就職活動の際、企業の96.7%が書類選考と共に筆記試験を行います。企業によっては、筆記試験の結果次第で書類選考の可否が決まるといっても過言ではありません。ここでは、筆記試験の種類や問題例をおすすめの対策本と共にご紹介します。
皆さんは「SPI」をご存じですか?SPIは、リクルート社が提供している適性検査であり、就職活動において数ある筆記試験の中でも最も利用されているテストです。
受験方法は主に4種類あります。自宅などで受験をする「Webテスティング」、専用のテスト会場の監督下で受験する「テストセンター」、企業に赴いて受験する「インハウスCBT」、企業が指定した会場などで受験する「ペーパーテスティング」です。
SPIテストは以下の2種類のテストで構成されています。
1:能力テスト
能力テストは「言語分野」と「非言語分野」に分かれています。
「言語分野=国語」、「非言語分野=算数、数学」と捉えて間違いないでしょう。この能力テストは、問題のレベル自体はそこまで難しくありません。しかし「制限時間が短く、問題数が多いこと」が最大の難点です。多くの就活生が苦労する理由がここにあります。
出題パターンは小学校数学で習う「旅人算・速さの計算」や高校数学で習う「方程式を用いた文章題・確率」まで、多岐に渡ります。そのため早いうちから対策を行い、出題パターンを把握し、素早く的確に回答できるよう練習しておく必要があるのです。
2:適性テスト
この適性テストでは、受験者に約200の質問に対し「はい」又は「いいえ」で回答させ、受験者の主に性格・意欲・思考力・ストレス耐性・職務適性等を診断しています。
適性テストで大切なことは、「嘘をつかないこと」です。自分をよく見せたい気持ちは誰にでもあり、背伸びをした回答を選びたくなるかもしれませんが、このテストでついた嘘が、後々自分の首を絞める事態になる可能性も否定できません。
企業によっては面接内容と、適性テストの整合性を重視するところもあります。回答する際には、普段の自身の行動や思考に照らし合わせ、最も自身の感覚に近い回答を選び、ありのままの自分で挑みましょう。
SPIと並んでよく話題にされるのが、この「玉手箱」です。玉手箱とは、日本エス・エイチ・エル(SHL社)が提供するWebテストであり、SPIの次に多くみられます。
テスト形態は、主に自宅のパソコンなどで受験する「自宅受験型」です。大手・人気企業で幅広く実施されているテストの為、事前に対策し、攻略しておかなければなりません。
玉手箱は、「言語問題」、「計数問題」、「英語問題」などの能力テストと、性格テストで構成されています。一般的には言語問題、計数問題を能力テストとしているところが多いです。しかし、企業によって科目の組み合わせが異なります。志望企業の受験科目をしっかり確認しておきましょう。
1:能力テスト
玉手箱の問題例を見ると、多くの就活生はきっと驚くでしょう。SPIと比較しても、難易度の高い問題が並んでいます。問題形式は、言語問題では長文を読み、与えられた選択肢と長文の論理性を確かめて回答するというものです。SPIテストとは、また違った集中力が試されます。しっかりと対策をし、自信を持った状態でテストに臨みましょう。
特に「計数問題」の方が、SPIと比較してかなり難しいと感じる就活生が多いそうです。「制限時間が短く、問題数が多いこと」はSPIと変わりません。それに加え、玉手箱では「データ処理能力」が必要です。基本的にはデータを示す表が出題され、表の空欄を埋める問題やデータの読み取りに関する問題が出題されます。
あまり馴染みのない出題形式につまずく方も多いかもしれませんが、事前にしっかりと対策を行ってテストに臨めば、怖くありません。
2:性格テスト
性格テストでは、受験者は全68問の質問に答えます。SPIの適性テストと同じく、受験者の性格・意欲・思考力・ストレス耐性・職務適性等を診断するものです。
ここでも、嘘をつかず普段の自身の行動・思考と照らし合わせ、自身の感覚に最も近い選択肢を回答するよう心がけましょう。
「TG-WEB」は、大手・人気企業での実施が急増している「自宅受験型」の、ヒューマネージ社が提供するWebテストです。
TG―WEBは、玉手箱のように言語・計数・英語の能力テストと性格テストに分けられます。能力テストの内容は企業によって科目の組み合わせが異なりますが、一般的には言語問題、計数問題で試験する企業が多いため、こちらも玉手箱に似た部分でしょう。志望企業の受験科目をしっかり確認しておく必要があります。
1:能力テスト
TG-WEBの特徴は、難解で苦手意識を持つ人が多いということです。特に計数分野では推論や図形の展開図など、多くの人が苦手意識をもつ問題が多く出題されます。
しかし、苦手だからといって諦める必要はありません。今ではTG-WEB対策の本も多く発行されているので、多くの練習問題に挑戦し、解法を身に着ければ容易に合格レベルを超えることが出来ます。
2:性格テスト
TG―WEBの性格テストはとにかく種類が豊富でが、皆さんが受験するテストはほぼ「A8」から出題されています。A8とは「コンピテンシー検査」と呼ばれるテストです。学生の強みを抽出するのが目的であり、前半と後半とで構成されています。制限時間は30分です。
前半は「学生時代に一生懸命取り組んだこと」という項目であり、26項目から3項目までを選びます。続く後半は156問あり、前半で回答した「学生時代に一生懸命取り組んだこと」を思い出しながら、自身の行動・思考パターンと最も近い選択肢を選ぶというものです。
企業の大半は上記でご紹介したWebテストを利用しているところが多いですが、一定数の企業は企業が独自に作成したテストを採用試験に利用しています。ご自身が志望する企業のテスト形態を予め確認しておきましょう。
企業独自形式のテストの場合、応募者は企業又は企業が用意する試験場に赴いて受験をする場合がほとんどと言えます。企業独自形式だからといって対策方法がないわけではなく、多くの企業はSPIと似た形式の問題を出すことが多いです。
そのため、SPIレベルの問題をしっかりと解けるように対策をしておきましょう。また、会場で解く際は電卓を使用することはできないため、計算の正確さも求められます。
ここでは、実際のSPIの問題を例題と共にご紹介します。SPIの問題のレベル感や出題パターンを確認しましょう。
(問題)難易度☆/☆☆☆ 「速さの計算」
甲は時速10.5km、乙は時速13.5knで、1周8kmの池の周りをジョギングする。今、2人は同じ地点にいる。甲と乙が同じ方向に同時に走り出すとき、甲が乙に追いつくのは何時間何分後か。
A. 1時間25分後
B. 2時間40分後
C. 2時間55分後
D. 3時間25分後
E. 3時間40分後
回答 B. 2時間40分後
(問題)難易度☆/☆☆☆ 「損益算」
原価700円のサンダルに、定価2割引で売っても、原価の4割の利益が得られるように定価をつけた。定価はいくらか。
A. 1415円
B. 1875円
C. 1225円
D. 1265円
E. 1325円
回答 C. 1225円
(問題)難易度☆☆☆/☆☆☆ 「推論」
甲、乙、丙、丁の4人が遊園地に行くために待ち合わせをした。4人の到着順について次のことが分かっている。
1. 甲は丙より早く到着した
2. 丙の次は丁であった
次のア、イ、ウの推論のうち、必ず正しいのはどれか。ただし、同時に到着した人はいないものとする。
ア.1番に到着したのは甲か乙である
イ.2番に到着したのは乙か丙である
ウ.3番に到着したのは丙か丁である
A. アだけ
B. イだけ
C. ウだけ
D. アとイの両方
E. イとウの両方
F. アとウの両方
G. アとイとウの全て
H. 必ず正しい推論はない
回答 F. アとウの両方
筆記試験はとにかく策が大切です。特に文系学部の学生にとって、数学は懐かしい分野だと思います。しっかりと対策をして非言語分野を強化しておきましょう。
(1)参考書を用いて勉強する方法
本屋に行けば、たくさんの対策本が並んでいます。テスト形態別の参考書や、受験者のレベルに合わせた本まで、同じ内容でも対策本の種類は豊富です。そのため、数学に苦手意識がある方でも参考書を使い、十分に対策をすることができます。参考書を複数手に取って、自身のレベルに合うものや解説が分かりやすいもの、デザインの好みなどを考慮して参考書を選びましょう。
参考書を購入した後は、まず1回目は時間を気にせず自分のやり方で答えを導きます。2回目は参考書の解法を生かして時間を計測しながら解き、3回目はとにかく短時間で正確に解くようにしましょう。
(2)大学などで行われている対策セミナーを受講する
大学で、比較的安価な値段でSPI対策講座が受講できる場合があります。参考書を用いて学習する前に、授業形式で講師に教えてもらって解法を身につけてから学習してもいいかもしれません。所属する大学で、SPI対策講座などがないか確認してみましょう。
本書は、SPI対策の決定版として、問題の再現度・情報の精度・説明の分かりやすさの観点で、毎年多くの就活生が利用する対策本です。
- 著者
- 出版日
- 2016-11-01
SPIには上記でも説明したように、テストセンターやWebセンターなど複数の実施方式があり、どれが実施されるかは業界や企業によって異なります。
最も効率の良い対策は志望企業のテスト形態に絞って勉強する方法ですが、就職活動を進める中で志望企業・業界は変化するものです。そこでSPIに全方式を視野に入れ、各方式で共通の出題範囲から抑えていくのが良いでしょう。
本書をSPI対策の「最初の一冊」として是非活用してください。
本書は実物のWebテストがどのようなものかを理解できる一冊です。
他の対策本には載っていない最新情報も盛り沢山であり、基本を理解した方が自信をつけるための一冊として最適な対策本と言えます。
- 著者
- SPIノートの会
- 出版日
- 2016-09-01
本番さながらのレベル感の問題が味わえる良質な問題は、繰り返し解くことで必ず力が付きます。
また、「言語問題」、「計数問題」、「英語問題」はもちろん、性格テストも収録されているので、本番のシミュレーションにはもってこいの対策本と言えるでしょう。
是非、本書を使用して、着実に自信と実戦力をつけてください。
本書はある程度、志望業界・企業が固まってきた方におすすめの対策本です。有力・人気企業1750社の詳細なテスト実績を掲載しており、志望する企業の使ったテストが分かることが、本書の強みです。
- 著者
- 出版日
- 2016-11-02
年々採用テストは進化していて、自宅型のWebテストやテストセンターも増えてきています。
そんな中ですべての形態のテスト対策を行うことは、時間の観点から言っても不可能かもしれません。そこで、「自分が受ける企業が使っている採用テストの対策を行う」ことが最も効率が良く、突破率を高める勉強法となってきています。
本書を使いこなして志望企業の筆記試験の突破率を高めましょう!