ベンチャーキャピタルとは、これから成長すると思われる未上場企業に、ハイリスクの投資を積極的に行う投資会社を意味しています。興味がある人、参入したい人、すでに参入している人に役立つ、おすすめの本を紹介いたします。
今後成長すると思われるベンチャー企業に投資を行う投資会社を指します。ベンチャーキャピタルによる投資は2つのタイプがあります。一つは自己資金を投資する場合です。もう一つは、投資家や金融機関から資金を集めて投資ファンドを設立し、ベンチャーキャピタルが、投資ファンドのファンドマネージャーになって投資を行う場合があります。
ベンチャーキャピタルは、投資先企業の新規株式公開(IPO)によるキャピタルゲインや、他社への転売を、収益源としています。しかしそういった投資を行うだけでなく、投資対象に戦略指示を出したり、経営コンサルタントとなったり、精神的なメンターの役割をしたり、その活躍の場は実に幅広いものがあります。
日本はアメリカに比べれば、ベンチャー企業が育たないと言われる傾向があります。これはアメリカの方が、ハンズオン型、つまりベンチャーキャピタルが投資先企業が成功するために経営に深く関わる体制が根付いているためだとも言われています。
ベンチャーキャピタルにとって非常に重要な問題である資金調達から、投資先との関係づくりに関するまで、起業家、投資家、ファンド会社、そして広くビジネスパーソンに役に立つ5冊をご紹介いたします。
「どうやって資金を集めるのか」というのは起業する者にとって大きな問題です。
この本は、ベンチャー企業へ投資を行ってきた嶋内秀之とベンチャー企業から投資を受けてきた伊藤一彦、二人の著者による実際的な視点を軸にした資金調達方法を解説しています。
これから起業する方、起業したけれど資金集めに奮闘しておられる方、ベンチャー投資に関わりたい方、資金調達のポイントを知りたい方におすすめの本です。
- 著者
- ["嶋内秀之", "伊藤一彦"]
- 出版日
- 2012-06-09
どんなにすぐれたアイデアがあっても、お金がなければ企業は始動できません。ベンチャー企業はどうしたら投資家から資金を集められるのかという答えを探している方に読んでほしい一冊です。
著者の一人である嶋内秀之は1973年生まれ、オリックス株式会社を経てベンチャーキャピタリストとして活動を続けてきました。
一方、伊藤一彦は1974年生まれ、NEC株式会社を経てベンチャー企業を設立し、ベンチャー企業の理論的経営を展開してきました。
投資家は、ベンチャー企業のどこを見て投資するか否かを判断しているのか、起業家は投資家とどのように関わっていけばよいのかなど、二人の著者が自らの経験を通して具体的な手法を語っています。
日本を代表するキャピタリストとも言われる長谷川博和は、ベンチャーキャピタリストとして投資ファンドを運営し、これまでに高いパフォーマンスを達成してきました。
この本では、長谷川が経験と知識と研究をもとに、ベンチャーキャピタルについて基本から実践まで深く指南し、実務の現場での合理的なプロセスを解説しています。
日本ベンチャー学会第1回清成忠男賞受賞、大変読み応えがあります。
- 著者
- 長谷川 博和
- 出版日
- 2007-06-01
この本は、ベンチャーキャピタルについて、もう一歩深く知ってみたい、さらに知識や情報を得たいと考える方に、ぜひ手にとっていただきたいです。
第3版となり、ベンチャー投資における新しいスタイルである「シードアクセラレーター」と「ベンチャーキャピタルからの株式買戻し」についても説明されています。
日本でのベンチャーキャピタルの資金調達について、前半は、出資する側のベンチャーキャピタリストとからの意見が、後半は、出資を得たいベンチャー企業社長からの意見が、どちらも実体験をもとに示されています。
多くの成功例を積み重ねてきた長谷川博和ならではの理論は、ベンチャーキャピタルに関わる方にとって信頼できる貴重な情報になり、新たな何かを見つけるきっかけになるのでは。
ベンチャー・キャピタリストになりたい人、日本のベンチャー・キャピタルを知りたい人、これから起業家を目指す人にとって入門書といえるでしょう。
日本のベンチャー・キャピタルについて、投資方法や、環境、外国と日本の違いなどが書かれていますが、コンパクトにまとめられていますので手引書としても使えます。
日本のベンチャー業界の批判ではなく、現実を冷静に解説しているので、業界を知りたい人にもおすすめします。
- 著者
- 神座 保彦
- 出版日
- 2005-10-07
日本のベンチャー・キャピタルをテーマにした類書は何冊も出版されていますが、この本は、日本のベンチャー・キャピタルの実際について、統計資料を使いながら理論と現実がバランスよく客観的に述べられています。
このため、ベンチャー・キャピタルの教科書として利用できます。現場からの赤裸々な報告というスタイルではありませんが、ベンチャー・キャピタルの概説を知ってみたい人にはぴったりの内容です。
包括的にベンチャー・キャピタルをつかんでみたい人、研究者、これから起業したい人にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
この本にはアメリカのベンチャーキャピタル業界を代表する35人のインタビューがまとめられています。
例えば、アップル、ヤフーを育てあげたドン・バレンタイン、アメリカ屈指のベンチャーキャピタルを設立したユージーン・クライナーなど、日本でも著名なキャピタリストも入っています。
シリコンバレーのみならず全米のさまざまな地域のベンチャー投資に関わる35人の本音が、それぞれの人生とともに語られています。
- 著者
- ウダヤン グプタ
- 出版日
全体で569ページあり厚い本に入ると思いますが、この一冊を読めばアメリカのベンチャーキャピタル業界の変遷を理解できるのではないでしょうか。
マイクロソフト、ヒューレッドパッカード、アップル、ヤフー……、いずれも最初はベンチャー企業としてスタートし手巨大企業に発展しました。
色々な職業の人がキャピタリストになっていく過程や、何を考えながら投資をしていたのかなど、ベンチャー企業との軌跡を読み解くことができるとともに、こういった視点の本が、日本にはなかなか無いことも、魅力の一つです。
日本とアメリカでは社会基盤や企業文化は異なるのですが、企業の育成という視点で考えみたいという人に、体験から発せられた言葉は、きっと指針になるでしょう。
広くビジネスに興味がある人にはぜひ読んでほしい、そんな本です。
この本の著者は、アメリカの一流女性ベンチャー・キャピタリスト、ルーサン・クィンドレン氏です。
ベンチャー・キャピタリストは、数多くの起業家のアイデアのなかから、プロとしての選択眼を用いて投資対象を決定し、その後も起業家に戦略指示を行う、精神的なアドバイザーになるなど、対象価値を高めるために、実に幅広い活躍をしています。
本物のキャピタリストがリアルな視線で現実をとらえた一冊です。
- 著者
- ルーサン クィンドレン
- 出版日
マイクロソフト社など多くのベンチャー企業にかかわり、一流のベンチャー・キャピタリストとして活躍してきた著者が、成功例だけでなく、失敗例もあげながら、厳しいビジネスの現場での事例をもとにその分析を行っています。
この本を読めば、アメリカのベンチャー業界の厳しさを実感できるとともに、アイデアをビジネスに結びつける、ダイナミックなメカニズムを知ることもできます。
未来はどうなるのか、ベンチャー・キャピタリストには、真に利益を生み出す企業になれるのかを見抜く力が必要です。
「ハンズオン型(経営参加型)の投資家がいないから日本ではベンチャー企業が育たない」という意見があるようですが、企業の育成を考える人にとって、きっと参考になるおすすめの一冊です。
ベンチャーキャピタルと言っても、さまざまな立場の人が関わっています。入門書から実践編まで、リアルストーリーを読み解いて、あなたのチャンスに生かしていただければと思います。