沢村貞子のおすすめ文庫本5選!『献立日記』などのエッセイをご紹介!

更新:2017.7.4

女優の沢村貞子は、東京の下町、浅草生まれ。義理と人情が溢れる文章で、食事や日常のことなどをエッセイに綴っています。

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女優でエッセイストの沢村貞子

沢村貞子は、1908年、東京の下町浅草で父は狂言作者、兄弟も役者という芸能一家に生まれます。

映画を中心に様々な作品で名脇役として活躍する傍ら、エッセイストとして多くの作品を発表しました。沢村貞子のエッセイは、毎日を丁寧に過ごすという、忘れかけてしまいそうなことを私たちに語り掛けてくれます。

女優として忙しく活躍しながらも、大切に日々を生きる姿は、凛として美しいです。

大切なことを教えてくれる

沢村貞子の生活は、豪奢というよりは質実剛健という言葉がしっくりきます。女優業を続けながらも、四季折々の行事を大切にしている姿は清々しいです。

本書のなかの「あなたへの贈りもの」「ひなたの雑草」を読むと、人を思いやる古き良き日本人の考え方を思い出させてくれます。

著者
沢村 貞子
出版日
2006-06-13

鰹節を削る家庭が、いまの日本にどれだけあるでしょうか?私たちは「便利なもの」「楽なもの」をつい求めてしまいますよね。

沢村貞子が心を込めて家事をしている様子を見ると、台所仕事もこんなに美しいものなのか、と感心してしまうでしょう。と同時に、いまは「便利さ」「快適さ」を選ぶからこそ、丁寧に暮らすこと自体が難しくなっているのではないかと考えてしまいます。

また、身なりをいつもきれいに整えて女であることを忘れないようにする、人に不快な思いをさせないよう包装紙に気を遣う、などの心構えにもハッとさせられるでしょう。いくつになっても忘れたくない教示です。

忙しい女優が心を込めて手をかけた日常の食事

『わたしの献立日記』は、沢村貞子がいかに日々の食生活を大切にしているのかが良く分かる一冊。特別ではないけれど、手間がかかっているお料理がずらっと何年分も記されていて、あいまに挟まれているエピソードも微笑ましいです。

数々のおかずは、シンプルながらも旬のものが使われていて、読むとお腹がすくことうけあいです。

著者
沢村 貞子
出版日
2012-09-21

忙しい女優業をしながら、日々こんなに手間をかけて食事を用意していたのか、という事実に驚きです。沢村貞子が、愛する人と暮らす日常をいかに大切にしていたかが伝わってきます。

食事で家族の健康を支えるんだ、という彼女の心意気もよくわかり、家族への愛情がこの一冊から溢れ出しているようです。実際、夫は84歳、沢村自身も87歳まで生きたので、『わたしの献立日記』には長生きの秘訣が隠されているかもしれません。

どれだけ寄り添える夫婦はこの平成にいるのか?

仲良く暮らすコツは、「一緒にいたいと思うこと」。

シンプルな一言が胸にささります。

著者
沢村 貞子
出版日

夫婦が、最後までお互いを思いやりながら人生を遂げることは、どれだけ難しいことでしょうか。本書は沢村貞子の最晩年の作品です。

お互いを思いやり、慈しみあうという、とてもシンプルなことが大事なんだと書かれています。家人を大事にして、立てて、けれども人には媚びず、堂々と自分の道を進む沢村貞子の生き方は、読者に優しく喝を入れてくれるでしょう。読んだ後は、きっとパートナーに優しく接することができますよ。

また最後に記してある「夫からのあとがき」は、涙なくしては読めません。それに加えて、自らが亡くなった後の終活も記してあります。丸ごと人生の教科書のような一冊です。

浅草の人情は粋だ!

お人好しなのか、おせっかいなのか……義理と人情でお互いが支えあって生活していた様子が生き生きと描かれています。

戦前の東京下町、浅草の文化が良くわかる一冊です。

著者
沢村 貞子
出版日

男女の関係は、いまの時代では考えられないほどの男尊女卑っぷりですが、それも沢村が描くと古き良き時代と思えるのが不思議。この浅草で育ったことが、後の沢村の礎になっていることは間違いありません。

また読み進めていけばいくほど、浅草での暮らしはこんなに義理と人情のかたまりなのかと、と驚いてしまいます。子供たちとの会話やお祭りの様子など、当時の気風がよくわかるのです。

きっと読んでいるうちに、下町っ子たちの喧騒が聞こえてくると思いますよ。

日々の暮らしが教えてくれる心のゆとり

『わたしの茶の間』が最初に刊行されたのは1982年ですが、いま読んでも内容は少しも色あせていません。むしろ本来人間はこうあるべきではないのかと、反省してしまうほど。

手間を惜しまず、日々の暮らしを大切にするということは、今も昔もかわらずに大切なことなんですよね。

著者
沢村 貞子
出版日

本書には、幼いころへの回想と追いへの心構え、そして夫への愛が描かれています。そのなかで、沢村貞子にとって、母親という存在が大きな心の支えであったことがわかります。昭和という時代柄、父親は亭主関白でしたが、母親も沢村も、文句を言わずに父親に仕えていました。

彼女の物事の考え方は、シャキシャキしていて気風がよく、読んだあとはこちらもピンと背筋がのびるよう心地になります。また下町ならではの軽快な江戸っ子口調がふんだんに盛り込まれていて、いきいきとした下町の息吹を感じることができるでしょう。

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