行ったのは汚れていない女性。ススで汚れたほうは、まっ黒のまま知らん顔である。ふたりのふしぎな行動の理由を説明してほしい。」
(『頭の体操 BEST』から引用)

列車内の状況を冷静に思い浮かべてみれば答えにたどり着くことができるのではないでしょうか。顔がススで汚れた婦人の真向かいに顔が汚れていない婦人がいて、ふたりは会話をしていません。そして、人は、自分の顔を見るには、鏡などを使わないと見られない、という点がポイント。

すると、答えの糸口が見えてきます。つまり、真向かいの、顔がススで汚れている女性を見た人が、自分の顔もそうなっているのではないか、と思って顔を洗いに行きます。しかし、顔が汚れていない相手を見た顔が汚れている女性は、自分も汚れていない、と考え、顔を洗わなかった、というのが正解。

言われてみれば、なるほどな、と思いますが、自分で考えてみると、なかなか思いつかず難しいですよね。本書には、このような問題が、100問収められているので、脳の活性化トレーニングに励みたい人は、ぜひ手に取ってみてください。

このように、脳の活性化には、様々な方法があり、歳をとってからでも鍛えられるんですね。活性化を理論、習慣、実践など色々な側面から学び、脳を鍛えていきましょう。

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