白熱電球の改良や蓄音機の実用化など、化学研究の分野でその名を知らぬものはいないというほどの偉人であるトーマス・エジソン。今回はそんな彼の生い立ちと知っておきたい事実、さらにいくつかの名言を英語と日本語の両方で紹介していきます。またおすすめの関連本情報もあるので、彼のことをさらに知りたい方はぜひ読んでみてくださいね。
トーマス・アルバ・エジソンは1847年にアメリカのオハイオ州に生まれました。幼いころから好奇心旺盛で、それゆえ周囲の人間とそりがあわず、小学校をわずか3ヶ月で追い出されてしまいます。
その後は自宅で独学で勉強をし、働きはじめてからも大好きな化学実験を続けました。
1868年、21歳の時に議会の投票を自動でおこなう電気投票記録機を発明し、初めての特許を取得。発明することの素晴らしさを知った彼はその後もさらに研究を続け、1877年には蓄音機の実用化を成功させ、一躍名声を得ることになったのです。
1876年には、さらなる発明を生み出すべくさまざまな技術者を集め、ニュージャージー州に発明専門のメンロパーク研究所を設立。マネジメント面で辣腕を振るいました。
1878年、イギリスの物理学者ジョゼフ・スワンが白熱電球の特許を獲得しましたが、それはまだ実用化にはほど遠いものでした。同じくその研究に熱心だったエジソンが改良。1883年に「エジソン&スワン連合電灯会社」を創設し、電力供給のシステムを確立。電球を市販し、業界の標準となりました。
多くの改革を生涯にわたって生み出してきた彼の発明品は、今もなお実用化されているほどに近代的なものなのです。
また、特許を管理するための会社の設立や新しいプレゼンテーションのスタイル、事務に関するシステムの構築など、「会社の在り方のルーツはエジソンにある」と言われるほどビジネスにも精通しています。
生涯をかけて数々の発明や研究をしてきたエジソン。しかしその裏には、失敗してしまうことやうまくいかなかったことが山のようにあったはずです。普通の人であれば途中で諦めたり、いやになってしまったりすることもあるはず。なぜ彼は研究を続けてこれたのでしょうか。
ここではエジソンが残した名言から、そのヒントを掴んでいただければと思います。英語と日本語の両方をご紹介するので、読み比べて、気に入った方を心に留めてみてください。
I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」
I didn’t fail. You aren’t supposed to say that that is a slip. Say that I studied.
「失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ。」
Because not failure, but the way showed that it doesn’t work, that’s success.
「それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだ。」
I am not discouraged, because every wrong attempt discarded is another step forward.
「わたしは、決して失望などしない。どんな失敗も、新たな一歩となるからだ。」
Our greatest weakness lies in giving up. The most certain way to succeed is always to try just one more time.
「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。」
Many of life’s failures are people who did not realize how close they were to success when they gave up.
「人生に失敗した人の多くは、諦めたときに自分がどれほど成功に近づいていたか気づかなかった人たちだ。」
彼の言葉を見てみると、うまくいかないことがあってもそれを「失敗」だと思わないことと、諦めないことが大切なのだとわかるでしょう。チャレンジし続けることこそが、「成功」への道なのかもしれません。
1:最初の発明は仕事をさぼるために使われた!?
学校に通うことのできなかったエジソンは、10代のころカナダのとある駅で、夜間の電信係として働いていました。1時間に1度電信を送るだけの仕事を担っていましたが、彼はそこで自動で電信を送る機械を発明します。
ある時から寸分違わぬ性格な時間で電信が送られてくるようになったため、仕事をさぼっていることがばれてしまうのですが、この発明が彼の生涯で最初の発明になりました。
2:ビジネスのセンスもあった
1882年、彼は初めの現代的な電気公共事業を、ビジネス街の中心であるニューヨークのパールストリート駅で始めます。
その結果投資家たちから注目を集め、さらなる投資を受けることに成功しました。
3:当時から電気自動車の構想をたてていた?
電気自動車の技術が注目されはじめるずっと前の1900年代初頭、彼はすでに「電気自動車こそが輸送機関の理想形」だと考えていました。
そんな彼の考案したバッテリー技術が、排気ガスや環境汚染などさまざまな問題を解決する手段のひとつとして2012年頃から再びスポットライトを浴びはじめているのです。
ちなみに、後に自動車王となるフォードはエジソンの会社の社員で、彼らの友人関係は生涯にわたり続いたそうです。
4:熱狂的なクリーンエネルギー技術信者で、小さな風力発電の原型を設計した
石油や石炭を原料とするエネルギーの開発に限界を感じていた彼は、あるがままの自然を用いて電気を起こす技術の研究を続け、その後、現代にも続く風車型の風力発電装置の原型を設計しました。
5:1000を超える特許を取得した
エジソンの発明に対する熱は晩年までとどまることを知らず、後世になって彼が取得した特許を数えてみると、クルミを寸分なく割る機械から火力発電のシステムまで、幅広いジャンルにわたった1000以上の特許を取得していました。
何度失敗してもそのたびに再び挑戦する情熱や、徹底的に無駄をそぎ落とした考え方が、今もなおビジネスの場で教訓として語り継がれています。そんな彼の様々なエピソードに焦点をあてて紹介しているのが本書です。
この本ではエジソンが後世に遺した様々な名言にまつわる出来事や、日夜起こる様々な事象に関する彼の考え方を、知人の証言や彼の遺したメモから考察し、より鮮明に紹介することをテーマに置いています。
- 著者
- 浜田 和幸
- 出版日
「天才とは1パーセントのひらめきと99パーセントの努力のたまものである。」
彼の努力を象徴する名言として有名な言葉ですが、後に続く言葉として、
「最初のひらめきが良くなければいくら努力してもダメだ。ただ努力だけという人はエネルギーを無駄にしているに過ぎない。」(『快人エジソン-奇才は21世紀に蘇る』より引用)
と、続くのはご存知でしたでしょうか?また、この言葉は電球フィラメントの完成に関するインタビューの場において、その失敗について問われたエジソンが半ば皮肉気味に発した言葉である、という真実を知っている方は多くないでしょう。
今現在もなんとなく知られている、「電球を発明した人」「いくつもの特許を持っている人」といった、やや伝説のような過去の偉人としてではなく、もっと身近な、ひとりの人間としての彼の考えを紹介する事をもくて的とした本です。これから何かに挑戦しようと思っている方に、是非手にとってほしい本です。本書の中のエジソンが、一人の人間として、きっと有益なアドバイスをしてくれる事でしょう。
実に多くの発明をし、後世に遺したエジソンですが、その少年時代は決して順風満帆なものではありませんでした。学校では問題児として扱われて退学処分となり、人の考えや行動を理解することが出来ず、常に仲間はずれにされていたのです。彼を知るものからしたら、幼少の彼は偉大な発明家どころではなく、将来を心配されるほどの少年でした。
そんな彼の人と変わったところを決して否定せず、彼の個性として理解し、彼の考えを支持し、偉大な天才発明家として育て上げたのが、母親のナンシーです。
本書ではトーマス少年の、自分を理解してもらえない日々の葛藤と、そんな彼を深い愛情で支える母との二人の努力。そして、彼が偉大な研究家に成長していくまでに、母が教えた生活に関する7つのルールを元に紹介しています。
- 著者
- 幸田 ヘンリー
- 出版日
- 2006-03-30
「1足す1は2だよ。みんな分かったね。」
「ホワイ?(なぜ?)」(『天才エジソンの秘密-母が教えた7つのルール』より引用)
彼の受難な日々にスポットをあてた本書では、小さな港町で生まれた彼の小学校時代、エングル先生とのやり取りからはじまります。
常識と言われる事柄に常に疑問を感じ、他の人たちに合わせて生きていくことの出来ないトーマス少年を、無償の愛で包み、彼を支えていく母ナンシー。彼女が説く人生に対するルールは時代と場所を問わず、誰にでも当てはまる能力開発のためのヒントが詰め込まれています。
小さな子供を持つ方はもちろん、ビジネスマンや教育関係者、学生まですべての人に当てはめることの出来る7つのルールは、天才発明家エジソンのように思わぬ能力を発揮するためのきっかけになるかもしれません。
偉大な研究家であるエジソンの発明や思考法に関して、より実践的で、工学的な分野に焦点をあて、講義形式で紹介しているのが本書です。
工学の分野は日々研究され、発展しています。そんな近代の工学で、彼が作り上げてきた工学を参考に発想力や思考力を学び、それを超えることによって新しい工学を生み出していこうというテーマで書かれています。
- 著者
- 名和 小太郎
- 出版日
- 2006-09-09
内容としては、フィラメントの電気抵抗や炭素電話機の出力などの具体的な例を参考に、当時エジソンが書いた設計書を用いて、いかにこの発想が革新的で素晴らしいものであったかを説明していく形式です。
理系の分野に知識がないと少々理解しにくい文章にも思えますが、丁寧な注釈とわかりやすい解説がしっかりと用意されていますので、まったく知識のない方でもきっと読み解くことができます。
試行錯誤の日々や発明誕生の瞬間の臨場感が、専門用語が使われていることにより、よりリアルに伝わり、まるで現場にいるかのような感覚で本に引き込まれてしまうのです。
この本では、今では当たり前になっていますが、当時ではまだ例のなかった「企業内研究」という分野を若きエジソンが確立し、自らの研究を事業として独立し成功していく歴史を描いています。
- 著者
- アンドレ ミラード
- 出版日
自らの研究が事業として成功すると確信した彼は、勤めていた会社を辞め、発明会社を設立し、蓄音機から映画フィルム、ダイアモンドディスクの製作など、世間の風潮を調査して時代背景にあわせ戦略を立てながら、その時に売れるものを考案、開発し、世間に発表していきました。
発明品の特許に関する熾烈な争いもあり、また、大恐慌や世界大戦などの不安定な時代をいくつものアイディアで切り抜けながら奮闘していく発明会社の隆盛から衰退、彼の引退までをとてもスリリングに紹介しています。
自らの事業を成功させようと奮闘する、ビジネスマンとしての姿はとても貪欲で力強く、彼の姿から多くの事を学ぶことのできる一冊です。
歴史上の様々な人物の生き方を、挿絵の挿入や漢字の読み仮名振りなどで、子供でも読みやすく書かれていることで有名な伝記シリーズのエジソン版です。
児童書というカテゴリーでありながら、史実に基づいた濃い真実として十分なボリュームで紹介しており、一から知る上では大人の方でも読みごたえのある一冊になっています。
- 著者
- 崎川 範行
- 出版日
- 1981-11-19
勉強についていくことが出来ず学校を追い出され、働きながら自分がやりたい研究を続けていくことを選んだエジソンですが、11歳の時には新聞を売りながら汽車の中で実験を行い、車内を白煙いっぱいにして叱られたり、やっとの思いで完成した研究が一切の評価を受けることが出来なかったりと、幾度とない挫折が彼を襲いました。それでも彼の研究の手は止まりません。
あらゆる障害を乗り越え、ただひたむきに自分がやりたいことを続けていく彼の姿は、小さなお子様だけに限らず、なにかやりたいことがありながらもそれを抑えて生きているような方の背中を後押ししてくれる事でしょう。
このように今もなお天才として様々なエピソードが語られているエジソンですが、その生涯は常に苦難の歴史でした。しかし、彼はどんな時も大好きな研究を辞めず、生涯に渡って素晴らしい発明品を生み出してきました。そんな彼の生き方や言葉を知り、将来に向かって突き進んでいく原動力になるようなこれらの本をぜひ手に取ってみてください。