漫画『将棋めし』の3つの魅力!面白さをネタバレ考察!

更新:2021.11.26

ヒロインはグラマーで美人なプロ棋士の峠なゆた。将棋も強いけれど食いしん坊で、関西弁を話します。毎回の対局で、なゆたが選ぶ必殺の「将棋めし」は、どう勝敗に影響するのでしょうか。将棋とグルメがコラボした新感覚の漫画を紹介します!

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漫画『将棋めし』の魅力をネタバレ紹介!

作者は自身も将棋愛好家だという、松本渚。本作は前代未聞の「将棋と飯(めし)と美女」というテーマで描かれます。しかし将棋もめしも、実は作法は同じ。礼にはじまり、礼に終わるのです。

対局シーンの緊迫感にハラハラしながらも、棋士達が選ぶ将棋めしの数々に「おいしそう!」とお腹がすいてしまうこと間違いなし。注目すべきは、将棋会館での対局中に出前注文するお店が、全て実在するということ。将棋もグルメも楽しめる、まさに「ノーカロリー、ノー将棋」な作品です。

著者
松本 渚
出版日
2017-01-23

 

将棋に詳しくない人でも理解できるような平易な書き方で、あくまでもグルメ主体なので読みやすく、とはいえ将棋が好きな人も十分楽しめる内容です。

ヒロインのなゆたは、グラマーで美人な女性プロ棋士。食いしん坊で、チャームポイントは関西弁です。2017年現在はまだ実在しない「女性プロ棋士でタイトルホルダー」という設定で、これからの活躍に期待がもてます。

なゆたの、対局の時と食事の時の表情の違いも見どころです。対局の時には真剣そのものですが、食事の時には打って変わってくるくると表情を豊かに変え、目が離せません。

男だらけの将棋の世界で日々奮闘するなゆたと、ライバル達との真剣勝負を描くと同時に、対局の合間に食べる食事選びと勝敗への影響を追求した作品です。なゆたがその日の対局にふさわしい「これだ!」という勝負めしを選ぶ様子がコミカルに描かれています。

ニュータイプのヒロインにキュンキュンすること間違いなし。2017年8月からは、内田理央主演でドラマ化も予定されています。


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漫画『将棋めし』のあらすじをご紹介!

プロ棋士の峠なゆた六段が、玉座に挑戦して、フルセットで最終局を迎えるところから第1話が始まります。現在の玉座はなゆたと同期の宝山貴善です。

なゆたは、対局中の休憩時間に食べる食事選びがいかに大切かを知っていました。座りながら、長時間の頭脳労働は、見た目からは計り知れないほどのカロリーを必要とするからです。

ましてや、最善の手を選び続けようとするならばなおのことです。対局が長期化すればするほど、エネルギー源である「めし選び」は、勝敗を左右すると言っても過言ではありません。

この日も対局が長期戦になると見越したなゆたは「夕食どうしようかな。」と考えます。ライバル棋士と同じものは選びたくないけれど、今回の対局に勝てるめしを選びたいのです。

縁起がよく、スタミナもついて、しかも美味しい至高の「将棋めし」を選ぶために、彼女は毎回真剣に悩みます。

魅力1:将棋はごはんも勝負だ!

魅力1:将棋はごはんも勝負だ!

出典:『将棋めし』1巻

将棋の対局は、頭脳スポーツと形容されることもあるほどで、見た目からは計り知れない膨大なエネルギーを必要とします。そして将棋は終盤戦が大切なので、その時に燃料切れで頭がまわらなくならないよう、ちゃんと栄養を考えて食べるのがプロの心得なのです。タイトル戦では糖質の補給を行うため、午前と午後におやつも食べます。

つまり、棋士達にとって対局中の食事とは、戦を勝ち抜くための必須アイテム!食事が勝負の命運を握っていると言っても過言ではないのです。

なゆたは竜王戦の出場権をかけたトーナメントでA級棋士の久米島と対局します。彼はタイトル棋帝を3期連続で防衛中の実力者。なゆたは身の引き締まる思いです。

この日の久米島のランチのチョイスは「鍋焼きうどん」でした。食が細い彼なら、ざるそばや細巻き程度かと思っていたのに、なゆたは肩透かしを食らいます。聞けば、最近体力が落ちてきて筋トレをはじめたらお腹がすくようになったとのことでした。

対局も白熱してきて、いよいよ夕食の時間になります。最近「夕食研究」をしているという久米島は、

「からあげ定食、からあげ三個追加で!」(『将棋めし』1巻から引用)

と注文します。ランチの「鍋焼きうどん」に続いて、いつもの彼とは別人のような注文です。久米島のパワフル過ぎるチョイスにビビるなゆた。対戦相手と同じものは頼まないと決めているのですが、今回は思わず乗っかってしまいます。

からあげ定食はとても美味しく、追加の3個も意外にぺろりと平らげてしまいます。大満足のなゆたですが、眠くなってきました。さすがに今回はミスチョイスでしょうか。

しかし中終盤になって急に元気がわいてきます。肉は消化が遅いので、パワーが出るのは食後少し時間がたってからだったのです。からあげでパワーアップしたなゆたですが、それは目の前の久米島とて同じこと。いや、先に知っていた彼の方が有利に違いありません。

その結果、先んじて研究を重ねていた久米島に完全敗退してしまいます。まさに、将棋でもめしでも負けてしまいました……。このように、対局中の「めし選び」は本当に勝敗の行方を左右するのです。

 

魅力2:主人公が可愛い!

魅力2:主人公が可愛い!

出典:『将棋めし』1巻

なゆたは、対局中は真剣そのものですが、休憩中のごはんの話になると、急に天真爛漫な子供のような顔になり、非常にかわいいのです。

玉座のタイトルホルダーのなゆたに、宝山七段が挑戦している対局中、出前の注文時間になり、彼女はうな重の「梅」を注文します。しかし対戦相手の宝山がなんと「竹」を注文!そしてまわりの男性棋士達も、ちらりとなゆたを見つつ、やはり「竹」を注文したのです。

「小娘ごときに負けへんってか!?」(『将棋めし』1巻から引用)

と思ったなゆたは追加料金の千円札を片手に、「松」に変更。ムキになる彼女がかわいいですよね。うなぎが3枚のった美味しいうな重を満喫して

「お腹いっぱいや~……ここでひと眠りできたら最高でしょうな。」(『将棋めし』1巻から引用)

と言う姿も無邪気で、対局中とは思えないほどリラックスしています。

とはいえ、対局が再開すると真剣そのもの。そしてうなぎパワーのおかげで持久戦を制し、見事に勝利を手にするのでした。

魅力3:選び方に人柄が現れる!

魅力3:選び方に人柄が現れる!

 

出典:『将棋めし』1巻

めしの選び方は棋士によって性格が出ます。

玉座宝山に、なゆたが挑戦している玉座戦は、フルセットで最終局を迎えます。そこでなゆたは、なんとどの対局でもカレーしか頼んでいなかったことに気付くのです。それは、宝山がいつも先になゆたの好きなものを選んでしまうからでした。

対局者と同じものを頼みたくないというポリシーをもつなゆたは、最終戦で2択を用意します。縁起がよくてスタミナもつく「カツ丼」か「天丼」です。宝山がどちらかを選んでも、もう一方を頼めばよく、これで完璧と思いきや……彼がまさかの「カツ丼」と「天丼」の両方を注文するという暴挙に出ます。棋士は見た目はスリムな人が多いですが、頭脳戦で膨大なエネルギーを消費するため、健啖家が多いのです。

「まじか。こいつ。丼の面取りとかあるかふつう。桂馬かお前は!いやまあ、確かに昔から変化球の多い人やったけど、まさかここまでは……。」(『将棋めし』1巻から引用)

なゆたは急いで別のメニューを探しますが、丼物の魅力に取りつかれてしまっているがために、迷ってしまい、結局今までと同じく、カレーを選んでトホホ……となります。
 

ところがこのカレー、辛口を選んだのがよかったのか、ものすごく美味しいのです。トッピングにも個性があって飽きずに食べられるものでした。パワーのついたなゆたはタイトル戦を制し、玉座の称号を獲得。「全局夕食カレー」でタイトルホルダーになりました。

しかしなゆたは、宝山のまさかの丼の面取りに、ひと筋縄ではいかない男だと痛感します。マイペースな彼は、別の対局シーンでは、パフェの後にハンバーグを食べていることもありました。

めしの選び方は、人それぞれですね。

 

本作は、なゆたや対戦相手が選ぶ必殺の「将棋めし」がどう勝負に影響するのかが見どころです!対局シーンは丁寧に描かれていて、初心者にもわかりやすく、それでいて将棋の知識もつきます。グルメが好きな人にも将棋が好きな人にもおすすめできる作品です。

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