ひとりでそっと開きたい、静かに寄り添ってくれる本

ひとりでそっと開きたい、静かに寄り添ってくれる本

更新:2021.12.5

みなさんは、本を読むときは、どんなシチュエーションが多いですか? 図書館、電車の中、病院の待合室、公園…いろんな場面があると思いますが、今日ご紹介する本は、ちょっと静かなお部屋で、一人で開いて色々想像を巡らせてみたい本たちです。ワクワクするもの、ほっこりするもの、そしてちょっと切ないもの…今回もお気に入りが見つかりますように!

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―これからふたりは、えんにちにでかけます―

著者
五十嵐 豊子
出版日
1977-04-01
一冊目は今の季節にぴったりなこの本。兄妹は二人で、天神様の縁日へと出かけてゆく、というのが物語の始まりです。

「これからふたりはえんにちにでかけます」の一文以降は、すべて絵で構成された、非常にシンプルな絵本。文字がないゆえに、色々とストーリーを自分の中で膨らませて楽しめる、そんな本です。作中のレトロな雰囲気に、大人は懐かしい気持ちになって、子どもは新鮮な気持ちで、みんなが一緒に楽しめるんじゃないかなぁ…?

まさに無音の本ですが、今にも祭囃子が聞こえてきそう! お祭りの賑やかな様子が絵から伝わってきます。

―クマのぬいぐるみと僕の、ゆるっと気ままな大冒険―

著者
奥川 純一
出版日
ある日、わたしのママが「おわたんが好きそうだから」と、見つけてきてプレゼントしてくれた一冊。

開いてみてびっくり、とにかくかわいい…。ページをめくるごとにクマのぬいぐるみのブラウンが、動物園でゾウ」を見たり、明日の天気をチェックしたり、コーヒーをこぼしたり。あと、なぜかトイレに向かっていったり(ぬいぐるみだよね…?)、なんだか妙に人間っぽくてとぼけた表情の彼。

この本も写真がたくさん―…というか、前述の『えんにち』同様、無音の本なのですが、文章がなくても溢れるブラウンのかわいさにきっとみんなメロメロ間違いなしです!

ちなみにブラウンは、日本のサンアローという有名なぬいぐるみの会社のクマさんなんだとか。オフィシャルサイトもとってもキュートなので、併せてチェックしてみてくださいね!

―誰かの写真を撮ることは、その人の心に赤ちゃんみたいに無垢になって触れるということなの―

著者
ナン・ゴールディン
出版日
わたしはこの写真集を、とても大切に思っています。それゆえ、この連載のお話をいただいた時から、この本をいつ紹介しようかとずっと考えていました。

よく一緒に写真を撮りに行っていた友人が、以前紹介したMark Borthwickと共に教えてくれたのが、このNan Goldinです。彼女の世界観に一気に引き込まれ、すぐにこの本を購入しました。YMOや荒木経惟氏とのコラボレーションで有名な彼女ですが、わたしはこの一冊が特にお気に入りです。男女、ゲイ、彼女の周りの恋人たち、そして彼女自身が被写体となり、愛と寂しさを一冊に纏めた作品。初めて手に取ったときの衝撃は忘れられません。

真っ赤なクロスの部屋、ベッドの上で恋人を見つめる、セルフ・ポートレート。鮮やかな色彩で表現される感情の昂り、そしてその後にやってくる静かな孤独。

著者のGoldinは身近な友人や姉を亡くし、それが写真を撮るきっかけになったとインタビューで答えています。出版元の光琳社も今はもう既に倒産し、なくなってしまっているそうです。そんな様々な背景も含め、この写真集を取り巻くすべてに、儚さを感じるのです。成人図書となっているため、あらうる年代の人におすすめするのが難しいですが、大人のあなたはぜひ手に取ってみて。きっと、静かに寄り添ってくれる一冊になると信じています。

いかがでしたか? 今月はちょっといつもと趣を変えて、隠されたメッセージに想像をめぐらす、そんな本を紹介しました。この先のあなたの、大切な一冊と巡り合うきっかけを作れていたらいいなと、毎月そっと願っています。

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