出口治明は1948年に三重県で生まれました。2013年6月から2017年6月まで、ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEOとして活躍しています。読書家で、著作も多く『人生を面白くする 本物の教養』はベストセラーとなりました。
出口治明は1948年4月、三重県で生まれました。京大卒業後、日本生命保険相互会社に入社します。企画部などを担当後、日本国内で営業している生命保険会社で運営される生命保険協会の初代財務企画専門委員長となりました。
生命保険協会の財務企画専門委員長の座に着くと、国の金融制度改革・保険業法の改正に従事します。その後、ロンドン日本生命保険相互会社の現地法人社長となり、国際業務部長など国際的な業務にも参画しました。
日本生命を退職すると、2006年に生命保険準備会社を設立して、代表取締役社長に就任します。2008 年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を立ち上げました。
自分自身が取り込んだものを、どう活かすべきか。また、それを成果にできる人はどういう人なのでしょうか。 生命保険業界に革命を起こしたライフネット生命を引っ張ってきたのが、定年退職後に起業した出口治明でした。会社には有能な人材が集まり、商品性や話題性で、業界内の注目の的となっていきます。
そんなライフネット生命の基盤となっているのが、出口治明の考え方です。その考え方をどのようにして身につけていったのか、独自の「ものの見方」の能力を伸ばしたのは何か、ということが書いてあります。
- 著者
- 出口治明
- 出版日
- 2010-06-25
ライフネット生命という今までにない形の生命保険会社を起こし、ビジネスの世界で成功した出口治明の考え方をまとめた本です。考え方やものの見方を、いかなる方法で身につけたのかということが書いてあるため、ビジネスマンが仕事に活かすだけでなく、様々な人たちにとって有益な書籍となるでしょう。
この中で出口治明は、知識というものを増やすためには、情報を大量にインプットする必要があると書いています。インプットする知識はタテとヨコの幅を広げて、考えることが大切だということです。ちなみにタテの軸というのは歴史で、ヨコの軸というのは他の国や地域を指しています。
著者は好奇心の赴くままに、色々なことをまず受け入れていくことが重要だと考えているようです。それには自分と違う考え方や感じ方もあるということも、受け入れなければなりません。本書では、その考え方が重要とされているのです。
情報を取り入れたら、自分自身がアウトプットする方法も大切になってきます。アウトプットは、一旦自分の中に取り入れたものを、前述の「タテ」「ヨコ」を意識するところから始まるのです。考え、自分の結論を出して、実践するということが文字通り基礎になります。
インプットとアウトプットが出来ることを前提に、真のリーダーになる人は、3つの要素を持っていると主張しています。著者の考える3要素とは、展望を持ち、周りの気持を察することができ、皆を引っ張っていけるリーダーシップのこと。
読書家で、各地を飛び回り、この考え方を実践している出口治明の言葉だけに、重みがあるはずです。明日からの指針となる「考え方」だと意識できるでしょう。巻末に著者おすすめの本20冊があるので、そちらも参考になります。
歴史を知ることで、見えてくるものがあります。世界史を点として捉えるのではなく、点どうしが繋がり、流れているのだと実感させてくれる本です。またその流れは自然で、分かりやすく整理されています。
著者は、日本史と世界史、それぞれ独立して捉えるのではなく、世界史という大きな枠組みの中での日本史を考察することが大切だと主張。世界と日本はバラバラであるのではなく、繋がっているということに改めて気付かされる本です。
- 著者
- 出口 治明
- 出版日
- 2014-02-22
あとがきによると著者は、この本を書く時にあらためて読んだ本はないと、断言しています。事実こういう本で必ずあるはずの、巻末の参考文献というページが存在しません。いかに著者の歴史の知識が豊富かというのが分かります。
歴史といえば一般的に、突出した事件などを点で捉えるばかりで、意識して考えようとしても、なかなか線という形では見えにくい場合があるでしょう。実際、年代と出来事を知っていれば、なぜその出来事が起こったのかという背景には、あまり光が当たらないこともしばしば。
しかし世の中の出来事は様々な思惑、条件が重なって起こるのも事実です。本書からは、すべては繋がっており、歴史的な事件が起こるのも、ある意味、当然の出来事なのだということが分かるでしょう。
本書は全部で10章で分けられていますが、それぞれ独立した読み物として読めるので、興味の湧いた章から読んでみるのも良いと思います。著書が独自の視点で見つめた、歴史は教科書に載っているものとは、一味も二味も違っています。
世界史を学んだことのある人はもちろん、これから学ぼうとする人にとっても、必読の本と言えるでしょう。
たとえ知識があったとしても、それを自分のものにしていなければ教養と呼べません。一方的にインプットだけされたものは、知っているというだけで、終わってしまいます。自分でしっかりと考え、誰のものでもない自分自身の言葉でアウトプットできることこそ、教養と呼べるのです。
出口治明が今まで磨いてきた「教養」を身につけるための方法や、物事の捉え方をまとめた本になります。
- 著者
- 出口 治明
- 出版日
- 2015-09-30
知識をたくさん身につければ、それが教養になると思ってはいませんか?確かに、誰も知らないことを知っていることは、優越感を得られるでしょう。それでも、点としての知識では、広がりがまったくないのです。
この本のテーマである教養ですが、出口治明が考える教養の意味や、教養を身につけることの大切さ、教養の身につけ方が、独自の視点で書かれています。
著者の思うところの教養というのは、自分の持っている知識や情報をもとにして、自分の頭で考えられる、判断できることだとあります。例えば、複数のバラバラな知識は、そのままではただ知っているということにしか過ぎません。それを自分の頭で考えて、因果関係や影響などを加味して考察することで初めて、教養と呼べるというのです。
物事を考える時には、歴史のタテ軸と地理的なヨコ軸で捉える方法や、国語ではなく算数で捉えるというのは、具体例も出ていて説得力があるでしょう。この他にも、いまさら遅いというのは、サボるための言い訳に過ぎず、始めようと思った時が1番若いという主旨の記述が出てきます。この言葉で俄然やる気が出てくる人も多いでしょう。
出口治明は本を読むときには、読み飛ばすことなく、きちんと最初から読むそうです。本書は、5つの章に分かれていて、それぞれ本を読む時に、著者が大切にしていることが書かれています。5つの章の内訳は次の通り。1章は、本というものの本質、2章は本を選ぶ、3章は本と向き合う、4章は本を使う、5章は本を愛するということについて書かれています。
出口治明自身が大変な読書家なのは周知の事実。その読書家が、どのように本を読んできて、その知識を「考える」ということに使ってきたのかという方法論が分かる書籍と言えるでしょう。
- 著者
- 出口 治明
- 出版日
- 2014-09-11
出口治明は本好きで有名な方ですが、読書から身につく教養というのは、全体を10とした場合の5ということでした。つまり半分の教養は本から身につけたというのです。さすがにどんなに忙しくても、読書を習慣化して、一週間に5冊の本を読む人は違います。
著者のように幼い頃から本に親しみ、本を愛することが出来る人もいるでしょう。反対にどんな本を読んでいいのかすら、全くわからない人もいます。そういう人が、まず読み始めるのに最適な本が、紹介されているのがこの本です。
本書の中で、ビジネス書を10冊読むのなら、古典を1冊読んだほうが良い、という内容の話が出てきます。古典というからには、長い年月の間に、変わることなく読み継がれてきたということ。つまりは、それだけ長い間人を引きつけてきた何かがあるということになります。
その長い年月絶えることなく読み続けられるには、優れた本でないと難しいはずです。それだけに古典の作品には意味があると主張しています。
ただし、著者は本書の最初の方で、「自分の価値観を押し付ける気持は毛頭ない」と話しています。それゆえに良いと思うところを参考にして、自分なりの読書スタイルを作っていくようにするための書籍とも取れるかもしれません。
『本の「使い方」』というタイトル通り、たくさんの本が掲載されています。読書案内としても、楽しめる内容です。
20代という若い世代に向けた、お金にまつわることをどう対処していくかという、指南書です。全体を見ると5つに分かれていて、それぞれのテーマに沿って、分かりやすく書かれてあります。また一般の人が疑問に思っていることにも回答。
まず1講ではお金というものが、どういうものであるかを知る、ということから始まります。2講ではお金の使い方、3講では貯め方、4講では殖やし方、5講で稼ぎ方、と具体的なお金との付き合い方が書いてあり、実用書としても優秀です。
- 著者
- 出口 治明
- 出版日
- 2016-01-13
漠然とお金に関して不安になるのは、お金をよく分かっていないから、ということに尽きます。著者は経歴からして、お金に関してプロと呼べる人ですが、本書の中で専門的な話はほとんどありません。また最近のマネー本に見られる、株式投資やFXなど金融商品をさも儲かるかのように喧伝しないところも良いです。
その他にも、お金に関する些細な、それでいて大事なこともロジックとファクトで答えています。例えば、若い世代は年金をもらえるのかとか、ブラック企業でも長く勤めた方がよいのか、などにズバリと答えを出してくれています。
少子高齢化や、子どもの貧困問題、これからの働き方と稼ぎ方、女性労働力をいかに確保するか、などといった問題にも、著者の持論で解説。読み物としても、インタビュー形式で話が進み、非常に読みやすいです。
また若い人に向けて書いてあるため、簡潔で平易な文章で、専門の知識を必要としません。お金にまつわることで、不安のある人にぜひ読んでもらいたい書籍です。
読書家としても有名な、ライフネット生命保険株式会社の創業者、出口治明の本の紹介でしたが、ここで紹介した以外の本も多く書いています。これを機会に読書によって教養を身につけることをしてみるのも良いのではないでしょうか。