ファーブルの意外な事実6つ!「昆虫記」を書いた昆虫行動学の先駆者を知る本

更新:2017.8.3

子供の頃、『ファーブル昆虫記』をワクワクしながら読んだ人も多いのではないでしょうか?彼は昆虫研究者としての先駆者でした。昆虫の世界を開拓した彼の意外なエビソードとともに彼について紹介していきます。

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ファーブルとは?

「昆虫記」で良く知られるジャン・アンリ・ファーブルは、1923年フランスで生まれました。彼が子供の頃、家族はとても貧しく、一時期祖父の家に預けられ、生活を送ることになります。祖父の家は自然が豊かな環境にありました。

その時から彼は昆虫に興味を抱き始めます。祖父の家で生活を送ったことが、彼の将来を大きく変えるターニングポイントとなったのです。

貧しかったとはいえ、両親は息子が勉強することに理解を示していたようです。両親の元に帰り学校に通い始めたファーブルですが、両親の営むカフェが倒産するという事態に。彼も、肉体労働を余儀なくされますが、それでも学問に励むという学生生活を送っていました。

彼は努力の結果、学校の教師になることができました。彼は教師として学校で教え、数学者、物理学者としての研究を続ける一方で昆虫の研究にも没頭していきます。

その後、教師をやめ、昆虫の研究と執筆活動に専念しました。彼の書いた本は、そのストーリー性だけでなく、繊細な絵に定評があります。熱心な昆虫学者だった彼は庭に数々の種類の木々を取り寄せ、研究に励んだのです。こうして彼は昆虫の研究の先駆者となりました。

今回は、そんな彼の生涯が分かる本をご紹介します。大人になると昔好きだった昆虫に触れなくなった、という人もいるでしょう。現代の日本の子供たちは、昔に比べて自然の昆虫に触れる機会が、圧倒的に少ないようです。昆虫を触るのが怖い、という子も増えてきています。ファーブルの本を読んで、昆虫の魅力について大人も子供も見直してみましょう。

ファーブルの意外な事実6つ

ファーブルは昆虫の研究者としての先駆者ですが、それ以外にも他の一面がありました。あまり知られていない彼のエピソードに迫ります。

1:詩人であり歌手でもあった

教師、昆虫の研究者としては知られていますが、実は彼は詩人でもあり、歌手でもあったのです。彼が生きた時代(19世紀のフランス)ではオック語と呼ばれるフランスの方言が無くなりつつありました。これに反対した彼は、オック語の歌や詩を書くことでオック語を守ろうとします。

そのことが、『昆虫記』の表現にも影響を与えていようです。その中で使われている表現は、「美しいものが多く、単なる研究本とは言えない」と評価を受けているのも、驚くには値しません。彼が昆虫記を書く上で必要な、執筆の技術や感性は、このようにして磨かれていったのです。

2:「うるさいから」という理由で小鳥を撃ち落としていた

昆虫が大好きだったファーブルは動物を愛しているイメージがあるでしょう。実は、「うるさいから」という理由で、池にいるカエルを全部すくったり、鳥を撃ち落としたりしていました。特に狩猟が大好きで、ひばりを撃ち落としていたとも言われています。

撃ち落とした鳥は、彼の解剖実験に利用されていました。どんな食べ物を食べていたのかなど、解剖から調査していたのだそうです。のちに、「研究のため」と言い訳できるとはいえ、やりすぎたと反省し、撃ち落とすのはやめたという事実もあります。

3:実はのちのファーブルは極貧生活だったわけでなく、本当は使用人を抱えるほどの家に住んでいた

子供時代の極貧生活のイメージがとても強いためか、彼は一生、極貧生活を送ったと信じている人が多いようです。確かに彼は貧しい生活を余儀された時期が長かったのは、事実でした。実際に人生で一度だけ借金をしたこともありました。

それでも最終的に彼が住み、昆虫の研究を続けていた家はとても大きなお屋敷でした。そこにはなんと、使用人まで雇っていたのです。その証拠として、後に彼の2番目の妻になるマリー・ジョセフィーヌも、お屋敷で家政婦として働いていました。

4:日本では有名だけど、実は祖国フランスではあまり知られていないらしい

日本ではかなり有名な研究者であるファーブル。彼の昆虫記を小さい頃に読んだ思い出のある方は、多いのではないでしょうか?彼の昆虫記を読んで初めて、「フンコロガシという昆虫がいることを知った」という子供達も、多いはずです。

彼の人気は日本だけでなく、中国、ロシアなどの各地にも広がっています。しかし実は彼の祖国フランスでの知名度は、あまり高くないらしいのです。

彼は1910年に、5等のレジオンドヌール勲章を与えられました。また、彼の名を冠した昆虫博物館も存在し、フランスで1つだけある昆虫専門の博物館となっています。それなのに「ファーブルって誰だっけ?」というフランス人が多くいるのが現実です。

5:教師をしていたが、教会で研究発表したことが原因で解雇された

多大な努力を払ったファーブルは、小学校教員の資格を手にしました。教師として、また数学者、物理学者として、最後には博物館の館長として働きます。しかし、彼はふとしたことがきっかけで解雇されてしまうのです。

それは、教会で「おしべとめしべ」についての講義を行なったからだというものでした。その時の出席者のほとんどは女性だったと言われています。女性の前でそのような話をするのは適切でないと、判断されてしまったのです。彼に対する嫉妬も原因だったという一説もあります。

彼は長年働いた教員という仕事を、急に辞めることになってしまいました。その後彼は大好きな昆虫の研究と、昆虫記の執筆に専念していきます。もし解雇がなかったら、彼の昆虫記はなかったかもしれませんね。

6:進化論を批判していたが、ダーウィンとは交友関係にあった

進化論で知られるダーウィンと交友があり、手紙をやりとりするほどの仲でした。ダーウィンはファーブルについて、素晴らしい観察者だと褒めています。しかし、彼らがどれだけ仲が良かったとはいえ、研究に対する考えは一致していたわけではありません。

ダーウィンの進化論をファーブルは否定しています。当時ダーウィンの進化論に反対する人は、感情に任せただ反対していた人がほとんどでしたが、彼の否定は冷静なものでした。

彼は昆虫を研究した結果に基づき、進化はあり得ないという結論に至っていたのです。そのような彼の考えは、彼が執筆した「昆虫記」の「ハチの話」の中に、はっきりと記述されています。

奥本大三郎の素晴らしい訳による、ファーブル昆虫記完訳本!

「昆虫記」を、奥本大三郎がわかりやすく訳した本書。ファーブルが最も大好きだったと言われるフンコロガシのカラフルな表紙が印象的です。文庫本も出ているので、持ち歩きにも便利です。気軽に読むことができますね。

著者
ジャン=アンリ・ファーブル
出版日
2005-11-25

フランス文学者であり、虫についての多くの本を出版している、奥本大三郎の翻訳は、多くの人が楽しく読むことができると定評があります。子供の頃、ファーブル昆虫記を読んだことがあるという人も、自分の子供に読ませたいと思っている方にもおすすめです。本作では、虫の世界が生き生きと描かれています。

字も大きくて見やすく、昆虫の絵のページもたくさん載せられています。そのため、想像力を働かせながら読むことができるのです。この本を翻訳した奥本大三郎による解説もあります。虫について知る人が書いたファーブルの解説は、興味深いものです。大人も子供も楽しむことができるので、シリーズ化して揃えたい本です。

ファーブル先生が、虫の不思議を紹介!楽しい文章とイラストで綴ります

こちらは『ファーブル昆虫記』を小学生向けに分かりやすくした本です。もともと朝日小学生新聞で人気連載されていたシリーズが一冊になりました。分かりやすく書かれた文章とイラストをもとに、昆虫について学んでいくことができます。

著者
["奥本 大三郎", "やましたこうへい"]
出版日
2016-06-02

現代の子供達は昆虫を見る機会そのものが、少なくなっているといいます。その影響か虫を怖がり、触ることができない子供達も、増えているようです。この本は、分かりやすい文章と、イラストで綴られています。昆虫嫌いの子供達も、怖がらずに昆虫の素晴らしさについて学ぶことができます。

右半分のページが文章(ふりがな入り)、そして左半分のページが漫画という構成です。読書は苦手という子供達でも楽しんで読める本です。子供だけでなく、大人が読んでも新しい発見あります。

親子で一緒に読書の時間を楽しむことも出来るでしょう。虫嫌いだった子供が、この本を読み終わる頃には、虫が大好きな虫博士になっているかもしれませんね。

昆虫記を書いたファーブルってどんな人だったの?

「世界の偉人コミック」シリーズは、学校や私立図書館で、置かれているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?ファーブルは一体どんな人だったのか、漫画形式で描かれています。

著者
出版日
1993-03-19

こちらは彼の書いた昆虫記ではなく、彼の生涯そのものに焦点があてられている本です。コミック形式の伝記となっているため、読書は嫌いでも漫画が好きな子供達が、楽しく読み進めていくことができるの本になっています。

極貧生活に耐えながら、必死に勉強を続けた彼の伝記を読んで、今の環境がどれだけありがたいかということに、気づく人も多いのではないでしょうか?子供向けの本ですが、大人も楽しむことができます。『ファーブル昆虫記』と合わせて読みたい本です。

もっと知りたい人にはこちらもオススメ!

津田正夫が執筆した『ファーブル巡礼』の改訂版です。監修の奥本大三郎による注解が各章末に付け加えられているのが、改訂版の大きなポイント。著者である津田正夫が、実際にファーブルが生存していた地を訪れ、彼についてまとめている一冊です。

著者
津田 正夫
出版日

津田正夫は、1970年代に2回にわたりファーブルゆかりの地を訪れました。それを基に、彼がどんな人だったのか、そしてどんな人生を送っていたのかということに焦点を当てて書かれています。現地での体験、調査、インタビューを織り交ぜているので実際に旅行に付いていく気分を味わえます。

ファーブルが住んでいた地域の見取り図や、写真が豊富に載せられているのも特徴です。実際に現地におずれた者だけが書くことのできるリアル感に満ちています。

また、本の監修に携わっている奥本大三郎は「昆虫記」の完訳にも携わっている人物です。ファーブルを愛し、知り尽くした2人がコンビを組み、作り上げた本ということがお分りいただけるのではないでしょうか?ファンにとって、興味深い本になること間違いなしです。

虫好きの人も、虫嫌いの人も、一度は読んでみてもらいたいのが、『ファーブル昆虫記』です。さらに、彼の伝記などを通してどんな人だったのか実際に知ることができれば、昆虫記ももっと面白く読むことができるでしょう。今回ご紹介した4冊の本を読み終わった後は、虫が大好きになっているかもしれません。

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