城平京のおすすめ作品5選!小説や原作漫画など

更新:2017.8.8

小説、漫画の原作者とジャンルを問わずに活躍している城平京。自由な魅力がたっぷりと詰まった5作品を紹介します。

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変幻自在の作家、城平京

城平京は鮎川哲也賞の最終候補作となった『名探偵に薔薇を』で長編ミステリーデビューした小説家です。漫画『スパイラル 〜推理の絆〜』シリーズの原作者として成功を収め、さらには『虚構推理 鋼人七瀬』では本格ミステリ大賞を受賞しました。

作品はSFからミステリー、ホラーまで幅広く、各ジャンルを縦横無尽に行き来するような不思議な作風が魅力です。動物が喋ったり、妖怪が出てきたり、にわかには信じがたい設定が多く登場しますが、それらを取り巻く環境をできるだけ現実的に描くことによって感情移入しやすいような工夫がなされています。

理屈云々よりも純粋な楽しさがたくさん詰まった作品が多いので、気軽に読み始められるのも特徴です。

城平京のデビュー作!ファンタジー要素たっぷりの王道ミステリー

突如「メルヘン小人地獄」という童話がメディアに送られてきました。毒薬の材料を得るために小人を殺していた博士が死んだ後、生き残った小人達は博士への恨みを晴らすために三人の人間を殺すという不気味な内容です。

現実でも殺人事件が起こります。童話の中で殺された三人の人間になぞらえた方法で次々と起こる殺人と、童話にも出てきた「小人地獄」という無味無臭で体内に痕跡が残らない毒薬が使われているのです。

そして名探偵が現れ、完璧な仮説と明快な検証で事件の真相に迫ります。

著者
城平 京
出版日

前半の「メルヘン小人地獄」を巡る見立て殺人、後半は毒薬「小人地獄」に関連した新たな事件、といった2部構成になっていますが、どちらもミステリーでありながら少しファンタジーを感じる不思議なお話です。

特に後半の設定は、無味無臭の毒薬が大量に盛られた殺人事件の動機を推理するという一風変わったもの。致死量より多く混入された毒にはいったいどんな意味があったのか……無味無臭で発見されないという、アンチミステリー的要素が新しい作品です。

転校生の青春と、ほろ苦い田舎の真実

田舎に転校してきた文季は、村を治める一族の娘・真夏と出会います。彼女の家の庭には土地の神様だというカエルがいました。

文季が不思議な喋るカエルから頼まれたのは、なぜか相撲のコーチ……小柄ながら理論と戦術で勝ち抜いてきた相撲経験者の文季は、カエルに相撲を教えることになりました。

そして隣村では殺人事件が発生。田舎に伝わる伝承と事件は関係があるのか、それとも偶然か。静かなはずの田舎の村では次々と不思議なことが起こります。

著者
城平 京
出版日
2016-01-19

城平京の本作にはいろんな要素が入っていて、非常にジャンル分けが難しいです。

まずは、転校してきた男の子が女の子と出会うという、青春小説といえるでしょう。体格に恵まれずにコンプレックスを持つ文季と170センチの真夏はバランスが良いコンビになっていて、全編を通して二人の関係が気になります。

そして田舎を舞台にした伝奇小説であり、相撲の描写は非常に熱くて手に汗握るスポーツ小説ともいえるのです。さらに殺人事件が起きればミステリーにもなります。

最後には全てが綺麗にまとめられているのが驚きの、不思議な名作です。

究極の後付け、城平京が描くミステリー風怪奇小説

鉄骨に潰されて死んだアイドルが亡霊・鋼人七瀬となり、鉄骨を持って人々を襲う……そんな都市伝説が日本中に広まり、実際に事件が起きます。

鋼人七瀬は実在し、大勢の人間が「いるはずだ」と考えているから現実になった怪物です。鋼人七瀬を消すためには人々が「いるわけない」と考えるようになることが必要でした。

女性警官の弓原紗季と巫女の岩永琴子、そして特異能力を持つ桜川九郎は事件を論理的に解決したように見せかけ、人々の頭から鋼人七瀬を消すために協力して都市伝説を追います。

著者
城平 京
出版日
2015-12-15

インターネットを根城にした現代の都市伝説が題材になっており、伝奇小説としてのリアリティを大切にしていますが、ミステリーとしては異色です。通常のミステリーは「怪奇現象に見せかけて人間の仕業」というパターンですが、本作は「実在する怪奇を人間の仕業に見せかける」という構成になっています。

弓原達の行為は捏造であって本来の真相から遠ざかるもの……それでも論理の過程が綺麗であれば新たなミステリーのジャンルとして成立していることを証明する、意欲的な作品です。

 


『虚構推理』の漫画版について紹介した<『虚構推理』5分でわかるあらすじと見どころ!怪異のトラブルを嘘で解決?!【9巻まで、ネタバレあり】>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

城平京が放つ、上質な謎解きファンタジー

主人公の鳴海歩の兄・清隆は「ブレードチルドレンの謎を追う」とだけ言い残して、失踪していました。残された歩は何の手掛かりもなく、ただ日々を過ごすばかり。

ある日、歩が通う学校で殺人事件が起こります。容疑者にされてしまった歩でしたが、抜群の推理力によって真犯人を言い当て、見事に事件を解決します。

しかし、それは歩が巻き込まれていく新たな事件の幕開けでした。真犯人の口から「ブレードチルドレン」という単語が飛び出してきて……。「ブレードチルドレン」とはいったい何なのか。大きな謎が立ちはだかります。

著者
城平 京
出版日

シリーズ序盤は推理、以降はよりスケールが大きい陰謀との戦いを描いています。バトル物に移行した後も、人間の心理の裏を突く着眼点と論理的な展開は健在です。

全体を通して提示された謎や一見すると都合がいいような展開も、しっかりと理由付けがされているので、違和感はありません。

ミステリー風味の味付けがされつつも、主人公は主人公らしく、王道である少年の冒険が楽しめる確かな作品です。

衝撃的なストーリー展開だらけの話題作

城平京が原作を手がける本作。転校生の天賀井悠子の兄は殺人事件の容疑者となり、実家の座敷牢に入れられています。そんな兄の無実を信じる悠子は、事件と関わりが深い常伊市を調べるためにやってきました。

常伊市には「バランバラン」と「タタイタタイ」という妖怪がいるとされており、それが兄の事件の真犯人に関係していることを掴んだ天賀井は、クラスメイトの真木と担任の西陣の協力を仰ぎます。

天賀井が勧められて入部したのは、郷土史維持管理部。目的の妖怪に関する資料を見ることができましたが、新たな問題が浮かび上がります。

著者
["城平 京", "水野 英多"]
出版日
2016-01-22

究極に空気が読めない自己紹介をした天賀井さんがだんだん普通に見えてくるほど、キャラクターの個性が強い作品です。

題材になった座敷牢と妖怪の組み合わせというのは古典的なホラーやミステリーを想像させますが、本作はそんな枠には収まらない自由奔放さがあります。

ジャンル分けできないような奔放さがもたらすものでは、何より先の展開が全く予想がつかないワクワク感が大きいでしょう。思わず「えっ?」と声に出して言ってしまう、そんな体験ができます。

不思議な空気感を持った作品揃いの城平京の作品はどれも魅力に溢れています。作品によって全く色が違うので、いろんな楽しみ方ができます。