バックパッカー必見!旅を10倍楽しくする本

更新:2021.12.6

初めての海外旅行は22歳のときだ。当時にしては到底受け入れがたい辛い出来事があって、ショック療法でも何でもいいから、立ち直るきっかけがほしくて旅に出た。行き先は情勢不安定な中東である。 見るもの、食べるもの、文化や宗教のすべてが新鮮で、日本でニュースを見て感じていた国の印象とはだいぶ違うことに少なからず衝撃を受けた。もっと自分の目で見てみたい!その衝動に突き動かされて、それからというもの、時間をみつけては好奇心の赴くままに世界中を旅するようになった。

ブックカルテ リンク

旅のトラブルこそ最高の思い出となる

団体行動が得意ではないので、いつもフリープランの一人旅なのだけど、移動中は自分と向き合う時間がたっぷりある。一人旅の場合、何でも自分で決められる自由と引き換えに、一つでも選択を誤ると命を落とすかもしれないという緊張感が伴う。

そして、女一人旅にトラブルは付きもの。それ自体を楽しむ心意気が必要だ。
そんなバックパッカー旅行の数々のトラブルを、抱腹絶倒の軽快な文章で綴ったのが、さくら剛氏の本。電車では絶対に読んではいけない1冊。

 

著者
さくら 剛
出版日
2009-07-24


ネクラで引きこもりのニートが、恋人にフラれて自暴自棄となりインドに行くのだが、詐欺師まがいのインド人に騙され、ぼったくりにあい、激しい下痢に襲われ、七転八倒する様子がなんとも滑稽。

インド式のトイレにならい、必死でやり方を真似てみるくだりは、笑い過ぎて窒息死しそうになった。シリーズもので、何冊も出ているので、ぜひ順番に読んでもらいたい。

子どもと一緒に広い世界の話をしよう

密かな野望は、いつか息子を連れて世界を旅すること。世界に興味を持つきっかけになったらいいなぁと思って、『新・世界図絵』を息子にプレゼントした。

 

著者
アレクサンドラ ミジェリンスカ ダニエル ミジェリンスキ
出版日
2014-09-10


世界地図ならぬ、世界絵図なのだ。その国で有名な食べ物、偉人、歴史的建造物、動物や植物が、たくさんの美しいイラストで描かれていて、ずっと眺めていたくなる。

いつか子どもが何かで悩むようなことがあったら、世界は広くて、あなたは自由なんだと教えてあげたい。

バックパッカー’s バイブル

転職をした直後に1ヵ月お休みがとれたので、モロッコからジブラルタル海峡を渡ってスペインに入国して、イタリアに抜ける長旅をした。旅のお供に選んだのは『深夜特急』全巻。iPhoneに落として持参し、寝る前のベッドの中、移動中のバスの中などで少しずつ読み進めた。

ちょうどマドリッドに到着したとき、カスコロ広場の坂道で開かれる蚤の市のくだりを読んでいて、本の内容と比較しながらもあちこちの屋台を見てまわったが、もう何十年も前に書かれた本の内容と重なる部分があってドキドキした。

 

著者
沢木 耕太郎
出版日
1994-05-30

沢木耕太郎の本を読んでいると、自分がその国を彷徨い歩いているような既視感を覚える。その土地の独特な匂いや古宿の汗くささ、貧しさの中でも逞しく生活する人たちの様子や、裏社会でしか生きられない人たちの悲しみ、街の喧噪に食欲をそそる食事の描写まで、人間の五感をフルに刺激しながらも、旅を通して「生きるとは何か」を深く考えさせられる。

『深夜特急』は、著者が旅をしながら書き上げたのだと思っていたが、帰国後10年経ってから執筆したのだと知って驚いた。『深夜特急』執筆の舞台裏について書かれたエッセイがこちら。

 

著者
沢木 耕太郎
出版日
2011-04-26


訪れた先で起こった出来事やそこで感じたこと、食べた物などの細かな描写は、旅中に家計簿代わりにメモしていたノートや旅先から友人に宛てた手紙を元に書き起こされたのだとか。ノンフィクションライターの意地とか底力を思い知らされる。

生ハムメロンに恋をして

『世界の市場』という本の中で "世界一おいしい市場" と紹介されていて、勇んで向かったのがマドリッドのサン・ミゲル市場。新鮮な魚介類から生ハム、パエリア、スイーツと、何を食べても最高に美味しかった。生ガキやお刺身も恐る恐るパクリ。2日連続通い詰めてしまったほどだ。

この本の著者は、世界70ヵ国以上を巡った旅好きで市場フリークの夫婦で、世界の市場の見所を写真付きで紹介。市場に漂う人々の熱気や美味しそうな匂いまでもが伝わってきて、現地を旅してみたくなる。

 

著者
松岡 絵里
出版日
2010-03-26

蚤の市で掘り出し物を見つける楽しさを閉じ込めた本

また蚤の市で掘り出し物を探すのが大好きな人にぜひとも読んでもらいたいのが、大阪にある東欧雑貨と喫茶店のオーナーが書いたこの本。
蚤の市で古くてカワイイ物が混沌として売られている雑多な様子や、そこから自分だけのお気に入りの物を発掘する喜び、人との触合い、旅の高揚感など、1ミリの妥協もなく本の隅々までカワイイが詰め込まれている。

 

著者
チャルカ
出版日
著者
チャルカ
出版日
2013-07-25

旅人そのものをライフスタイルにしている高橋歩氏の本

家族で4年間もかけて世界中を点々としながら、地球で遊び、世界中の人たちを先生として子どもたちに学ばせるという独自の子育てをしている高橋歩氏。もうこの世界では有名なので、あえて説明するまでもないとは思うけれども、彼の出す本の醍醐味はなんと言っても美しい写真と元気が出てくる言葉。
あ、私も来週から行っちゃおうかな、という気分にさせてもらえる。

旅に出ると、世捨て人のような人にも出会うし、根無し草となって世界を放浪し続けてしまう残念な大人たちもたくさんいる。だから、手放しに自分探しの旅に出ればいいだなんて軽々しいことは言えないけれど、でも、自分が生活している狭いコミュニティの中のちっぽけな出来事で悩んで、心を閉ざしてしまうくらいだったら、いっそ自分と向き合うために日本を出て心を解放させてあげるのも大事だと思うのだ。

 

著者
出版日
2015-01-20
著者
出版日
2014-10-25


年に1度くらい、自分とじっくり向き合ったり、家族とゆっくりした時間を過ごすために日本を離れてみると、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれない。

あなたらしい旅のスタイルを見つけて、非日常の中で楽しむ読書の醍醐味を味わってみませんか?

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