小さい頃の記憶がふと蘇る本【ハッカドロップス・マイ】

小さい頃の記憶がふと蘇る本【ハッカドロップス・マイ】

更新:2021.12.3

ハッカドロップス・マイさんの連載書評コラム。今回は『子供の隣』、『おとぎ話の忘れ物』、『どんぐり姉妹』、『ちいさいモモちゃん』、『泣く子供』を取り上げます。

愛知県春日井市出身 。大学に進学したものの、在学中に音楽の道を目指し、上京。音楽系の会社でデスクとしてアルバイトをしながら、楽曲制作などを手伝う日々を送る。そんな中、制作現場でプロデューサー・多保孝一氏と出会い、意気投合。ソロプロジェクト、ハッカドロップスがスタート。YAMAHA SG7 を肩にかけ、懐かしさと新鮮さの共存するサウンドで平成の世にハッカ飴を投じるべく活動中 。2016年4月、シングル「衝撃リバイバル」にてメジャーデビューを果たした。 http://www.hakkadrops.net/
泡の子

ハッカドロップスのマイです。

自分が子供の頃には何を考えていただろうと最近よく思うことがある。

印象的な幾つかの出来事を除くとほとんど覚えていないけれど、本を読んでいるとふと思い出すことがある。

こんなことが悲しかったとか嬉しかったとか心細かったとか些細なことである。

今月はそんな本を5冊お勧めします。

子どもの隣り

もし、あのことが悪いことなら、自らが選んだ悪いことというのは、なんとすばらしいことだろう。なぜなら、それはわたしにわたし自身を感じさせてくれたのだから。じんじんする頬を押えて、わたしはそう思った。

周囲に望まれたいい子でいること、望まれなくとも自らその決まりをつくってしまうこともある。

そんな女の子が殻を破る瞬間。

子供の頃の感覚が大人の言葉で再生されている文章だと思いました、とても正確に。

一番繊細なところを立て続けに見せられるので、読んだ人の頭も柔らかくなるんじゃないかって思った。

おとぎ話の忘れ物

小さい頃に読んだおとぎ話、主人公はだいたい一人だったけれどスポットライトが当てられなかったところにも忘れられたおとぎ話があるのです。

樋上公実子さんの絵が美しく残酷で物語の一部みたいにページをめくりました。

おとぎばなしを読んでいた時代の気持ちとその裏にあったであろう物語に思いを馳せながら読んでみてほしいです。

どんぐり姉妹

どんな人も、ちょっとくらいでいいから、子どもの時の自分に会いにいけるといいのにな、と私は思った。

子どもの頃の経験、環境の中で人は育つ。

育ち方がさまざまなように大人になってからの生き方だってそれぞれだ。

決まりきったような方法を押し付ける人がどこにも出てこない、この「どんぐり姉妹」の世界で、どん子とぐり子はゆっくりした速さで変わっていく。

とても安心した気持ちになれた物語です。

ちいさいモモちゃん

昔むかし、実家の本棚に刺さっていたこの本。

たぶん小さい頃に読んだことがあるんだろうなと思ってまた手に取ってみた。

生まれたばかりのモモちゃんの周りの世界は一つ残らずとってもやさしい。

ソフトクリームや人参やジャガイモがお祝いに来たり、お母さんも、お兄ちゃん猫のプーもいるし。

この先いろんなことがあるモモちゃんですが,シリーズの初めである「ちいさいモモちゃん。

とても可愛いお話です。

泣く子供

お寺の中に仲間もみつけたし(それはトイレにぶらさがっている、まるい脱臭剤だった。ピンクや緑の毒々しい色あいが、モノトーンの世界のなかで異様に目立ち、俗世間から来たのだという共通項に強い親近感を抱いた)

江國さんのエッセイを読んでいると少女のような感覚を持った人だなぁと思う。

大人と子供の間には大きな違いがあるように思ってしまうけど、何も境界なんかはなく地続きの一つの存在なのだということをこの本を読んで改めて思います。

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