就活では業界研究は企業・仕事を理解するために必要不可欠な作業です。自分では気づかなかった業界の魅力や特徴を知ることもでき、志望動機を作成する助けとなります。今回はそんな業界研究のやり方を解説し、業界研究が更にはかどるおすすめ本を紹介します。
就活における業界研究の意義は重要で、正確な理解がないまま採用面接に臨んでも「この候補者は全然調べていないのに志望するのか。」と採用担当者から判断されてしまい、選考を通過することができません。業界研究の意義をしっかり理解した上で、選考に臨みましょう。業界研究を行う意義としては大きく2点挙げられます。
(1)どんな企業・仕事があるか知ることができる
あなたが志望しようとしている業界にどんな企業が所属しているのかを明らかにすることが出来ます。
業界で確固たる地位を築いていながら一般的な知名度は高くない企業も存在するため、業界研究をすれば、あなたの選択肢の幅は広がるでしょう。
就活では家電・インフラというように、ソニー、パナソニック、日立といった有名企業ばかり所属している業界へ目がいきがちです。
しかし、それらの企業を支えている部品メーカーや金属加工メーカーがあるということも業界研究をすることで理解できます。業界研究はあなたの仕事理解の幅も広げるのです。
(2)採用担当者は候補者の本気度を業界研究で判断
採用担当者は面接の中で、あなたの業界・企業への理解度を確かめてきます。
「どんな仕事をやってみたい?」、「うちの会社のことはどう思っているの?」といった質問はその典型例で、業界理解に基づいた回答ができないと、採用担当者は「この人は理解度が浅い。」とマイナス評価をつけてしまいます。
ビジネスの現場においても、営業や交渉を実施する前に事前にクライアントや相手方のリサーチを実施し、どんなことに興味があるのか、今何に注力しているのかを予想しながら商談資料や提案資料を作成します。この業界研究も将来のビジネスシーンにつながるものと捉えてみましょう。
業界研究はあなたの就活で志望している業界にどんな仕事があるのか理解を早めてくれます。
例えば、家電業界について研究すると、所属している企業群が分かるのはもちろんのこと、どんな商流でビジネスが展開されているのかを分かるようになるでしょう。
家電業界では企画→生産→販売と流れに沿って商流ができており、それぞれの役割を担う形で仕事が形作られています。
【家電業界の仕事例】
・マーケティング職:消費者動向を分析して、どんな商品が売れるか企画。売れるための企画作りを主導。
・研究開発職:マーケティング職と連携して製品開発を実施。
・生産管理職:製品開発が期日通り進んでいるかプロジェクト管理を実施。
・調達職:製品開発において必要な資材や原材料を調達するとともに、原価を調整。
・工場管理職(総務・経理):工場で働く人々が快適に働けるように福利厚生システムを管理。
・営業職:作られた製品を販売代理店向けに拡販し、商品が売れるようにサポートする。
これら6つの仕事形態があることを、業界研究をすることで分かるようになるのです。
業界研究は仕事内容が分かるとともに、業界の構造や取り巻く環境も理解できるため、あなたの志望している業界の現状や特徴を理解することができます。
【業界分析で理解出来る項目】
・消費者の動向:商品やサービスを購入する消費者がどんな好みや行動をするかの特徴を知ることが出来ます。
・マクロ市場の動向:政府の経済政策や政策と市場の関連性が明らかになります。例えば消費税増税で消費がしぼむなどの例が挙げられるでしょう。
・競合状況:同じ業界にいる企業とどのような競合状況にあるのかを把握出来ると共に、志望している企業の業界でのポジションも知ることが出来ます。
・将来性:市場やマクロ状況と合わせて業界が伸びていくのかどうか、業界全体がどんな方向へ向いていくのか分かるようになるでしょう。
このような業界の特徴を把握することで、志望理由をより深めることが出来ます。
そして、自分自身での業界研究を一通り作業したら、興味のある業界の先輩へOBOG訪問を実施しましょう。
Webやセミナーだけでは分からないことを、実務を担当している先輩からリアルな話・本音ベースでの仕事の話を聞くことができます。今まで調べた内容が正確かどうか、ピントがずれていないかどうかを確認する場です。
【OBOG訪問をする方法】
・大学のキャリアセンターでの名簿
・大学のサークルやゼミ
・セミナーやイベントで会った先輩
・アルバイトやインターン先の先輩の紹介
これらの方法を駆使し、現場の声を聞き、更なる志望理由の深堀をしましょう。
業界研究の意義や具体的な手法が分かったところで、業界研究を更に深めるおすすめ本を紹介します。
- 著者
- 出版日
- 2017-08-25
本書は、投資家のための『会社四季報』を発行する東洋経済新報社が作成しているので、シビアに業界がどうなるかの分析が精緻で、今旬な業界がどこなのかも客観的知見から分析されており、業界研究をする上で必読の一冊です。
更に、業界を173にカットしているため、自分の知らない業界も理解することができ、横断的に業界研究が可能となります。
業界の勢力関係を図で分かりやすいだけでなく、業界のトレンドの解説まで書いてあるため、業界の将来性を把握するためにも、おすすめの良書です。
- 著者
- ジョブウェブコンサルティングファーム研究会
- 出版日
- 2013-06-19
業界研究の作業をしていて課題となるのが、ビジネスの構造が複雑で、パッと見で業界の理解が難しいことがあります。
コンサルティングファームは分析しにくい業界の一つとなっており、各コンサルティングファームの違いやコンサルティング業界のビジネスモデルが分かりにくくなっております。
そういった悩みに答えるのが、本書です。就活サービスを手掛けるJobwebが発行しており、コンサルティングファームのビジネスモデルから各コンサルティングファームの特徴まで網羅できる内容となっています。就活サービス会社ならではの就活生に理解しやすい業界研究本です。
実際に各コンサルティングファームで働いてる方のインタビューも載っているので、OBOG訪問が難しい企業を志望する人は、本書から現場の状況を確認してみてください。
- 著者
- 出版日
- 2016-08-26
日本経済新聞社のベテラン記者達による業界分析本が本書です。
日本経済新聞社では業界別に担当記者が分かれており、1業界あたり数十年を経験しているベテラン記者による分析となるので客観的な情報獲得が可能な内容となっています。
対応している業界も180業界と『「会社四季報」業界地図』よりも多く、分析対象を増やしつつ、記者だからこそわかる裏情報も知りたい場合はおすすめの一冊です。
初任給や平均従業員年齢も載っているので、会社の姿を把握することも出来るでしょう。
ここまで、業界研究の手法について触れてきましたが、具体的なイメージはできたでしょうか。
本やWeb、セミナー、OBOG訪問と様々な手法がありますが、重要なのはあなた自身が主体的に情報を取得しに行くことです。主体的な情報獲得をすることによって、様々な情報に振り回されない主体的な就活が可能となるでしょう。
本コラムを業界研究の参考としてもらえれば幸いです。