何気なく過ごす毎日に少し変化を与えてくれそうな平松洋子のエッセイ本を紹介。家で使う道具をはじめ、料理のしかたなど生活のヒントになりそうな内容が旅行記などと一緒に書かれています。目から鱗の情報も見つかるかもしれませんよ。
平松洋子は、1958年生まれのエッセイスト。東京女子大学を卒業した平松は世界各地に出かけ、その土地で暮らす人々の生活や食文化を取材し、それを元に執筆活動をしています。
彼女の手がける本は、小さい頃の生活やお母さんに作ってもらった料理が背景となっているように感じられるでしょう。所々昭和の様子が目に浮かびそうな回想もあり、この時代に生まれた人にとっては懐かしさも感じる場面も。
これから紹介する本は、いつも使っている道具や料理の作り方について見なおすきっかけを作ってくれるかもしれません。また知っておくと便利な手軽なレシピ集、手土産を迷った時におすすめの本も選んでいます。どの本も短編仕立てになっていますので、好きなところから、またちょっとの空き時間で読むこともできますよ。
台所家電の中でもとても活躍していて便利な電子レンジを捨ててしまう。家族からは「ごはんやおかずのあたためはどうするの。」と反対の声が上がりますが、その代わりに昔ながらのせいろなどを使い見事にクリア。
このほかにも古き良き道具を愛情たっぷりのエッセイとともに綴った『平松洋子の台所』には暮らしのヒントがたくさん紹介されています。高いものばかりでなく、身近なもので真似できそうなアイデアや思わず「そう来たか」と言ってしまいそうなアイデアが盛りだくさん。
- 著者
- 平松 洋子
- 出版日
- 2008-04-25
さらにこの本では、平松洋子が海外に出かけた時に出会ったその国らしさを感じるスプーンなども紹介。ちゃっかり持って帰って自分用にしているあたりが彼女らしさですが、なかなか一般の方はできることではないので羨ましく思うところもあります。
そんな他にも古道具屋で見つけたアンティークのお皿、灯火器なども紹介されているくだりを読むと「普段寄らないけれど、ぶらっと古道具屋を覗いてみようかな」というきっかけになるかもしれません。それぞれの道具につけられた見出しのセンスもよく、数ページの短編で綴られていますので興味のある所から読んでも面白い本です。
家族も寝静まった夜中にコトコト台所でジャムを煮るひと時、あなたならそんな場面で、どんなことを考えるでしょう。もしかしたら平松洋子自身が夜中に台所でジャムを煮ながらとりとめもないことを考えたことをまとめたのでは?と感じるエッセイ本『夜中にジャムを煮る』。
本のタイトルは、手元にたくさんある果物を美味しいうちに食べてしまいたいということでジャムにする過程をタイトルにしたもの。この他にも平松洋子の目の付け所や頭の回転の速さ、行動力に舌を巻くエッセイが盛りだくさんとなった1冊です。
- 著者
- 平松 洋子
- 出版日
- 2011-11-28
普段何気なくしていることについて「これで合っているのか」、「もっとおいしく作る方法はないのか」と思うことはありませんか。この本ではジャムのお話にとどまらず、ごはんの炊き方、だしの取り方などについても書かれています。料理についてふと疑問に思っていたことについて、解決のヒントが見つかりそうなショートストーリーが魅力的です。
また本の中で所々に出てくる料理は、巻末にレシピも紹介されています。手軽に作れそうな料理もたくさん掲載されているので、ぜひ真似して作ってみてはいかがでしょう。もちろんコトコトとジャムを煮ながら読むのもおすすめですよ。
忙しくてごはんを作ることがままならない日でもお腹は空きます。もちろん何もしない日でもお腹は空くのですが、これは体が健康な証拠。しかし料理を作る気持ちがついていかないこともあるでしょう。
『忙しい日でも、おなかは空く。』では、そんな日にぴったりの手軽に作れるシンプルな料理を中心に紹介されています。シンプルと言っても手抜きではなく素材の味を生かして作られているので、一緒に掲載されている出来上がった料理はどれも美味しそう。
- 著者
- 平松 洋子
- 出版日
- 2012-02-10
例えば塩トマト、梅ぼしごはんなどは食欲のない時にも食べられそうだし、中には豚肉などを使ったボリュームのある料理の作り方も紹介されています。
少し驚くのはレモンごはん。好奇心をくすぐられて読んでみると、インドでは当たり前の食べ方なのだとか。ターメリックで炊いたごはんにスライスされたレモンがプラスされることで、こんなアレンジもあったのかと唸ってしまいます。ほかにも珍しいレシピが所々にあり、最後まで読者を飽きさせません。
最近、料理がマンネリ化している方にもおすすめの本ですよ。
料理の味は調味料だけでは決まらない。同じ味の料理を食べてもお腹が空いている時、嬉しい時、悲しい時では、少しずつ違った味に感じることはありませんか。
食べることは生きていく上で欠かせないことなので、味のことまでゆっくり考えずに食べていることも多いもの。『おとなの味』では、いろいろな味が様々なシチュエーションとともに熟れた味、奢った味などに分けられ、エッセイ仕立てで紹介されています。
- 著者
- 平松 洋子
- 出版日
- 2011-02-26
日本各地で出会った料理はもちろん、海外に出かけた時の料理も紹介されているので、旅に出かけたような楽しみ方もできます。また、どの味についても食べているシーンが頭に浮かぶように書かれているため、食欲をそそられることでしょう。
こちらも巻末にはそれぞれの味についてのまとめが数行書かれており、この部分だけ読んでも面白く、逆引きのようにして、こちらで気になった味が書かれている本編を読んでも楽しそうです。もしかしたら味について考えられるようになったことこそ、大人の醍醐味かもしれませんね。
友人の所へ行くときなどに手ぶらでは申し訳ない。そんな時の手土産を選ぶときに参考になりそうなのが『おもたせ暦』です。おもたせとは、手土産をいただいた側がその場で開けて来客に振舞うこと。もちろん必ずとはいきませんが、淡い期待も込めて手土産を選びたいですよね。
何を選ぼうか迷った時、また季節に合わせてどんなものを選ぼうか悩んだ時にも、本作では日付入りで書かれているので、そういった場面で役に立ちそうな一冊です。
- 著者
- 平松 洋子
- 出版日
- 2010-07-28
おもたせ用の手土産として紹介されているグルメの中には、ホームパーティや女子会などにも最適のグルメがたくさん紹介されています。おだんご、クッキー、フルーツサンドイッチなどはお茶会にぴったり。食事のおともにするならコロッケ、お漬物などシチュエーションに合わせて選ぶのも楽しそうです。
この本は文章だけでなく写真も掲載されており、巻末にはお店の案内もあるため、とても実用的な一冊となっています。
本の中に登場するグルメはどれも美味しそうなものばかりなので、まずは自分で食べてみて、その感想とともに手土産にしてみるのも良さそう。ぜひ、渡す相手の喜ぶ顔を思い浮かべながら読んでみてくださいね。
平松洋子のエッセイ集の特集はいかがでしたか。テンポも良くて読みやすく、道具や料理についての描写も上手いのが魅力でしょう。そして料理はもちろん、海外の旅行記と合わせたエッセイは彼女が見た場面が目に浮かぶようです。彼女の手がけた本は家事の合間のひと時に読まれるのはもちろん、本から遠ざかっている方にもおすすめですよ。