昔、日本で最も有名な組織の一つとして名をはせた『新撰組』。現在は、「カッコいい組織」として数多くの漫画の題材とされています。そんな新撰組の物語を様々な角度から綴った、おすすめの新撰組の漫画をご紹介します!
1作目は、黒乃奈々絵によって描かれた、少年漫画風の新撰組漫画『新撰組異聞PEACE MAKER』。第1部は全6巻で完結しており、2003年から2004年にはテレビアニメ化をも果たしています。第2部である、『PEACE MAKER鐵』も、2017年に劇場アニメ化が決定しました。
この作品は、土方歳三や近藤勇、斎藤一などの組長クラスの人物に焦点を当てているのではなく、「市原鉄之助」という一般隊士に主眼を当てた新撰組漫画となっています。鉄之助が入隊し、池田屋事件までを描いたストーリーです。
- 著者
- 黒乃 奈々絵
- 出版日
- 2005-09-10
背が小さく、態度の悪い主人公鉄之助。見た目からは想像する事が出来ない、複雑な過去を持つ少年として、復讐の為に新撰組に入隊しました。組織の中で送る殺伐とした日々が、かっこいいながらも、どこか憂いも帯ながら描かれています。
少年漫画特有の激しい戦闘シーンは、非常に派手で痛快です。刀を振るうたびになびく長い羽織が、キャラの動きに派手さを増す要因となっています。
最初から強さやカリスマ性が備わった組長や、凄腕の剣士などではなく、肉体・精神ともに未熟だったひとりの少年が成長していく姿を、是非お楽しみ下さい。
2作目は、渡辺多恵子によって描かれた『風光る』。1997年に連載されてからいまだ連載中の人気漫画で、平成14年に小学館漫画大賞を受賞しました。2017年5月の段階で、既刊は40巻まで発売中です。新選組の漫画としては珍しい、「少女漫画」として人気を博しています。
時は、新選組の結成前である「壬生浪士組」から始まり、主人公の「富永セイ」(女性)は父と兄の敵討ちの為に、壬生浪士組へと男装をして入隊します。
- 著者
- 渡辺 多恵子
- 出版日
- 1997-11-01
豊永セイは沖田総司に恋心を抱いています。復讐のために男装して武士となっている自分と、沖田の傍にいたいという女の気持ちがせめぎ合い葛藤している姿が、また魅力的な部分と言えるでしょう。
大まかな部分は史実に則っている為、沖田総司の運命は変わりません。そのことを忘れずにこの作品を読むと、また違った読み方が出来ると思います。
少女漫画となった新選組のこの漫画を是非手に取って、淡い恋を感じてみませんか?
3作目は、力強い作風で有名なヒラマツ・ミノルによって2009年に『ゲッサン』で連載開始となった時代劇漫画『アサギロ~浅葱狼~』です。本格派の時代劇漫画として人気を馳せています。
舞台は1854年の幕末。奥州白河藩の江戸屋敷にて、剣の腕の凄まじさから名を轟かせていた天才剣士、「沖田惣次郎(のちの沖田総司)」を主人公とし、彼の少年時代から始まる物語です。
純粋無垢な少年の惣次郎の性格は、あっけらかんとした楽観的で、善悪の違いについて理解していません。その為、御前試合で勝負した相手の介錯(切腹した人間の首を切り落とす役目)を行った時には、定められた順序を守らずに首をはねてしまったので投獄されてしまいました。その時の、牢獄内の瘦せこけた惣次郎の姿はまさに餓死寸前なリアルな描写で描かれています。
- 著者
- ヒラマツ ミノル
- 出版日
- 2009-12-12
その後も、惣次郎が介錯した男から刀を受け取るも、遊んでいる最中に失くしてしまうなどと、どこか危なっかしい惣次郎ではありますが、時を重ねる毎に精神が成長していく過程は非常に見ごたえがあります。濃い内容ながらも、天然な惣次郎を見守るような視点になるため、どこかほっこりする部分もあるでしょう。
力強い戦闘シーンに加え、登場人物たちの心理状態が事細かく描写されているので、非常に強いドキドキ感を味わう事が出来るのではないのでしょうか。
少し大人向けの漫画ではありますが、どの年代でも読んで面白いと感じさせる作品です。
4作目は、1988年から1989年まで『ビッグコミックスピリッツ』にて、小池一夫原作、池上遼一作画の二人組で描かれた『赤い鳩アピル』です。従来の歴史に則った新撰組漫画とは違いこの漫画は、アクションがありながらも「ミステリー」要素がふんだんに詰まっています。
幕末の京都と土佐を舞台としており、新撰組の隊士である架空の主人公「馬庭実行」が、日本人のルーツが古代ユダヤに関係しているのではないかと考え、外国人の宣教師「オードル・ヘボン」と共にその証拠を探す旅を始める、というまったく新しい世界観の物語です。
- 著者
- 小池 一夫
- 出版日
- 2005-09-10
始まりは、池田屋事件後、馬庭実行が路上にてオードル・ヘボンと出会い、外国人であるオードルが何故か歌っていた「カゴメの唄」が気になる所からスタートします。そこから日本と古代ユダヤの共通点を探し出し、周りから反発されるも新撰組を脱走して、この二か国の共通点を探る旅に出てしまうのでした。
力強い画風とリアルな描写、新撰組という一種のジャンルをミステリーとして昇華させたこの作品は、読む者を謎に満ちたこの世界に誘ってくれるでしょう。
架空の人物だけはなく、実際の新撰組の隊士たちや幕末に活躍した有名人なども登場します。そんな事実と架空の世界が上手くミックスされた世界観も魅力的な部分の一つです。
一風変わった新撰組漫画を是非、お手に取ってみて下さい。
最後は、赤名修によって2003年に描かれた新撰組漫画『ダンダラ』です。ファンからは、「現在発表されている新撰組漫画の中で、最も優れた作品である」と評価される程。あの、暴れん坊将軍で知られる「栗塚旭」も絶賛している漫画です。
舞台は、京都にいた頃の新撰組の話となっています。主人公は特に決まっておらず、新撰組隊士達に焦点を当てた群像劇の様な物語です。
- 著者
- 赤名 修
- 出版日
- 2003-12-22
劇画ながら、繊細なタッチ、細かい情景描写は読む者を引き込み、力強い漢達が壮絶な剣戟を行うシーンは、男性陣を昂らせてくれるでしょう。
大人向けの漫画の為、手足や首が斬り飛ばされるグロテスクなシーンや性的描写もありますが、それもこの作品の魅力的な一部分なのです。
男らしさ溢れる土方歳三や、美女のような顔の持ち主である沖田総司、悪役ながらもどこか惹かれる芹沢鴨など、個性光る登場人物ばかり登場します。
是非、漢らしさ溢れるこの名作を読んでみて下さい。
アクションだけではなく、恋愛やミステリーなどの様々なジャンルが存在する新撰組漫画。どの作品も非常に面白い名作ばかりです。是非、様々な角度から新撰組漫画達を読んでみて下さい!
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