2015年1巻発売からどんどん注目を集め、アニメ化までされた大人気漫画、『はたらく細胞』。本作は体内の細胞を擬人化したという新しい設定がうまく作用しています。アニメ第2期の制作も決定しました。 今回はそんな本作のキャラたち、最新5巻までの全巻の見所をお伝えします!ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。
様々な擬人化漫画が発売されて「もうお腹いっぱいだよ」と思っている方に読んで欲しい、これからくる擬人化漫画が『はたらく細胞』。この作品は2018年にアニメされ、さらに、第2期の制作も決まりました。
キャラクターに声を吹き込むのは、花澤香菜、前野智昭、早見沙織など豪華声優陣です。赤血球の声を担当した花澤香菜は、「細胞たちのありがたみを感じながら楽しめる、素敵な作品です。アニメでは私も赤血球として、元気にたくさんはたらくぞーーー!!!!!!」と気合充分にコメントしています。
まだ、放送開始日など詳細情報が公開されていないので、TVアニメ『はたらく細胞』公式サイトをご確認ください。
- 著者
- 清水 茜
- 出版日
- 2015-07-09
本作の魅力は新しい設定をしっかりとキャラ立てし、ただのキャラ漫画にとどまらない読み応えを出した作品。ギャグ漫画なのですが、その読み応えが最大の魅力なのです。そしてこのシュールなギャグは、さりげなく笑わせてくるキャラたちの魅力によって成り立っています。
キャラたちは、基本的な知識を抑えた上でアレンジを加えられた細胞としての設定や、見た目のキャラ立ち、性格の良さなど、押さえるところを押さえている子ばかり。キャラたちの愛が感じられ、キャラ漫画でありながらも、それだけでない読み応えに繋がっているのです。
今回はそんな本作のキャラたちをご紹介!最新5巻のネタバレを含みますのでご注意ください。
体に侵入したウイルスや細菌などの異物から私たちを守ってくれる働きをしているのが白血球。『はたらく細胞』では白のツナギとキャップの働くお兄さんとして登場します。この作品のメイン登場人物は「U-1146番」という名前です。
何万何億といる白血球たちですが、彼らはみんな攻撃的。細菌を見かけると容赦なく殺し、血まみれで戦う姿は体内の住人たち(細胞)に恐れられています。
そんな怖さもある白血球ですが、働く姿はとてもかっこいい!モロ悪役な雑菌たちを派手なアクションで壊したり、SFのような体内器官で捕まえたりするのです。
キャップの上についた早押しクイズの回答者権のような「レセプター(細菌などを探知するレーダーのようなもの)」だけはダサいですが、その姿はヒーローのよう。そしてくしゃみで細菌を外に出す時にこの決め台詞です。
出典:『はたらく細胞』1巻
あれ、やっぱりかっこいいのかかっこよくないのか怪しいですね。いい表情なのに……。ほぼかっこいいのですが、ちょいちょい残念なところがあるのがたまに傷です。
レセプターと決め台詞以外ほぼ完璧な白血球。「U-1146番」の職人的な働き方や、様々な器官での活躍にはヒーロー漫画のような勧善懲悪のすっきり感、かっこよさがあります。
でもやはり、決め台詞がかっこ悪いって致命的でしょうか?
私たちの体内で酸素を運ぶ役割をしている赤血球。本作のメイン赤血球「AE3803」は可愛いドジっ子です。赤のジャケットをはおり、短パンを履いており、帽子をかぶっていますが横からアホ毛が飛び出しています。
出典:『はたらく細胞』1巻
そんな彼女はだめだめ。方向音痴で体内で迷ったり、雑菌を運んでいることに気づかなかったりとなかなかのダメっぷりを発揮します。
しかし憎みきれないのは性格が良いから。優しく、誰にでもしっかり挨拶する好感度抜群ガールです。
1巻では赤血球のドジっ子ぶりに、白血球の名言「ばいばい菌」などキャラクターを表すエピソードがいくつも見られます。
この他にも各細胞に指令を出すメガネイケメンのヘルパーT細胞に、ものものしい雰囲気でヤンキーっぽいキラーT細胞、可愛い幼女として表現された血小板が登場。
また、某「龍の玉」漫画を彷彿とさせる敵役の細菌たち、きのこ帽のようなものを被ったインフルエンザウイルスも目を引きます。
- 著者
- 清水 茜
- 出版日
- 2015-07-09
そんななかでも1巻で個人的に可愛いと思ってしまったのは、我が国日本ならではの強い症状・花粉症を引きおこすスギ花粉のアレルゲンたち。「ス〜ギ〜」という鳴き声をあげながら動く、まん丸いおばけのような見た目をしています。
しかし可愛いとばかりも言っていられません。彼らは体内に侵入してきた彼らはB細胞が放つ抗体でも追いつかないほど大量なのです。
体内では異常事態を認識してマスト細胞から分泌される化学伝達物質ヒスタミンの大雨が洪水のように流れ、それが溢れたことによって分泌中枢は撃破されてしまいます。
そして分泌中枢がいかれたせいで緊急用免疫システムが作動、つまりありえないほどのくしゃみ(ロケット発射)、鼻づまり(地殻変動)、引き続きの大洪水が起こり、細胞たちの暮らす日常はめちゃくちゃになってしまうのです。
そこにやってきた救世主は何と赤血球。
彼女は真っ黒い「薬用」と書かれた玉を持ってきて、それが開くと、その場は一気にその場を制圧され……。
薬は効果絶大だけど、副作用を考えておかねばな……と体内の細胞のために考えてあげたくなる結末でした。その圧倒的な力の様子は作品でお確かめください。ステロイド偉大、でも怖い、と思わされます。
2巻ではクーデレツインテ・好酸球の意外な活躍、細胞の成り立ち説明回から判明した赤血球と白血球の幼少期の思い出が描かれます。今回の敵はウツボのような寄生虫アニサキスに、熱中症に便乗して体を乗っ取ろうとするセレウス菌などが登場します。
しかし2巻最大の見所は日本人の三大死因のひとつであるガンのお話ではないでしょうか。
ある日、白血球はウイルスに感染してしまった細胞に追われている細胞を見つけます。そこに駆けつけたのはTHEヤンキーのキラーT細胞に、ゴリマッチョな黒髪ショートヘア美人・NK(ナチュラルキラー)細胞でした。
- 著者
- 清水 茜
- 出版日
- 2015-11-20
彼らは追いかけられていた細胞の案内で感染細胞の仲間を探しにいきます。ちなみにキラーT細胞とNK細胞は犬猿の仲という設定。ごりごりなふたりがやりあうのを見ていると免疫細胞は本当に強いなぁ……と感心してしまいます。
そうこうしているうちにたどり着いたのは人気のないマンションのような場所。そこで白血球とキラーT細胞、NK細胞と案内してくれた細胞に別れて感染菌を探しにいくことに。
しかし実は案内してくれた細胞こそ感染菌の仲間であり、がん細胞だったのです。
もともとは普通の細胞ではあるものの、遺伝子に異常が起こって無軌道に増殖していくがん細胞。NK細胞はそれでも容赦無く彼を倒しにかかります。
しかしがん細胞は逆に憎々しげにNK細胞、合流した白血球、キラーT細胞にこう言うのです。
「味わわせてやろうと思ったんだよ…
お前たち免疫細胞に多対一の暴力で殺される気分をな!!」
そして彼が発端で増殖する他がん細胞とともに戦います。しかしその姿はどこか切なげ。
途中でキラーT細胞に「死ね バグり野郎!!」と言われたことをきっかけに、生まれてすぐに殺されたもうひとりの仲間を思い出します……。
しかしそこに他白血球やB細胞が到着。NK細胞も笑ったことで活性化し、彼をどんどん追い詰めていきます。
そして白血球がそこにトドメを刺そうとするのですが、がん細胞は……。
「がーん」
え…………?
このシリアスな展開、表情でオヤジギャグ……。思わず白血球も「え…ウソ…」とつぶやいてしまいます。
ところがそこからはつい生まれてきたばかりで殺されそうになるがん細胞に同情してしまう展開。彼の長文の訴えは胸にくるものがあります。
ガンは怖いけれど、彼らとの戦いは日常的に行われているもの。毎度のことながら自分の体に感謝し、大切にしようと思える内容でした。
3巻ではおたふく風邪とニキビという症状を紹介。それにまつわり、いっつもちょっと偉そうな記憶細胞のうっかりミスに、キューピー人形の髪の毛部分をさらに長くしたような帽子、それと繋がるマントを身にまとった毛母細胞などが登場します。
しかし3巻の見所はやはりいつもよりも多めに活躍するキラーT細胞ではないでしょうか。いつも方向音痴の赤血球がひとりで体内を回ろうとするところを白血球がこっそり見守りながらあとをつけていたことに激怒し、いつでも他細胞を殺せるように余計な情けはかけるな、と一喝。
しかしそのあとに修羅場をともに乗り越えた普通細胞と遊ぶことになり、本気で楽しむ様子にほっこりさせられます。
- 著者
- 清水 茜
- 出版日
- 2016-06-09
そして何と言っても注目は、犬猿の仲である輩テイストの強いキラーT細胞と、インテリメガネイケメンのヘルパーT細胞が実は胸腺学校時代に同期だったということです。胸腺とはT細胞のもとになる細胞を一人前のT細胞に分化、成熟させるリンパ器官のこと。
実は幼い頃のキラーT細胞は今より気が弱く、頭も働いて気の強いヘルパーT細胞に負けてばかりでした。
しかし彼と同室になり、お互いが実はいいやつだと知って仲を深めていったのです……。
彼らの若かりし頃の様子はまさに青春。しかもなかなか見ることができない、インテリメガネイケメンがヤンキーっぽい奴を殴るという構図にはつい笑ってしまいます。
4巻では黄色ブドウ球菌vsマクロファージの戦いやデングウイルスの体内への侵入、白血球と人気キャラのキラーT細胞との不仲なやりとりが見られます。
今までニキビや風邪、花粉症という小さいところから、おたふく風邪、ガンまで様々なピンチを乗り越えてきた「はたらく細胞」たちの住むこの体の持ち主ですが、ついにこの4巻では命に関わるほどの怪我を頭にしてしまいます。
作者・清水茜の自分の体で彼ら細胞が働いていることを想像してほしいという意向から今まで一度も体の持ち主が描かれたことはありませんが、つい感情移入してしまいます。頑張れ体の持ち主。
- 著者
- 清水 茜
- 出版日
- 2016-11-30
そしてこの話ではドジっ子・赤血球「AE3803」が大活躍します。その時彼女は新人研修の真っ只中でした。しかしその後輩ちゃんは冷静沈着で仕事できるオーラあり。むしろAE3803の方が頼りなさそうに見えてしまいます。
しかし命に関わる怪我が起こり、体内は騒然、異常事態になります。さすがにこれには慌てる後輩ですが、AE3803はとにかく今は酸素を運ぶことをやり遂げようと彼女に言って走るのです。
ところが体内は怪我による出血で赤血球不足。必要不可欠な酸素を体に行き渡らせることが出来ず、体温はどんどん下がっていきます。
温度低下による吹雪の中、後輩ちゃんは手をついてくじけてしまいました。もうダメなんだと言う彼女に、AE3803は最後まで自分の仕事をまっとうすると言うのです。
「早く…届けなきゃ この酸素を」
それでもさすがに体温の低下で彼女も動けなくなってしまいます。
と、その時あたりに暖かい光が射すのです。AE3803の目の前には見慣れぬ制服をきた赤血球がいました。彼らは輸血によってこの体内にやってきた助っ人たちでした。
最後まで赤血球があきらめないこともあり、一命をとりとめたこの体の持ち主。そして後輩ちゃんはAE3803にこう言います。
「仕事のほんとうの意味が分かりました。
ありがとうございます!」
いつもドジっ子のAE3803が先輩としてここまで……。ピンチを乗り越え、細胞たちの大切さが再確認された4巻でした。
- 著者
- 清水 茜
- 出版日
- 2017-08-09
今回は赤血球ちゃんはほぼお休み巻。彼女のドジっ子可愛い姿が拝めないのは残念ですが、5巻では赤血球ちゃんに負けず劣らずの可愛い新キャラが登場します!
5巻の始まりは、悩める一般細胞の青年。アパートの部屋からウイルス感染細胞たちの暴れっぷり、それを鎮圧する免疫細胞たちを見ながら、「俺たち一般細胞は出番なし…か」とぼやいています。
俺も誰かをヒーローのようにかっこよく助けたい、と考えているところに、謎の生物たちが現れます。
青年は細菌を見つけたから免疫系に早く知らせなければ、と焦るのですが、そのあまりの可愛さについつい助けてしまいます。
そんな青年の優しさに、この謎キャラはこんな反応……。
かわええ……。
なついちゃって、てこてこついて来ちゃった彼らを家まで連れて帰ってきちゃった一般細胞くん。この他にもまだまだこの謎キャラの可愛すぎるコマがあるのですが、それはぜひ作品でご確認を。萌え禿げます。
しかし仕事のできる白血球さんがそれを見逃すはずもなく、すぐに細菌などを検知するレセプターの反応を見てやってきます。
あえなく連れ去られる謎キャラたち。悲しい別れの場面です……。
しかしその途中でピロリ菌が発生!胃粘膜を破壊し、あたりに胃酸を撒き散らします。
謎キャラたちをかばって瀕死の状態の一般細胞くん。胃酸を撒き散らされ、どうにか他の細胞を連れて逃げますが、一匹をかばいそこねてしまいます。
しかしなぜか生きているその謎キャラ。しかもパワーアップし、ピロリ菌をたたきのめすのです!
TUEEEEEEEE!!!
顔まで変わっちゃってます。実は謎キャラたちは乳酸菌という善玉菌の赤ちゃんたち。ピロリ菌を倒したこの乳酸菌はそのまま無事仲間のところへと戻っていきました。
この他にもプリン体やインフルエンザにも有効な乳酸菌たちが活躍を見せます。しかし可愛いな〜とほのぼのしているところに、日本人の三代死因のひとつである、がん細胞が立ちはだかります。
物語最大の敵といっても過言でない細胞に、果たして白血球は、乳酸菌たちはどんな活躍を見せるのでしょうか?ぜひ作品でその様子をご覧ください。やはり体の細胞たちに感謝したくなる内容です。
- 著者
- 吉田 はるゆき
- 出版日
- 2018-02-09
読むほどに自分の体に感謝したくなる『はたらく細胞』。新しいキャラたちも出てきてどんどん目が離せない展開です。
ちなみに細胞は単体ではなく集まって働く細胞がほとんどなので今後どういう風に新しいキャラを登場させるのかに注目も集まります。6巻が待ちきれません!