夏になると、なぜだか学生生活を思い出してしまいますよね。当時は何が青春かなんて分からなかったけど、大人になって振り返ってみて初めて分かる青春。今回は、暑い夏にぴったりの青春小説を紹介します。
バクステ外神田一丁目の志賀優里香です。街ゆく人の洋服が長袖から半袖になって、もうすっかり夏なのだと実感させられます。
私は暑いのが苦手で、涼しい部屋でアイスを食べたり本を読んだり、あまり活発に外出はしないのですが、それでも海へ行った話や旅行のことを聞くと、羨ましいなあと思ったりします。
夏になると、なぜだか学生時代を思い出してしまうのは私だけでしょうか? あの、何に対しても無敵で、何でも出来る気がして、毎日がキラキラしていて。
あの頃は、今が青春だなんて分からず、ただその時間を楽しんでいた気がします。もっと大事に過ごしていれば、何か違ったのでしょうか。でも、こうして振り返ってみて初めて、青春というものを実感できるのだと思います。
今回は、夏にぴったりな青春小説を3冊紹介させて頂きます。いま青春を過ごしている人、これから青春を迎える人、青春が思い出になった人、全ての方にオススメしたいと思います。
これは、明るい小説が読みたいと話した時に、知り合いの方からすすめられた中の1冊でした。夏休み、学校の屋上で自殺しようとしていた高1の夏海。そこへ現れた少年、朗。
死んだつもりで力を貸して欲しいと言われ、遠い海を目指して自転車で走って行く。一緒に過ごしていくうちに、お互いの存在が生きる理由となっていった。けれど目の前に海が見えた時、朗の体に異変が起こってしまう。夏休みに無謀な旅に出るなんて青春そのもので、とても爽やかだと思いました。誰かに愛されたい、誰かに必要とされたい、という夏海の気持ちにすごく共感します。
自分のためだけでなく、誰かのために生きるというのも、1つの生き方として美しいのではないかと考えました。とても分かりやすいストーリーなので、難しいお話はちょっと……という方にオススメしたいです。
そして特に、いま青春を過ごしている方に読んで頂きたい物語です。
- 著者
- 沖田 円
- 出版日
- 2016-07-28
豊島ミホさんの別の小説を読み、他の作品もと思って読んだ作品です。保健室登校の女の子とのぎこちない友情や、好きな子が親友と上手くいきそうなのを見守る野球部員など、田んぼと山に囲まれた田舎の県立高校を舞台に、様々な生徒に焦点を当てた連作短編小説です。
私はこの中で、「雪の降る町、春に散る花」が好きです。大好きな彼とようやく付き合えたけれど、進路を選んだ結果、お別れをすることになってしまった女の子の物語。
高校生活の、何気ない日常を切り取っていて、誰もが当てはまってしまうストーリーだと思います。あの頃の日常って、こんなにも輝いていたんだという懐かしさと共に、羨ましさも感じました。
- 著者
- 豊島 ミホ
- 出版日
この本は、タイトルと表紙絵に惹かれて読んだ本です。とても軽い気持ちで読み進めたら、想像と全く違う内容に驚きました。
父親の転勤が多く、転校を繰り返す中二の「僕」は、4回目の転校先で、クラスメイトから「キヨコ」と呼ばれている学校一の美少女に出会う。彼女はなぜか、クラス中から無視をされていた。
そんなキヨコが気になり、新たな転校生の高野と共に尾行してみると、彼女は謝礼付きのモニター巡りをしていた。向日葵のように強い彼女には、どんな秘密が隠されているのか。なぜ、「私を知らないで」と言っているのか。
普通ってなんだろうと改めて考えさせられました。人それぞれ普通の度合いは違い、みんな同じになることはないにしろ、普通を望んでしまう。永遠に答えが出ない問いだと思います。
私たちと同じように、普通を求めてもがくキヨコですが、知っている世界が狭い中学生だからこそ、より不器用でもどかしくて、限界があって。
そこでもがく彼女たちは、ちゃんと青春を謳歌していると感じました。キラキラして楽しいことだけが青春ではないと、思い出させてくれます。
- 著者
- 白河 三兎
- 出版日
- 2012-10-19