晩夏のプレイボール
あさのあつこさん、野球……と来たら大半の方が『バッテリー』を思い浮かべると思います。小学生の頃、野球を観ることが大好きだった私は、そこから野球を題材とした小説に興味を持ち、バッテリーを読んでいました。読み終わって本の感想を話していたら、そのとき近くにいた先生に「本も野球も好きなら、こっちも読んでみたら?」とお勧めされたのがこの本でした。
私はこの本に『バッテリー』よりも落ち着いていて爽やかなイメージを持ちました。『バッテリー』はいい意味で熱く情熱溢れる青春物語ですが、それよりも静かで語りかけてくるような落ち着いた気分になりました。いろいろな視点から野球を語っていて、「もっと野球を知りたい。」と思わせてくれた1冊です。
偏差値70の野球部
とにかく面白い。こんなことないだろ!と心の中でツッコミながら、笑いながらもページをめくる手が止まらない。主人公のアホさ(良い意味で)、キャラクターの個性の強さ、そしてとにかく熱いところ。注目するポイントがとても多く、どれだけ読んでも飽きを感じない小説です。学生向けに書かれたのかなと感じましたが、大人の方も「こんなことあったなぁ」と懐かしみながら楽しめるのではないでしょうか。
そして、甲子園を目指す姿にとても感動します。頑張れ!頑張れ!と叫びたくなり、そしてこんな「青春」に憧れる。笑いあり涙ありの小説です。家族全員で回し読みなんていうのもありかもしれません。一家に一冊、この小説はいかがでしょうか。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
数年前、一大ブームを巻き起こした「もしドラ」。当時、流行には乗らずに自分の好きな本を好きなように読んでいました。映画化が決まって、友達に誘われなんとなく映画を観ると、期待以上で、原作を読んでみたいと感じました。そんなとき母が珍しく本を数冊購入してきたのです。その中に「もしドラ」を偶然見つけ、母に貸してもらい読んでみることに。
当時の私には難しい言語表現が多く、少し心が折れそうになったので、大人向けの小説なのかなと感じました。母に「言葉が難しい!」と話をしたら、「語彙力もつくよ」と言われ、息詰まりながらも辞書を片手に少しずつ読み進めていきました。するととても興味深い物語で、思春期真っ只中の高校生たちが、ぶつかりあい、離れながらも、最終的には支え合いながら成長していく。そんな野球部の様子が描かれていました。
登場するキャラクターたちの不安定さが、逆にとても魅力的で惹き込まれます。読んだことのない方はもちろん、この本が本棚の隅に眠っている方ももう一度読んでみると、また違う「もしドラ」が見えてくるかもしれません。