どんな旅をするか。生き方がにじみ出る紀行本を【ハッカドロップス・マイ】
ハッカドロップスのマイです。

どんな旅をするか、って。
どんな生き方をしてきたか、とか
その人がその時何を大切にしたいか、
とかってことがにじみ出る。
旅行先、移動手段、宿、服装、荷物 etc……

旅に出ようって言っても、
十人十色、旅のしかたって違うんだと思う。

行きたくても忙しいってこともあるからね、
今回はいろんな紀行本を5冊、おすすめします。

ひとり旅のいいところ

著者
沢木 耕太郎
出版日
1994-03-30
ひとり旅のいいところ、
限りなく自由に近い状態でいられること。そして、孤独。
深夜特急は、ひとり旅、しかも貧乏旅。
オーソドックスな旅といえば、私はこの『深夜特急』の様な旅を思い浮かべる。
ひとつ決めているのは「インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く」ということ。
あとはどこに、どのくらい滞在するのかも決まっていない。
仕事を放り出して、26歳の男が旅に出る……。
1巻は香港・マカオ編。
アジアの熱気に包まれたような気持ちになれます。

故郷をゆっくり旅する

著者
太宰 治
出版日
“私の先祖は代々、津軽藩の百姓であった。
いわば純血種の津軽人である、だから少しも遠慮なく、このように津軽の悪口を言うのである。
他国の人が、もし私のこのような悪口を聞いて、そうして安易に津軽を見くびったら、
私はやっぱり不快に思うだろう。なんと言っても、私は津軽を愛しているのだから。”(本文より)

太宰治さんの生まれ故郷、津軽。
本人が津軽半島を3週間ほどかけて一周する旅。
旅って言えば、遠くを目指しがちだと思うのだけれど、
確かに自分の故郷って行動範囲であるところにしか詳しくはないし
行ったことも、見たこともない場所が故郷にあると思うと変な感じがする。
故郷をゆっくり旅するって素敵だ。
人が出てくるから土地の人柄も見えてくる。

ギリシャ・トルコ辺境紀行

著者
村上 春樹
出版日
1991-07-30
“海は汚されてはいない。どれだけ目を凝らしても、汚れというものが見当たらないのだ。
それはもう海とも言えない気がする。ふと、それは何かの儀式のようにさえ思える。
気の遠くなるような時間と犠牲を経て徹底的に様式化され、日の核心へと突き進むあまり本来の意味あいさえ失ってしまった儀式、そんな儀式を想起させる。”(本文より)

ギリシャ・トルコ辺境紀行。
アトスを旅する前に知っておかなくてはいけないこと。
アトス半島がこちら側とは全く違った世界であるということ。
土地の原則となる宗教、取り巻く政治。
あるいはそこにある、ただただ美しい風景。
なかなか自分では行けないなぁという旅を
深いところまでみせてくれる紀行文です。

いいとこ取りの香港・マカオ旅行

著者
群 ようこ
出版日
群ようこさんの紀行エッセイは変な旅人気取りなんかがなくて、
とても生っぽい旅行で素敵。
ブランド物を買いあさる人がいれば、カジノに夢中になる人もいる。香港・マカオ旅行。
団体だけれど、自立している人たち同士で行く旅は集まったり、離れたり、
いいとこ取りって感じで良いなぁと思う。
こんな旅行もしてみたい。
そして、群ようこさんの語り口がスカッとしていて心地よく、
どんどん先に読み進みます。

他者の聖地をまわる

著者
田口 ランディ
出版日
2007-09-25
“聖地巡礼などと言って、他人さまの土地にのこのこ出かけて行く自分を、
ときどきとても恥ずかしく思うのだ。アイヌの聖地にも行った。沖縄のウタキにもアボリジニの森にも、
インディオの山にも、ナバホの谷にも……。
でも私はアイヌじゃない。ユタじゃない。アボリジニでも、インディオでも、ネイティブアメリカンでもない。
なのに、なぜ、他人の聖地で祈るのか。”(本文より)

旅行中は気持ちが大きくなりがちである。
しかし、そこに住んでいる人でないと分からないこと、
踏み入れてはいけない場所やことも
もちろん沢山あるだろう。
旅行先で、旅行者はよそ者であるということ。
他者の聖地をまわる、田口ランディさんの紀行エッセイと心得。

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