小さい頃の記憶がふと蘇る本【ハッカドロップス・マイ】

ハッカドロップスのマイです。

自分が子供の頃には何を考えていただろうと最近よく思うことがある。

印象的な幾つかの出来事を除くとほとんど覚えていないけれど、本を読んでいるとふと思い出すことがある。

こんなことが悲しかったとか嬉しかったとか心細かったとか些細なことである。

今月はそんな本を5冊お勧めします。

子どもの隣り

著者
灰谷 健次郎
出版日
もし、あのことが悪いことなら、自らが選んだ悪いことというのは、なんとすばらしいことだろう。なぜなら、それはわたしにわたし自身を感じさせてくれたのだから。じんじんする頬を押えて、わたしはそう思った。

周囲に望まれたいい子でいること、望まれなくとも自らその決まりをつくってしまうこともある。

そんな女の子が殻を破る瞬間。

子供の頃の感覚が大人の言葉で再生されている文章だと思いました、とても正確に。

一番繊細なところを立て続けに見せられるので、読んだ人の頭も柔らかくなるんじゃないかって思った。

おとぎ話の忘れ物

著者
小川 洋子
出版日
2012-04-05

小さい頃に読んだおとぎ話、主人公はだいたい一人だったけれどスポットライトが当てられなかったところにも忘れられたおとぎ話があるのです。

樋上公実子さんの絵が美しく残酷で物語の一部みたいにページをめくりました。

おとぎばなしを読んでいた時代の気持ちとその裏にあったであろう物語に思いを馳せながら読んでみてほしいです。

どんぐり姉妹

著者
よしもと ばなな
出版日
2013-07-27
どんな人も、ちょっとくらいでいいから、子どもの時の自分に会いにいけるといいのにな、と私は思った。

子どもの頃の経験、環境の中で人は育つ。

育ち方がさまざまなように大人になってからの生き方だってそれぞれだ。

決まりきったような方法を押し付ける人がどこにも出てこない、この「どんぐり姉妹」の世界で、どん子とぐり子はゆっくりした速さで変わっていく。

とても安心した気持ちになれた物語です。

ちいさいモモちゃん

著者
松谷 みよ子
出版日
2011-11-15

昔むかし、実家の本棚に刺さっていたこの本。

たぶん小さい頃に読んだことがあるんだろうなと思ってまた手に取ってみた。

生まれたばかりのモモちゃんの周りの世界は一つ残らずとってもやさしい。

ソフトクリームや人参やジャガイモがお祝いに来たり、お母さんも、お兄ちゃん猫のプーもいるし。

この先いろんなことがあるモモちゃんですが,シリーズの初めである「ちいさいモモちゃん。

とても可愛いお話です。

泣く子供

著者
江國 香織
出版日
お寺の中に仲間もみつけたし(それはトイレにぶらさがっている、まるい脱臭剤だった。ピンクや緑の毒々しい色あいが、モノトーンの世界のなかで異様に目立ち、俗世間から来たのだという共通項に強い親近感を抱いた)

江國さんのエッセイを読んでいると少女のような感覚を持った人だなぁと思う。

大人と子供の間には大きな違いがあるように思ってしまうけど、何も境界なんかはなく地続きの一つの存在なのだということをこの本を読んで改めて思います。

この記事が含まれる特集

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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